第一話 兄さんが好きなの、と彼女は言った。 ①

   ☆


「ねえ、ユヅくん。あなたが好きです」


 俺とおさなじみの、十七回を数えた誕生日のこと。

 参加していた祭りのイベントで天体望遠鏡をのぞき込み〝こと座のベガ〟をひとみとらえたタイミングで、頭上からそんなこくはくが降ってきた。

 世界を明るく色づけていくようなその美しい言葉は、よく知ってるおとまとっていて。

 不意に顔を上げると、その先には耳まで真っ赤にした美しい女の子の姿が一つ。


「もう一度、言いますね」


 同じ年の同じ日に、親友同士である両親の元に命をさずかり、となりの家に住み、友人より親しく、きようだいより近くで育ってきた俺たちは、どんな時だっていつしよにいたし、たがいの性別を意識するころには当然のようにかれ合っていた。

 俺もも、おたがい以外はだれも見えていなかった。

 あとはどちらかが一歩をすだけというじようきようで、先に勇気をしぼったのはの方。


「ユヅくんのことが世界で一番好きなんです。わたしと付き合ってくれませんか?」


 今日まで、こいつのいろんなを数えきれないくらいたくさん見てきたんだ。

 だけど、これほど強い決意を秘めてれているひとみは初めてだった。

 おどろきで言葉を失っていると、それをきよぜつかんちがいしたのか、彼女の顔がくしゃっとゆがむ。

 あわてて手をばし、そのやわらかなほおれた。

 紅潮しているはだは強い熱を持ち、れた先から火傷やけどしてしまいそうなほど熱い。

 あるいは、俺の指が熱いのか。

 きっと、それは俺たちがおたがいをおもう気持ちの強さにとてもよく似ている。


「──でしょうか?」


 消え入りそうな声にいとしさがあふれ、きしめたくなるしようどうを必死にえた。


だな」

「え?」

「だって、そのセリフは俺から言いたかった」

「それじゃあ」

「俺ものことが好きだ。俺と付き合ってくれるか?」


 たずねると、世界で一番幸せな女の子みたいな顔をしたは強くうなずいてくれたんだ。

 もちろん、「はい」と。

 こうして、俺とは彼氏彼女になった、


   ☆ ☆


 私がおさなじみしののめ結弦ゆづるくんに告白しようと決意したのは、十七回目の誕生日のこと。

 その夜は、毎年こうれいの〝ほしあい祭り〟でした。

 日本でも有数のきよだいな公開天文台があるこの町では、七夕の夜に町をあげた大きなお祭りがかいさいされているのです。

 私は、そのお祭りが大好きでした。

 だんなら夜にしずんでいるはずの時間でも星が落ちてきたみたいに町はキラキラしていますし、だれもが楽しそうですし、いつもよりおそくまでユヅくんといつしよにいても