序章 イヴの最初に交差点で Prepare_for_Xmas_Eve! ④
それしかなかった。3Dプリンタで作った非金属のナイフや警棒、あるいは弓矢まで。ハイテクを極めた馬鹿どもは、たった一つの影の周りでゴロゴロと転がり、そのまま動かない。なんか内側からトラバサミのように大きく開いている金属の塊は……まさか、自動運転の車か何かだろうか?
そして全ての元凶。
何かしらの理由で街灯をやられたのか先ほどと比べて随分と暗かった。青白い鬼火のようなものが揺らいでいるのは、セントエルモの火、先端放電か。よくよく見てみれば、三枚羽根の風力発電プロペラの先っぽがぼんやりと光っていた。
だけど蛍の光だけで夜の森を全部照らすのは難しいように、一点は光っていても全体は闇に
だから中心に立つ何者かは最初、シルエットしか見えなかった。
パリッ、と。
茶色のショートヘア、勝ち気な瞳、小柄な
「
「全体的に説明をしてほしいんだけど」
こっちの
あるいは。
彼女にとってはこの程度、脅威にすら感じないのだろうか。
街の八割、実に一八〇万人を一律で分類する六段階評価の、まさに頂点グループ。
学園都市で七人しかいない
中でも第三位、『
純粋な発電系であれば最強とされる少女にとっては。
「いやあの、説明って言われたって……俺だって事件に巻き込まれて逃げ回っていただけで何が何やらな状況なんだよ。それでも
言葉は終わらなかった。
ドガッシャア!! と、音の塊というよりは空気の絶縁を破って解き放たれた衝撃波が
あれだけでも、まともに当たっていれば人が死んでいたかもしれないが。
そして
ぱりっ、と。
顔の前にかざした右手の
これが、
「
とある少年が持つ唯一の力、『
効果は右手の手首より先だけだが、その効果はあらゆる異能を打ち消すというもの。
「だから穏便に、お互い持ってる情報を出して探り探り状況を確かめようって言おうと思っていたんだけど、そういう雰囲気じゃあねえか……。ああもう、こういう力業は最後の最後まで取っておきたかったんだがなあ!!」
「……穏便に、ですって……」
そしてようやっと顔を上げる。
いよいよ第三位の眼光が真正面から少年を射貫いていく。
「穏便って事はないでしょ何なのよあの裸の女の子アンタ今日が何の日か知ってんのクリスマスイヴはもう始まっているっていうのに一体何をどうしたらそんな道に突っ走るっていう訳変態界に
あらいやだ、と
どうしよう。セレブな通り魔少女の方がまともな事を言っている。
知らぬ間にすげえー遠くまでやってきてしまったのかもしれない。
そして
三日月のように笑みを引き裂いたまま。
パニックで両目がぐるぐる回っている
「お兄ちゃん怖いよう」
「なっ」
「早く怖いのやっつけて。そうしたらヒミツの夜歩きしましょうね? うふふ、年に一度のクリスマスイヴはまだまだ始まったばっかりなんだから」
「……っ!!」
というより、軽く全方位へ青の大爆発が巻き起こった。