野崎まど劇場(笑)
作品 No.15 第20回落雷小説大賞受賞者インタビュー
落雷文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする〝Stop the落雷文庫〟。第56回となる今回は、『おぼろ豆腐少女にがうりさん』を執筆した
本作は、おぼろ豆腐を愛する少女にがうりさんの豆腐作りと、それに関わる街の人々の心の交流を描いたサイコホラー。どこにでも居る普通の高校生・
時津風先生には、本作のセールスポイントや小説を書くようになったキッカケなどを語っていただいた。また、落雷文庫 新作紹介ページでは、落雷大賞受賞作である本作の選評を立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。
──この作品を書いたキッカケを教えてください。
初めて小説を書くにあたって、いったいどんな題材が相応しいのかなぁってしばらく悩んでいたんです。そんな時にたまたま食事に入ったお店で出た茄子の煮浸しを見て「これだっ!」って思いました。そこから転がっていくうちに、茄子の煮浸しがおぼろ豆腐に変わって今の形になったんです。
──作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
キャラクターがたくさん出るところです。数えてみたら六三人も出てました。どんなイラストレーターさんに描いていただけるのかな、表紙はどんな素敵なイラストかなって、今からもうワクワクしてます!
──作品を書くうえで悩んだところは?
情報量の多い作品なので矛盾や間違いが無いようにするのが一番大変でした。もう何百回読み返したかわかりませんが、頑張った甲斐あってミスや見落としは全部つぶせたと思います。自信を持ってお出しできるものになりました。
──執筆にかかった期間はどれくらいですか?
投稿作品を描き上げるまでに18年かかっています。賞をいただいてから完成までの10日間はまさに目の回るような日々でした。一緒に何十回も読み返してくださった担当様には感謝してもしきれません。
──執筆中に起きた印象的な出来事はありますか?
投稿前に友達や会社の同僚、他にもたくさんの知人に作品を読んでもらったんです。その時に皆さんから聞いた一つ一つの感想が今も心に強く残っています。「面白い」と言ってもらえた時って本当に嬉しいですね。ただ、なんだか歯に物が挟まったような顔をされてしまうことも多くて……。そこは自分の力不足を痛感しています。
──主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
主人公は至って普通の子なんです。普通の彼が突然大事件に巻き込まれる。リアルに考えてしまうときっと何も出来ません。だから彼は何も出来ずに死んでしまいます。同じくヒロインも難病に侵されますが、難病なのでやはり治らずに亡くなってしまいます。考えれば考えるほど人は運命に対して無力なのだと思いました。主人公も脇役も関係なく死は平等に訪れる……そういう意味では本作の本当の主人公は「死」そのものと言えるのかもしれません。
──特にお気に入りのシーンはどこですか?
クライマックスの、豆乳ににがうりを入れるシーンです。
──今後の予定について簡単に教えてください。
多くの人物が他界していますので今後の舞台はゲヘナ(地獄)に移っていきます。でもまだ生きている人たちの普通の日常ももちろん続いていきますから、次巻からは町内のイベント編と黙示録編の二本柱で進められれば良いなと考えています。
──小説を書こうと思ったキッカケはなんですか?
小さい頃から本が好きだったことと、あとは両親の離婚ですね。
──初の商業作品というところで、その感想は?
もう来月には発売なのですが、まだ全く実感がわいてません……。先週担当さんから「挿絵のチェックをお願いします」というメールが来たんですけど、どうも手違いがあったみたいで、どこかの奥様の写真が何枚も添付されていました(笑)。だから私まだイラスト見ていないんですよ! 本当に発売が待ち遠しいです。
──今後、どういった作品を発表していきたいですか?
しばらくはにがうりさん達のお話を書き続けたいと思っています。物語の中のにがうりさんは豆乳ににがうりを入れるだけの女の子ですが、にがうりさんがにがうりを入れる時、にがうりにはにがうりさんの心が詰まっているんです。にがうりさんが毎回どんな気持ちでにがうりを入れているのか、それが読者の皆様に少しでも伝わるように頑張ります。
──アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
集中力ゲームですね。
──ゲームで熱中しているものを教えてください。
集中力ゲームです。
──それでは最後に、落雷オンライン読者へメッセージをお願いします。
初めての作品が本になるなんて本当に夢みたいです。あとは読者の皆様に読んでいただければこれに勝る幸せはありません。まだまだ拙い新人ですので、誤字や間違い等ありましたらご指摘いただけますと嬉しいです。それではにがうりさんがにがうりで作ったお豆腐をお楽しみ下さい!
終