第一章 プリン一個で終わる世界 6
腹黒クイーンが帆風潤子を操縦しているとなると、とにかく距離を離すより視界から消えるのが最優先。美琴的には開けた場所で延々追いかけっこはひとまず避けたい。
そんな風に第三位は考えていたが、
「?」
そこで足が止まる。
美琴は怪訝に思い、それからふと後ろを振り返って、
「……追って、こない?」
フィジカル最弱の食蜂一人なら勝手にこちらを見失って涙目で右往左往しても不思議ではないが、すでに大量の高位能力者が洗脳された後だ。下手すると直接的に未来を読む予知や念写の使い手すら配下として確保している可能性もある。手駒化された帆風達がそう簡単に美琴を逃してしまうとは思えない。
御坂美琴は自分の幸運を信じなかった。
だとすると、
(……どこかよそに標的を変えた?)
ならそれは具体的に何だ? 近くに強大な
少し考えた時、ざわめきを耳にした。
群衆は食蜂に操られる側だけではない。
そっちがうろたえていた。
遠目に観察してみれば、ケータイやスマホを見て戸惑っているようだった。
美琴も自分の携帯電話を取り出してみると、東京・大都市のど真ん中でありえない表示と出くわした。
圏外。
「チッ。あの野郎、送電や通信の中枢施設を潰しにかかる気かっ!!」