02 月曜日 ②

「おー、なるほど。となると、裁縫スキルどっかで取らないとかな」

『一人で全部できるようになるつもりですか?』

「そっすよー。俺はこの島で一人のんびりするのが目的なんで」

『MMORPGで一人のんびりなんて初めて聞きました』

「ははは……」


 どうも多人数でプレイするとサポート役に周りがちで、いまいち楽しめない自分に気づいてしまう。

 特に姉貴と美姫がいると、家にいるのとほとんど変わらない。二人を楽しませるために奔走するはめになるし……


 サクサクと奥へと進んでいくが、出てくるのはウサギモンスターのバイコビットばかり。サクッと倒して、


【キャラクターレベルが上がりました!】


「お、キャラレベ上がった!」


 IROはレベルが上がるとBPボーナスポイントがもらえて、それをSPかステータス上昇に割り振れる。

 振っちゃうとBPには戻せないので注意が必要なんだけど、BPは100までしかめておけないと。


『おめでとうございます』

「どもども。とりあえずは全部ステータスかな」


 無人島スタートした時に特殊褒賞でもらったSPがまだ余ってるし、基礎となるステ上げを優先しよう。

 STRに3、DEX・INT・VITに2ずつ、AGIに1、LUKはスルー。一人でいろいろやんなきゃだし、極振りはなしっと。


「ん?」


 なんか茂みの向こうにいたような気がしたけど気のせいか?


『今、茂みの奥に何かいませんでした?』

「やっぱ、なんかいたよな……」


 焦る心を落ち着かせ、取得可能スキル一覧を眺める。えーっと……あったあった。これ最初に取っておくべきだったな。

 ポチッと【気配感知】を取得。基本的なスキルはだいたいSP1で取れるっぽい。常時発動になるスキルは便利そうなの全部取っておくべきか?


「ん? やっぱりいるな……」


 さらに【気配遮断】を取得して発動させる。気休めかもしれないけど。

 そろそろと足音を消してるつもりで、気配がする方へと進む。


「アレか」


 しゃがんで茂みからのぞく先には、わかりやすいゴブリンがいる。


『やっとRPGっぽくなりましたね』

「確かにそうっすね」


 苦笑いしつつミオンさんに答える。

 ゴブリンはしばらくキョロキョロしたのち、諦めたのか去っていく。


『あれ? 倒さないんですか?』

「まー、見てて」


 去っていくゴブリンをギリギリの位置から追跡すると……


「ほら、やっぱりゴブリンの集落だ」

『すごいです!』


 とりあえず、目につくゴブリンの数を数えた後、コソコソと元の場所まで戻ってきた。


『戦わないんですか?』

「んー、見えるだけで二〇匹ぐらいいたでしょ。さすがにソロじゃ無理だろうなって」

『なるほどです』

「いずれは倒したいけど、何か方法を考えないとな……」


 ま、今のところは保留。

 この島には自分しかいないんだし、しばらくレベル上げとかして、ちゃんと準備してからだな。


 ゴブリンの集落を避けつつ島の東側の探索に戻る。海岸沿いは大体が岩場になってて、目新しいものは特になし。


「釣りとかできそうだけど。うーん、スキル取るか迷う……」

『釣り、いいですね!』

「いいよね。スローライフっていうと釣りって感じあるし。木工あるし竿ざおぐらいは作れるはずだけど……。あ、でも針も糸もないじゃん」


 海岸沿いをの合間を縫うように進んでいくと、やがて断崖絶壁へとたどり着いてしまった。


「んー、北側に行く方法、なんか特別な道がありそう。それかクエスト?」

『そうなんです?』

「ゲームのお約束って感じかな。ミオンさんはあんまりゲームとかしないの?」

『見るのは好きですけどあんまり。反射神経とか良くないので』

「へー、じゃあ、じっくり考える時間があるターン制ストラテジーとかいいかも」

『このライブを見に来られなくなるじゃないですか』

「うーん、この配信見てるよりも有意義じゃない?」

『そんなことないですよ。それに学生なので長くゲームできないですし』


 あ、うん、俺も学生です。ごめんなさい。


 ミオンさんとぐだぐだと会話しつつ、ゴブリンの集落を避け、大きな葉っぱを何枚も採集して戻り。


「まあ、ざっくりでいいか」


 葉っぱをテント(仮)のフレーム(仮)に編んでぶら下げていくと、一応それっぽい物に……見えなくもない。


「おお! 中は日差しが遮られていい感じだ……って地べたじゃん!」

『あはは』


 ウケたようで何より。それはいいとして、まあ何か敷かないと。


「うーん、わらなんてないしなあ……」

『兎さんの皮って手に入らないんですか?』

「そういやそうだ。なんで手に入らないんだろ。解体のレベル上がれば?」

『小さいからでしょうか?』

「あー、それもあるか。猪とかいればなー。倒せるか微妙だけど」


 まあ、スキルもレベルもサウスネークやバイコビットを狩って、微妙に上がってはいるので試す価値はあるか。

 明日は西側を調べるとして、ゴブリンの集落もどうにかしたいしなあ。

 二日目にしてやることありすぎてヤバい……


『そろそろ日付が変わりそうなので、今日はお先に失礼します』

「あ、はーい」


 てか、俺もそろそろ寝ないと。試しにここで寝てログアウトするか……

 このゲーム、『就寝ログアウト』でないと、ログアウト中はMPが回復しないらしい。

 昨日は立ったままセーフゾーンの砂浜でログアウトしたら、MP全然回復してなかったし。

 明日入ったら、テントも壊れてて死んでたら泣く……

刊行シリーズ

もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ6 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~の書影
もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ5 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~の書影
もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ4 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~の書影
もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ3 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~の書影
もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ2 ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~の書影
もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~の書影