■第三話 始原の終末装置ヒミングレーヴァ・アルビオン ④

 やった……。やったぞ畜生! 最強の裏ボスとの契約に成功したんだ!


「本当に良いんだな。夢オチとか上げて落とすとか、そういう展開はなしだぜ、神様よっ」

「無問題。元より貴方は『みず』の血縁者。いにしえの盟約により、当知性体との霊的パスはクリアしております。加えて貴方自身の特殊性並びにみずの血脈を守護するというオーダーの妥当性を鑑みれば、契約締結は必要かつ適切な行いと言えます」


 ヒミングレーヴァの言葉は半分くらいわけの分からないものだったが、それでも彼女が俺を契約者として認めてくれたということだけは、しっかりと理解できた。


「ありがとうヒミングレーヴァ。そしてこれからよろしく頼む」

「了承。はい。これからよろしくお願いします、マスター」


 こうして俺の最初の冒険は無事に幕を閉じた。命からがら、喉はガラガラ。手に入れたものは最強の精霊と魔法の武器に、僅かばかりの自尊心。

 どれもこれもチュートリアルの中ボスが得るには分不相応な────いや、よそう。俺は、オレ達は頑張ったんだ。必死に考えて、命を賭けて、勇気を振るって、持てる手札を出し切って手に入れた宝物達を分不相応俺には似合わないなんて言葉で侮辱したくはない。

 だから、そう。ここはシンプルに行こうじゃないか。


 みずきょういちろうは、険しい冒険の末に宝物を手に入れた。これが今日起こった出来事の噓偽りのないあらましである。

刊行シリーズ

チュートリアルが始まる前に5 ボスキャラ達を破滅させない為に俺ができる幾つかの事の書影
チュートリアルが始まる前に4 ボスキャラ達を破滅させない為に俺ができる幾つかの事の書影
チュートリアルが始まる前に3 ボスキャラ達を破滅させない為に俺ができる幾つかの事の書影
チュートリアルが始まる前に2 ボスキャラ達を破滅させない為に俺ができる幾つかの事の書影
チュートリアルが始まる前に ボスキャラ達を破滅させない為に俺ができる幾つかの事の書影