アトリウムの恋人
2 東京スフィア ④
*
そして、月曜日。
クラスメイトと笑顔で会話する
前田は淡々と月曜日の授業を消化していった。二年七組の
そして放課後、前田が帰宅の用意をしていると、横に遙花が立っていた。
「先に行っててね」
「何が?」
「サークルに決まってるじゃない。私は
きょとんとする前田をよそに、遙花は当然のように言ってから教室を出ていった。
「放課後に遙花ちゃんと遊べていいよなー」
前の席で座っていた
「なあ、どんな活動してるんだよ」
「うるせえな、お前は追試だろ。さっさと行ってこいよ」
前田は「うぐう」と悲鳴を上げる浅尾を残して教室から出た。一年の教室に向かい、
「僕も、もう活動はないと油断してましたよ」
雪村もそう思っていたようだ。
「なんのつもりなんだろうな。あれ以上話し合っても、解決しそうにないのに」
前田と雪村は首を
「
遙花はケトルでお茶を入れていた。いつの間にか部室ががらっと変わっていた。
「土曜日に来て、ちょっと
前田の視線に気づいた遙花が言った。
「なんで?」
「だって、これから活動してこの場所で過ごすことになるんだよ」
とりあえず
とりあえず前田はお茶を飲んで
「このクッキーうまいぞ。なあ
前田は悠羽美がかじっていたカロリーメイトを
「そこまでまずくねえだろ」
前田は小声で言い、遙花がお茶を飲んでいるうちに残りを雪村の
「なあ、捨てたりしたら半殺しにするからな」
前田は雪村に耳打ちした。
「当然ですよ。せっかくなんで全部僕が食べますよ」
まだ遙花の手作りお菓子に接したことのない雪村はそう答えた。逆に遙花のクッキーを食べようとしない前田の態度に不満げだった。
「あ、食べてくれたの。どうだった?」
「おいしいよな、高橋」
前田が言うと、はっと我に返った悠羽美がうなずいた。
「……音楽的、かな」
「やった、うれしい。あ、残りはもう食べちゃった?」
「あ、ごめん、全部食べちゃったよ」
「いいの、いいの。また作ってくるからね」
遙花がうれしそうに笑う。そんな表情を見ると胸が温かくなった。
「あ、悠羽美ちゃん、もうおなかいっぱい?」
「うん、家に持って帰る」
悠羽美は食べかけのクッキーをハンカチに包んでいた。
「じゃあ、始めようか。私、土日でちゃんと調べてきたの。古本屋さんで関連
「もしかして、スフィアについて?」
「うん。だって、そのサークルじゃない」
「あの、どういった感じでやるんですか。
「私ね、みんなにあのことを話したらすっきりしたの。でも、それで終わりじゃ勝手だし駄目だなって思った。だから、まずちゃんと知ることから始めようって。もしかしたら、私の知らないところで変なことが起こってる可能性もあるけど、でも、私はみんながいるから大丈夫」
ああ、なんて
「もしかしたら、スフィアワールドに入れる可能性もあるんだ。スポンサー企業のサービスが休止しただけで、ワールドは存在するんだから。だから、スフィアワールドのログインを目標としたいの。……どうかな?」
遙花の意見に反対する者はいなかった。
「部長の意見でいいよ。俺もワールドには興味があるからさ」
「正確な知識を得ることは大切ですよね。ログイン場所が見つかったとしても、いきなりじゃちょっと
「うん、だからまかせて。みんなにわかるように説明してあげるから」
「こういうのって視覚イメージで
前田と雪村は、遙花に強引に部室から
「どういうことなんですかね」
「とりあえず遙花の言うとおりにしよう。なによりも彼女の
ひそひそ話していると部室の中から声が聞こえた。
「廊下は現実の世界だからね。そして、この部室がスフィアワールドなの。じゃあ、ログインしてきていいよ」
「……ログインってどうするんだろ」
ポカンと廊下に
「扉を開けて入ってくるの。スフィアへの接続は扉を開くのに似ているから」
前田は遙花に
「今ログインしたよ。ここがスフィアワールドだから油断しないでね」
前田は部室に入って
「ここは東京都
「あれらがユーザー?」
「そう。ああして仮想ワールドに集まって遊んでいたんだって」
「
「悠羽美ちゃんはストライカーなの」



