こちら、終末停滞委員会。2
第1話『転校生、登場!』 ⑤
「あのアホ
「ははは。そうかな。君はどこに行っても重宝されそうだけど」
「まさか。
フォン先輩って、エリフ会長のことをすごく尊敬しているんだな。
《僕がこうしていられるのは、会長のおかげだ》
《……
それでも良い、と彼は断じているようだった。それがなぜかはわからないし、探って良いとも思えなかった。俺はできるだけ、彼の心の声を聞かないように意識を向ける。
「さて、フォンも戻ってきたし本題に入ろうか。彼女は?」
「あ、もう戻って来ると思いますよ、ほら」
ベランダの扉が開いて、外でタバコを吸っていたLunaさんが部屋に入った。俺たちは深く
「それでなんスか会長サン。うちこー見えて夜型人間なんスけど。いやまんまか。草」
早朝に呼び出されたせいで、Lunaさんは眠たげに目をしょぼしょぼしていた。どうやら最近、ソシャゲにドハマリして夜ふかしをしているらしい。
「『守護者たち』を討伐した時の話を聞きたい。二人で合体したとかって言ってただろ?」
フォン先輩が
「……あー。アタシの
彼女の判断として、『人間を糸の骨格で覆う事』自体は平常のものだったのだ。彼女の次元ではそれが一般的な機械兵器の使い方で、彼女はそれに
「人間の
Lunaさんは、俺を見つめた。静かな瞳で。
「──たとえそれをしたとしても、まず勝てないだろうと思っていた」
彼女は別の次元では、有名な戦士だったそうだ。度数が高くてバカ甘いアルコールを飲みながら、自虐的な笑みを浮かべながら、
「うん、それは僕たちも同じ見立てなんだよ。検査の結果を見たけど、出力が異常でね」
フォン・シモンがもう一度
「Lunaさんの糸が、
フォン先輩がデータをディスプレイに映し出す。
「
「……それはすごそうっすね?」
0が多すぎてピンとこなかった俺の返事に、エリフ会長は噴き出した。
「ははっ。『すごそう』なんてモンじゃないよ。これはとんでもない発見じゃぜ。もしも君たちの変換効率の謎を解き明かし、他の分野に転用する事が出来れば、まさに革命が起きるだろう。電話の発明ぐらい、世界は形をぐるっと変えるだろうね」
「僕たち
全く心当たりが無い、と言いかけて、先にLunaさんが口を開いた。
「──ご主人ちゃんの終末
Lunaさんは、俺の頭にポンと手を乗せた。
「ご主人ちゃんと一緒になった時、自分が拡張される感覚を覚えた。あれは……根源と
Lunaさんはチラっとこっちを見てから、すぐに何かを隠すように視線を
「ンで? だとしたらどーすんの。うちらを透明の
彼女は、フォン・シモン先輩を
「まさしく、僕はそうしたいけどね。けれど、会長が──」
「ボクはそういうやり口は好かない。人間の愛と自由意思を信じているもの」
会長の心を読む。穏やかで、
「実験に付き合って
「あ、いやいや。俺もエリフ会長とおしゃべり出来て楽しかったし」
「……ふぅーーん?」
エリフ会長は、童顔の割に切れ長の目を細めてニヤリと笑った。
「へーえ。そうなんだ? そういう感じなんだ? いいよ。またちゅーする?」
「へあっ」
Lunaさんの暗い目が俺を見つめた。
「……なに?」
「ちゅーより先に進むのはまだ早いか。今度デートいこうね」
「ご主人ちゃん。この会長が何の話してるか、説明して
俺は滝のように汗を流しながら、視線を