11話 衣服の買い物 ②

 下着屋で使った金額と同程度で買われると、うちの貯金がかなり目減りすることになる。

 申し訳ないがそれは勘弁してもらいたいところだ。


「わかってる。さすがにブランドなんかで揃えたら、金額がシャレにならないから、できるだけ安くていいもので揃えてみせるよ」

「夏帆……ッ!」

「そうすれば、心置きなく私も高い服が買えるわけだし」


 俺の尊敬と感謝の気持ちを返してほしい。

 だけど、できる限り出費を抑えて揃えてくれるのは助かる。


「やっぱり、安くていいものを揃えるならユニシロね」


 セラムの服を揃えるとのことで最初に入ったのは、ファッション業界でも大手とも言われるユニシロだ。

 高品質でありながらファッション性の高い衣服を揃えており、それでいて値段もお手頃という庶民の財布に大変ありがたいファッション店だ。

 俺もよくお世話になっている。


「あっ! あっちでTシャツとパンツがセールになってる! セラムさん、ちょっと来て!」

「わ、わかった!」


 夏帆はセール棚を見つけると、セラムの手を引っ張って移動する。

 並んでいるTシャツを手に取ると、セラムの身体にピッタリと合わせて、サイズや色味を確認。良さそうなものを見つけるとセラムは自分で手に取って、鏡の前で合わせてみたりしている。

 ああやって買い物をしている姿を見ると、セラムが異世界人だなんて思えないな。


「あっちは任せるか」


 女性の買い物は女性同士に任せるに限る。

 仲が良さそうな二人の様子を見て、俺は一人で適当に店内を散策することにした。

刊行シリーズ

田んぼで拾った女騎士、田舎で俺の嫁だと思われている2の書影
田んぼで拾った女騎士、田舎で俺の嫁だと思われているの書影