一章 オタクは推しに還元したいんだ、と俺は言った。 ⑤
ステラは自分でローブをかき抱いた。「……そう」と静かに言う。それから彼女は
「あーあ、どうりでおかしいと思った。
「この世界でも
「クラスメートの
ぐるんぐるん。
足側を持って振り回される俺。回転する視界ではステラの表情も見えない。
「うっぷ、ステラもう振らないでくれ。俺は酔いやすい体質なんだ。吐きそう……」
「
そうなのだが、気持ち悪いものは気持ち悪いのだ。勘弁してほしい。
「見える? 女神像よ」
いつの間にか広場の入り口に来ていた。ステラは俺を突き出す。
屋台が並ぶ
ローブを
「あんたが女神様に会えるよう、わたしが協力してあげる」
そう言ってステラは笑った。
「ツイてるわね。今日は女神降臨祭なのよ」
俺を手にしたステラは、屋台のランプの群れを眺めて言った。
「女神降臨祭?」
「年に一度、女神様がわたしたち人間の願いを聞いてくださる日よ」
「何でも願いが
「そんなわけないでしょ。女神様は平和と安寧を愛する
最後、ステラの口調がどことなく歯切れ悪く感じたが、俺は女神像に視線を向けた。像の足元は無数の紙片で覆われている。
「ああ。なんか紙が束になってるな」
「降臨祭の日には女神像に女神様が宿るとされているの。そのとき像に触れたものは神座、女神様が住まわれる場所に届く。だから、わたしたちは願いを書いた
「ステラも
「もちろん」
「何を願ったんだ?」
「わたしの願いより、今はあんたの願いよ」
ステラは指先で俺の頭をつつく。
「あんたが女神様に願いを
「俺の分の
「
「他の紙で代用したらダメなのか?」
「ダメに決まってるでしょ! あんたねえ、