境界線上のホライゾン きみとあさまでGTA Ⅳ
第二十三章『反響上の狼』
●
鈴は音を聴いた。
流れのある音だ。
それも、近くから大量に押し寄せてくるような、
……波?
違う、と思った。
己は音を聴いて過ごしている。
音に親しい自分にとって、これは、
「あ」
風だろうか、と自分は思った。
大量の風。夜に武蔵が浴びる風だろうか。
ならばこの風は、下から吹き上げ、武蔵の仮想海を霧に散らせるいつもの風だろうか。
それならば、この風は、
……聞き慣れた音楽になるのか、な。
そう思った時だ。
己の耳は、ある音を聴いた。
「────」
ミトツダイラが息を吸う小さな響きだ。
直後。
狼が語る。
「──今宵は月夜」
月という言葉を聞いた。
自分は音を感じて生きている。
だから、月はちょっと解りにくい。
空にあるらしいが、温度も音もあまり感じさせないので、その存在がよく解らない。
だけど、
「これからを夢見るには賑やかな晩」
狼が言う。
「ゆえに眠りが誘うまで」
どうするのか。
己は月を”見る”ことが出来ない。
しかし、だからこそ、
「いつかを夢見て狼は月に吠えますの」
狼は月を見ない。
月に吠えるのだ。
……だとしたら──。
音が来た。
声だ。
●
「──王の凱旋」
●
おお、と吠えるような言葉。
それが空に振られ、歌詞を繋ぐ。
「──夜に唄う祭に」
凱旋。
勝利の宴のパレードだ。
そこにおいて、狼は、
「一人 牙持ち その前を 願われ」
うん、と自分は思った。
「胸に誇りを 力を預けて 勝利の 歓声 真っ先にその身に」
前を行く騎士。
それはきっと、ミトツダイラにとって必然のことだろうと思う。
……だって、ミトツダイラさん、昔の事引きずってるから。
まるで罪滅ぼしのように、皆に害を与えぬよう、前に出る。
だが、それが罪滅ぼしではなくなるときがある。
それは、
「王の 賛歌に 満ち足りて」
勝利し、凱旋の先頭に立つ権利を得たときだ。
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「月下を行くのは仲間達
月に向かって行くような凱旋ですの
この王に仕えていて幸いだったと
そして騎士は昔を思いますの」
●
うわあ、と浅間は思い、ふとミトツダイラを見た。
……王様スキスキソングじゃないですか!
すると、ミトツダイラも、こちらを見ていた。
どうですの? とでも言いたげな視線の横目。
だが、ここは語りのパートだ。
伴奏は続き、ミトツダイラがこっちを見据えてこう告げる。
「──何か御意見が?」
あると言っても、無いと言っても、語弊が生じる気がする。
ただ、思うのは、
「ええと、どういう心境でこの歌詞を?」
問い掛けた先、ミトツダイラがわずかに眉を上げた。
しかし彼女は、
「────」
苦笑しただけだった。
その動作の意味は、”やはりそう思いますわよね?”だろう。
だからこちらは、
「喜美?」
自分とミトツダイラの間にいる馬鹿に、問おうとした。
……ミトに何て言って焚きつけたんです?
と、そう言おうとした口は、しかし動かなかった。
答えは明確なのだ。
●
先日の、自分の家で聴いた喜美の歌。
言うなれば彼女の日常賛歌だ。
ああ成程、と己は理解した。
喜美が日常を楽しいと唄ったならば、それは彼との生活の歓喜でしかない。
王様に飢えてる騎士にとっては心に毒だ。
が、その歌自体は、
……喜美としては、してやったり、でしょうねえ……。
自分は乗せられなくて良かった、と心底思いつつ、ミトツダイラに笑みを向ける。
「じゃ、じゃあ、ええと、ミト? 続きを御願いしますね?」
「……その、もの凄く興味ありげな促しは何ですの?」
「いいじゃないですか騎士歌! 王様の喜ぶ凱旋、行きましょうよ!」
「……いえ、あの、智?」
ミトツダイラが、俯きで口を横に開いて言う。
「実はここから先、ちょっと私語りみたいな内容で──」
「え?」
と疑問詞を投げかけた瞬間だ。
手前の湯船を揺らした喜美が、無造作に自分の表示枠に指を乗せる。
すると、ミトツダイラの後ろの”転機編”が大きく震え、
「フフ、言い訳してないで続行よ続行! 抜かず二発──!!」
「最悪ですわ……!」
結果としてこっちの欲求が満たされたので、自分としてはよしとする。
●
ミトツダイラは、覚悟を決めて唄った。
どうせ、本番ではこれを唄うことになるのだ。
だから恐れず、
「──獣は一人で 何もかも逆らい」
しかし。
「気づけば 守られて いたのです」
聴く人が聴けば解る内容だ。
だけど、
「帰り場所は ここだと言われて
泣いて 頷き 誓いをあらたに」
そう。
これは自分の恥とも言える歌であり、ゆえに恥ずかしさを感じるものでもあるが、
「ささげ よう 何もかも」
そう決めたことは、嘘ではない。
そして、
……ええ。このくらい自分を出しても、いいじゃありませんの。
そんなことを、最近は思うのだ。
これを聴いて、プレッシャーに感じる王ではないだろう。
きっと王は何かを考えていると、そう信じることは出来ている。
だから己は唄う。
空に叫ぶように、吠えるように、
「おお 凱 旋の」
喉を開け、唄う。
「おお 月を見上げ おお 我が 主従
おお 歌に酔えば」
声をあげ、自分は思った。
「おお 後悔も おお 月に掲げ
おお 我が心が おお 助けよう」
自分は王を助けたいのだと。
だが、次の語りで、己は言葉を作った。
「──これは今の夢」
●
夢だ。
●
「銀の狼が 月夜の晩に毛布を抱いて見る夢」
言い過ぎているとは思う。語りすぎだ、とも。王にどう思われるかと、そんな言葉を選んで並べている、とも。だけど、
「だけど幾度か目が覚めたら」
それが夢であったとしても、
「かなうと信じられる夢ですの」
重荷にならぬよう、信じているにはどうしたらいいのだろう。
●
浅間は、ミトツダイラの歌い方が僅かに変わったのを悟った。
……訴えてる?
否。
声をあげて上に向けて募る言葉は、しかし外に叫んでいない。
胸に手を当てる騎士の使う音は、己に向けられているように聞こえ、
「いつか正義に 揺らいで迷い
正しさ探し 力を捨てかけ」
未来への不安を、しかし彼女は吐露することを恐れない。
「いつか大きな 力に屈して
己の無力に 涙をこぼしても」
自分は知っている。
ミトツダイラが強く、人狼としての力を持っていても、”最強”ではないことを、だ。
七年ほど前にあったこと。
彼女が屈した経験があるのを知っている。
それは彼女を捨て置くものだったが、そこから荒れた狼を救ったのは、数年後における、
「騎士として 離されぬ」
ミトツダイラが騎士であることを、忘れていなかった人。
その人が、彼女をこっちに連れ戻してきた。
だから、
「おお 過ちを おお 恐れずと
おお 我が心を おお 月に誓う」
狼は吠える。
「おお 迷うことを おお 躊躇わずが
おお 我が王の おお 騎士の誇り」
その人にどうして欲しいのか。
騎士は唄う。
●
「──まっすぐに 任されて」
離されず、任されたい。
どう考えても、本心を出し過ぎだとミトツダイラは思う。
王が聴いたらどう思うか。しかし、
「月夜の晩に夢を見ますの」
王に要求をする騎士歌の中で、狼として己は語る。
「幾度寝返りを繰り返せば叶うのか」
でも、
「でも今のままで充分に幸せと
そう眠りにつける夢ですの」
●
馬鹿、と浅間は言葉を内心に作った。
……そこまで唄っていて、どうしてここで自己満足にしてしまうんですかね!
……ええ。ヘタレと言って頂いて構いませんのよ!
……フフ、このヘタレ虫!!
念話が賑やかだ。
だが、今のままで充分なら、このような歌を作る筈も無いだろうに。
思いは充分にあって、漏れてもいるのに、それを物解りのいい振りをして収めるなんて。
先に憤りのようなものを見せているだけに、誘われるのを待つという、策略めいた重さも感じさせる。
……でも……。
解らないでもない。
騎士として欲されたから、こっちに来たのだ。
ならば言うべきは彼にこそ対して、
……しっかりして下さいと、そう言うべきなんでしょうねえ……。
「王の凱旋 前を行く狼
騎士の 吠え声 月見上げ 食らいて」
狼は騎士として月を見上げる。
「懐かしい匂い 誓いの匂いは
離さず 捨てずに いてくれた 居場所の」
寝返りの夢。
本当はそうして欲しい夢。
これは、言葉を尽くし過ぎなのかもしれないが、
「歓声誇りに 王に身を寄せたら
甘えを許して 居場所を 貰うの」
その居場所は何処か。
「膝の上にて 褒められて撫でられ
強がり 返しても 通じてく 喜び」
うわあ、と、己は本日幾度目かの感嘆を得る。
だが、これこそが彼女の望む主従なのだ。
そして、
「いつまでも 騎士として」
自己満足でも望む”関係”と、そういうものなのだろう。
●
ミトツダイラは唄った。
「おお 凱旋の おお 月を見上げ
おお かつてと今 おお 今といつか」
王の歌だ。
そして、
「おお 迷い許し おお 共に歩み
おお 銀の月を おお 神が吟ず」
王と共に行く棋士の歌。
この夢を、自己満足でも押しつけでもなく、正当なものとする方法。
それを自分は知っている。
このところで、梅組の皆と共に動く機会を多く得て、昔のわだかまりは自分の中にしかないと、そう気付いてもいるのだ。
だから、
「おお 欠ける月を おお 王よ望め」
おお 共に君よ おお 地平見据え」
喜美の歌同様に、ここには自分達を込めている。
背後で浅間と喜美がどのような顔をしているか、想像だに難くない。
「おお 満ちる月を おお 王よ望め
おお 共に君よ おお 王とずっと」
無論、友人達を掛けた歌詞にしているのは意味がある。それは、
……私達は、同じ筈ですわ。
自分には過去に対する思いがあり、だけど今においては、
……対等な筈ですの。
共に等しく、言いたいように言い、受けたいように受ける。
だから、だ。
だからそれが王に対しても出来れば、自分と王は対等だ。
下からせがみ、待つのではなく、依存するのではなく、同じ目線で前を行き、正しく要求をして、己から率先して動いて助け合う。
そうなれればいい。
ゆえに自分は言う。
王に対して対等である騎士は、凱旋の際に何と王に告げるのか。
自分は言葉を作る。
己の夢の、今精一杯の先を見た言葉として、息を吸い、口を開き、前を見てこう言った。
「──感謝の言葉を望んでも宜しくて……?」
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鈴は、小さく笑った。
可笑しかったのではない。
嬉しかったのだ。
己は音を聴いて何もかもを知ることが出来る。
だから、月を”見る”のではなく”吠える”対象としてくれた歌は能動的に聴けたし、その中でミトツダイラの感情が聞けてよかった。
彼女の王が誰なのか、知らない訳ではない。
自分はただ同じ場にいられればいいと思うものだが、それゆえにミトツダイラが抱くような迷いは同感出来る。
何しろ、自分はいつも以上を何も望まないから、燻ることもない。
だけどミトツダイラと彼の関係は違う。
約束が先にあっての関係だ。
だけどそれを押しつけることも、せがむことも重荷になるとするならば、
……凄い、ね、
対等であろうとするのは、本当に凄い。
でも、と己は思った。
「ミトツダイラ、さん?」
「──え?」
唄い終えた発散からか、やや自失していたミトツダイラがこちらに振り向く。
何を問われるのかという戸惑いの声は、それだけ今の歌に自分を込めていたということだ。
ゆえに自分は、まっすぐを心がけて言葉を送った。
「大丈、夫」
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きっと彼女の王様はいろいろ考えているだろうし、重荷とは思う事なく普通にいてくれるだろうし、対等であってもくれる。
それに、
「もし間違っても、……正してくれる、よ」
言った先、ミトツダイラが僅かに身を堅くした。
こちらに届く熱が浅く冷え、しかし、
……あ。
ふ、という息を抜く音を己は聞いた。そして、
「──そうですわね」
ミトツダイラが、笑み声になった。
彼女はこちらに顔を向け、
「だから恐れず間違って、望むとおりにやっていこうと思いますわ」
●
成程ねえ、と直政はミトツダイラの言葉を聞いて思った。
ミトツダイラとは、それほど深い親交があるわけではない。小等部からの縁はあるが、向こうは極東の暫定継承権第一位であり、騎士階級だ。
自分は一介の整備士で、噛み合う部分はほとんど無い。
だが、向こうの事情や過去を知らない訳ではないし、そこに感情を動かさなかったこともない。
えらい位置にいて、階級があろうとも、人としての苦労はしているのだ。
その苦労が浮き世離れした甘えならばともかく、
……そうさね。
もし自分が、何もかも捨てたいのに、それが出来ないということを強制されたならば、どうだろうか。
捨て去って新しくなりたいのに、それをするなと、過去のものを身体になすりつけるようにされたならば、と。
……それは──。
「面倒さね」
●
小さく呟いた言葉が、アデーレに聞こえたのだろう。
彼女がちらりと振り向く。
が、こちらは何も言わない。
実のところ、自分にだって捨てられないものがある。
それを捨て去っては絶対にいけない、というものだ。
「有り難い……」
朱雀の制御表示枠から何か言葉が来たが、ノイズの一種だろうか。
ともあれまあ、自分にも、
……誰にでも、あるだろうさ。
しかし、それは、自分の生活を助けてくれるし、その存在こそが希望にもなっている。
だが、もしこれが、壊れ、直らないとしたら。
そしてもし、その壊れた物を手放してはいけないと強制されたら、
「────」
●
怖気のようなものを意味も無く得て、直政は内心に浮かんだものを消し去ろうとする。
想像を恐れて自分に震えを作るな、と。
今のは、ミトツダイラに自分を重ねただけだ。
自分は違う。彼女のようにはなっていない。
だから大丈夫だ。
しかし、
……あの騎士様は、そういうのを数年得ていた訳だろう。
やってられんさね、とは思った。
その上で、こうも思う。
狼が捨てられなかったものを、必要だとして背負い込んで、一緒に行こうと言った馬鹿がいるのだ、と。
馬鹿な王様に乾杯。
そう思った上で、
「鈴、酒貰えるさね?」
「あ、うん、出す、ね」
縁からタイルの床に立ち上がるなり、鈴がタオルを胸から下に宛て、軽く走り出す。
その後ろ姿を見るアデーレが、ぽつりと、
「普通、あんな風に走れませんよね……」
「ここはベルりんのホームって感じだもんねえ……」
だろうさねえ、と頷きながら、自分は、浅間と喜美の方に身を沈めていくミトツダイラを見た。そして、
「ミト」
言った。
「照れるんじゃないさね?」
「──唄っていれば、そんなの忘れてしまいますわ」
「だったらそれがアンタの本心ってことかい」
言うと、今更ながらに騎士が赤面した。
よく解らん女だ。
無論、解るほどの縁をつけてきた訳ではないのだが、しかし、
「いい歌さ。
何しろ、自分の夢を唄ってるんだからさ」
ゆえに己は、天井を見上げ、皆から視線を切りながら言葉を作った。
「──面倒だけど、大事にしておくといい」
○
「実はコレが最後の入浴シーンとなります」
「マジですか! 何か理由着けて乱入しておけば良かった!」
「それもどうかと思いますの」
「ではこれから、雅楽祭へ?」
「アー、その前にちょっと私だな。少し、面倒な展開がある」
『面倒……。いい言葉ですねえ』
『リアタイでなければエンタメの言葉やな。ともあれ聞いてみたいわ。
どんな面倒やねん』
●
正純は、夕の空を歩いていた。
帰宅中だった。
自宅は左舷二番艦の村山なので、奥多摩からは左舷艦首の太縄通路から斜め一直線で行くのが常だ。
だからそのようにして、幅五メートルほどの重力制御で出来た縄上の通路を歩いていると、
「──?」
風が、周囲を通過した。
「ヒュウ! あ、輸送馬車の箱乗りです」
「ヒュウ――!」
パン屋と観光客が今日も元気だ。
だが、あの風は何だろうか。
自分から見て、太縄通路の左下をくぐって右上に。
何かが弧を描いて空に昇ったのだ。
……何だ?
鳥にしては大きかったように思うし、魔女達の箒にしては小さい。
一体あれは、と思って、それが飛んでいった方向を見た自分は、右舷の空にあるものを見た。
人影だった。
●
右舷側、多摩と奥多摩を結ぶ太縄通路に、人が立っている。
襲名者、鈴木・孫一だった。
遠くにはいるが、肩上の長銃と魔神族の頭角は、影としてよく解る。
表示枠を手に空に飛ばしているのは、肩上の長銃だ。
それはまるで鳥のように宙を走り、
ヤタガラス:「────」
三羽の巨大な烏が夕の空に影を走らせる。
三つの飛影を制御する彼女の手元。
表示枠にあるのは、武蔵内の航空許可証だろう。
混雑している武蔵の空の中、何処で長銃を飛ばしていいかの、空域図だ。
夕刻。
教導院のある奥多摩からの流通は少なくなり、外交関係の主となる多摩と村山も、同様に空は比較的静かになる。
夜になればまたどちらも夜の顔をもって動き出すが、今は合間だ。
逢魔が時という、この頃合いを示す言葉を自分は思った。
このときだけの、襲名者との遭遇。
それも、距離を遠くに離した、こちらからの一方的な視認だ。
向こうからすれば、こっちなど単なる通行人どころか、意識の中に入っていない可能性も高い。
だが、己は思った。
……あれが襲名者か。
●
三河にいた松平・元信やその重臣達。武蔵にいる役職者や学長達とも違う。
異国の、現状フリーで何処にも属さず生きている襲名者だ。それはつまり、
「一人、ってことか……」
彼女を欲している国はあるのだろう。
名のある長銃使いとしての武将だ。
しかしそれとは別で、現状の彼女は”一人”だ。
この世界の決まり事。
聖譜記述のみが、彼女を支えている。
「成程な」
自分もいずれ、ああなれればと、そういうことだ。
無論、襲名者になろうとして失敗した身だ。
ならば後は、
「今、既に現場に上がっている者達を羨む意味は無い」
手の中に、包みの重さが確かにある。
それを握り直して、自分の淡い水平に見える襲名者から、視線を逸らした。
前を見て、帰宅に向かう。
何故なら、
「今の私は、一人じゃないんだ」
●
「魔女が通りかかりに思うけど、面倒って、このときのセージュンの面倒くさいキャラ性のこと?」
「いやそういうことじゃなくてな!? これ後に続くネタだからな!?」
「あの、正純、今ここ”●”のシーンなので……」