第二章 高嶺の華にギャップは用法用量を守って ②
つまり
本来であれば多少ポンコツだったところで
この学校で生徒会長に就任するということは、すなわち難関大学への推薦切符が手に入るということ。
それを喉から手が出るほど欲しがっている
特にパンツを
そう考えると、俺はだいぶ大きな秘密を握ってしまったということになるな。
なるほど、拉致されるわけである。
「ウチらは生徒会として活動しながら、
「自分たちの立場を守るためにも、
「そういうこと。打算的だけど、この学校じゃ生徒会の役員ってだけで内申には大きなアドバンテージがあるからね。ウチらだって手放したくないのよ」
それはそうだ。
俺たちは来年大学受験を控えている。
人生において相当大事になるであろう大きなイベントだ。
高校受験の時でもしんどい思いをしたのに、同じか、さらに
そんな時間を推薦の力で少しでも緩和できる可能性があるとしたら、手を伸ばしておいて損はない。
さらに付け加えるとすれば、うちの学校の生徒会はよその学校よりも役割や仕事量が多い代わりにそれ相応の特権も多く、明確に他生徒と差がついている。
もちろん労力も並ではないようだけど、従事するメリットは十二分にあるはずだ。
「……あとは……まあ、思ったよりも居心地いいのよ、ここ。だから手放すのももったいないっていうか、負けた気がするっていうか」
珍しく
別にひよりは一匹オオカミを気取っているわけではないけれど、これまで特定のコミュニティに属するということはなかったはず。
そんな彼女が居心地いいとまで言うなんて────。
「……私と
「……それは確かに」
受験を控えている三年生の登校日は少ないとはいえ、そうなるのはまだまだ半年ほど先の話。
誰だって気まずい思いをしながら日々を過ごしたくない。
「……そういえば、ひよりはなんで生徒会に入れたの?
「ウチも加入の経緯はあんたと同じよ。たまたま
「誤魔化せてないよ」
しかし、なるほど。ひよりは元々内申点や周囲の評価を気にするような人間じゃないし、どうして生徒会役員になったのかなってずっと疑問に思っていたけど、俺自身が加入の流れを経験したことでようやく
「となると、
「いえ、私はなんとなくです」
違うんかい。
「ああ、
「全然なんとなくじゃないじゃん……」
まあ本人的には誘われてなんとなくって感じなのかな?
しかし当の
「……で、俺が雑務ってわけか」
「おお、なるほど。どうして
「……今までの話の流れ、分かってなかったんですか?」
「ああ、普通に遊びに来てくれたのかと思っていた」
おっと、なるほどなぁ。
良くも悪くも純粋というか────まあ話の流れを理解していなかったことに関しては、説明を怠ったまま話していた俺らにも非があるか。
「っていうか、
「問題ないぞ。役員の人選はアリスに一任しているからな」
「あ、ああ……なるほど」
「これで一応、生徒会は定員に達したわ。これ以上役員を増やすことはできない……
「あ、はい。いいですよ」
「気乗りしないのは分かっているわ。プライベートの時間が減ることになるし……でも、私はどうしても
「別に時間がないってわけでもないですし、協力するくらいなら全然いいですよ。こんな機会滅多にありませんし」
むしろこんな美少女たちに囲まれる機会を逃してたまるか。
生徒会の仕事はかなり忙しいだろうけど、ここにある青春はプライベートの時間を犠牲にしてでも手に入れる価値がある。
将来自分の子供に自慢してやるんだ。『お父さんな、高校の時に美少女だらけの生徒会で最高の青春を過ごしたんだぞ』って。
それに毎日一緒になって遊ぶような友達もいないし、部活にも入っていないしね。
本当に時間だけは余っているのだ。
「わ、私が聞き返すのはおかしい気がするんだけど……本当にいいの?」
「はい」
「……」
俺の返答を聞いて、
「はぁ……
「……そうなのね」
そして俺の目を
「
「ああ、分かっている」
なるほど、これは必要な儀式ということらしい。
「
「はい、喜んで」
俺は
こうして俺は、
「よし、早速だが
「あ、はい。
「よし、では
先生方への紹介か。まあ当然そういうことも必要だろう。
今後生徒会の役員として行事の裏方だったり、普段から教師に頼まれた仕事をこなしていかなければならなくなるのだから、俺が生徒会役員になったことは知ってもらっていなければ困る。
「行くぞ、
「はい……って、俺と
俺は振り返り、生徒会室に残る気配を見せる三人に声をかけた。
さっきの話を聞いたばかりだと、
「心配だけど、任命された役員の紹介は任命した本人である生徒会長自らが行わなければならないの。変な決まりでしょう? でも生徒会長としての責任が問われる部分だから仕方ないのよ」
「なるほど……」
「でも、そうね……