こちら、終末停滞委員会。3
第1話『きっと、楽しい。』 ①
俺──
「居たか!?」
「こっちじゃない! きっとあっちだ!」
「うおおお、絶対
「くすくす、なんだか楽しいですねっ」
「……楽しんでる場合じゃないですからっ」
俺の背後に、大きなトレンチコートとサングラス、それに帽子を
「くそ。生徒会室までの廊下は封鎖されてます。……学園内の要所も押さえられてる」
「わ、すごいね。コトハ見てないのに分かるんだ。未来予知? の終末だっけ」
「仕方がありません。別ルートから生徒会室を目指しましょう」
「あいあいっ、キャプテン!」
少女は
「あ! あそこに居たぞ!
「チッ、もう見つかった!」
俺は、フルクトゥスで最も有名な歌姫──mALEEaの手を取って、駆け出した。
「走ります! 行けますか!?」
「くす、当然っ! これでもトップアイドル! 走り込みはバッチリなんだから!」
俺とmALEEaは、猛ダッシュで
「待てー!
「絶対逃しませんっ! シャムシール!!」
俺達を追うのは血走った目をしたmALEEaの熱狂的なファンたち。
(……全く、何でこんな事になったんだよ!?)
☆
──Corporationsの警備隊隊長ケイトリン・アン・オースティンによる
なんと事件の首謀者であるケイトリン隊長は刑務所から脱獄し、今では
『この度はめちゃめちゃ迷惑かけてごめんねーエリフちゃん!』
エリフ・アナトリアと、アメリアの会談が行われたのはつい先日の事だ。Corporationsは先の事件をテロ行為としているが、
『全然構わないよ。とは
『たはは……仕方がないねえ』
というわけで、
『──以上だ。ボクからの条件はこんなところかな』
『ひぃいいんっ。エリフちゃんの馬鹿っ。ガチでふっかけすぎだよう!』
2人の生徒会長の会談には、
『ボクの両翼からは、他に何かあるかい?』
エリフは会談に同席していた
『いえ。両校の
『そうかなあ!? 私は全然割れまくってるけどね、ヒビ!』
半泣きのアメリア会長を無視して、
『
『ひぃっ。それ引き抜きって言うか人質じゃん!』
銃痕などの特殊能力は、個人の
『そうだ! ──mALEEaちゃん
アメリアは顔を真っ青にして叫ぶ。
『だめだめだめ! mALEEaちゃんの全体バフは超強力で、彼女のライブは
エリフ・アナトリアは笑った。
『よ・こ・せ』
『ぎゃぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!』
そういう事情で、
『とは言え、表向きはあくまで留学という形。mALEEaの自主性によるものと報道する』
後日。
『彼女の来校初日は、
という訳で、彼はmALEEaを護衛することになったのだった。
■
(まさかここまでとは!?)
「あははは。楽しい学校だねっ」
「楽しんで頂けてるなら何よりですがねえ!?」
彼らはmALEEaのファンなので、彼女を傷つけるつもりは皆目ない。しかし護衛である俺は障害物としか思っていないので、真っ先に排除しようとしていた。
「
その正確な射撃を、俺は紙一重で予測して避けた。
「ぎゃあ! そこのおめえ、今マジで狙っただろ!?」
「俺の銃痕に殺傷能力は無いッ! ただちょっと脳を作り変えるだけ」
「脳を作り変えるって何? 洗脳とかってこと?」
「ううん作り変える」
怖すぎる。俺達が捕まるのは時間の問題だ。
(くそ、このままじゃ──)
「──ぇ何してんのこの人たち、まじ。は?」
怒りマークを額につけたフリフリジャージのメイドさんが、空から降ってきた。
「Lunaさん!」
「ここはアタシに任せときご主人ちゃん。つって死亡フラグかよウケる」
彼女は
「ぎゃんっ」
走っていた暴徒達は、透明な壁にぶつかる。Lunaさんが造った、糸の結界だ。
「はーい、アタシの主人に発砲した人挙手。……いやしなくてもいい、顔覚えてるから。今からボコりまーす。拒否権はないです普通に。おいゴラッ」
Lunaさんのお陰で、俺達は学園からの脱出に成功した。背後で彼女が叫ぶ。
「早く行って! そんな長い間は
「ありがとう! ……行こう、mALEEaさん!」
「はい、コトハっ」
はぐれないようにmALEEaの手をぎゅっと握ると、全力で駆け出した。
「……えなんか手握ってないあそこ? えそれはなんか。……なんかじゃない? お姉さんそれはちょっと、違うと思うんだけどなあ! ね、ご主人ちゃん!? おいっ!!」
怒声が聞こえた気がしたけど、そんな場合じゃないのだった。