第一章 まるで遊園地のような Red_Wear,Big_Bag,and_Flying_Sledge. ⑦
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そんな訳で楽しいイヴが始まった。
コンテナをいくつか
『やったど真ん中のブルズアイ!! どうよこれで……あれ、点が減らないわね?』
『いやー参ったなあ、ターン交代のスイッチ動かすの忘れてたわ。はっはっはすまんすまん』
『バカって何で悪い方向にだけ急激に学習が進むの!? アンタ早くも機材の仕組みを逆手に取った揺さぶりを……ッ!!』
『それじゃあ短髪、今のブルズアイは無効なんだよ。ほらボタンを押してあげたから、もう一回投げて。やり直し。大丈夫なんだよ、チャンスはまだある!』
『そして流れるように人様のダーツを勝手に抜いちゃう天然シスター。今の交代ボタン押してから矢を指で弾けば正しい点が入ったじゃん!? ブルズアイだったのよ? わっ私を擁護してくれる人は誰もいないのかーっ!?』
少年少女はわいわい騒ぎながらもボードに向けてダーツを投げ放っている。ドリンクバーで飲み物お代わりしたいならブルズアイに当てる事、というローカルルールを導入してから場が荒れた。唐揚げやフライドポテトなどの油っこいおつまみ系は目の前に置いてあるだけだと欲を刺激され、しかもドリンクなしで食べてしまえば喉が渇いて集中を乱される。そしてこのど真ん中のブルズアイ、『次で必ず当てなければならない』と考え始めると途端に取り逃がす。何も賭かっていなければ、ダーツ初心者の
『すでにモーションの学習は終わったんだよ。この私に死角なし、一気に三二点まで削り落としてやるっ』
『へえー小さなケーキを並べたデザート枠の盛り合わせもあるのねえ』
『頼めばすぐ来るっていうのはニッポンの美徳だな。それじゃあインデックスが投げ終わる前に
『じゃあ私はモンブランとカラメルプディングかなあ』
『やっぱサンタさんの砂糖菓子は外せねえよな』
『メッセージ付きのチョコプレートの方じゃなくて? ああ、ちっこいのは気にしないで? そっちでずっと考えていて良いからね。アンタが戻ってきた時には缶詰の果物ぶち込んだ雑なフルーツゼリーくらいしか残ってないかもしれないけど』
『缶詰さんを馬鹿にするでないわお嬢様め。いらないなら俺が取っちゃうぞ、これキープ。おーい三毛猫、なんか貴様のために色々調整してくれたネコケーキとかいうのがあるらしいぞ』
『待って私の分は!? 集中する時間を与えて欲しいんだよッ!』
時間は過ぎていく。
他の人々と同じく、彼らも
『あれ、次で区切りの五ゲーム目が終わるのか。じゃあこれ勝ったヤツあれな、あれ言う係』
『はあ!? いやあの、これまでの勝率は!? 私ダントツでトップを独走中だったはずよね!? ねっ!?』
『めりーくりすまーすなんだよーっ!!』
『『そしてこの野郎あらわる前提を無視して笑顔で言い切りやがった!?』』
だから彼らは気づかなかったのかもしれない。
今は健全なランチタイムとはいえ元の造りがバーであるためか、外から
なのに。
にも
じっと。
観測者の瞳が