わたしで童貞捨てたくせに

プロローグ

 その女の子は、物心がついた時にはいつも傍にいた。

 何をするにも一緒。

 遊んで笑って、悪戯して怒られて、勉強して褒められて。

 時には喧嘩したり、すぐに仲直りしたり。

 隣に居るのが当たり前。

 気が付けば、どこにいるか相手の姿を追っている。

 何故かと問われても、きっとそこに、特に意味はないのだろう。

 おかげで性格に好み、それにくせ、互いのことは何でも知っていて、考えていることは手に取るようにわかる。

 キョーダイ兄妹/姉弟以上に同じ時間を過ごしているのに家族じゃなくて、友達というには相手の存在が大き過ぎて。

 二人で一つ、自分の半身のような存在。

 それが〝幼馴染〟と呼ぶのだと、かなり後になってから知った。

 成長しても、二人の在り方は変わらない。

 だけど、周囲は変わっていく。

 それから二人の心と身体も。

 同じだった彼女との目線は随分と下になり、身体つきだってまるで別。

 漫画やアニメ、食べ物や服といった趣味嗜好も変わっていく。

 それでも一緒に居て、居心地が良かった。

 だけど思春期を迎えた男女が、付き合ってもいないのにいつも近い距離にいるのは、周囲からは奇異に映るらしい。

 本人たちも、理屈ではわかっている。

 それにお互い、異性に興味がないわけじゃない。

 だからその女の子から、この提案が飛び出すのは必然だった。

 


「ね、私たち一度付き合ってみない?」


 

 好奇心、もしくは周りの空気に流されて。

 宮町みやまちこう宝仙寺ほうせんじさくは、恋愛なんてよくわからないまま、恋人同士になった。