こちら、終末停滞委員会。3
第2話『縛鎖の探偵』 ①
バザールでのパニックが収まった後、
「頼むよ、
俺達はマジックミラー越しに、尋問室を見ていた。室内では拘束衣を着た探偵が椅子に座らされている。探偵能力の影響を受けないよう、10m以内には誰も居ない。
「はい」
俺はエリフ会長から、依頼を受けていた。それは探偵の尋問に立ち会う事。彼女の
「──聞こえるかな、探偵」
エリフ会長がマイクに声をかけると、探偵は口を開いた。
『は、はじめまして。エリフ・アナトリア会長。……わわ、私は……探偵協会のC級探偵……『
「まず聞かせて欲しい。なぜ、バザールであんな騒ぎを起こしたんだい?」
『ほ、本当に、ごめんなさいっ。探偵協会は、他組織との接触を、よ、良しとしません。私が
エリフ会長が、ちらりと俺の方を見る。
「彼女は真実を語っています。彼女は探偵協会を裏切って、
「この事件は探偵協会の意向では無い……か。それが
エリフ会長はほんの少し考えてから、マイクの通電ボタンを押した。
「よし。端的に、君の目的を教えてほしい」
探偵の心臓が跳ね上がる。凍りつく程に恐怖を覚えながら、口を開いた。
『──数日以内に、この次元は滅びます』
俺とエリフ会長は、一瞬、言葉を失いかけた。
『
「……
『あ、すいません。探偵協会によって付けられた、とある次元の通称です。私達が今いるこの次元は「桜次元」と呼ばれています。「桜次元」から離れた位置に「
『
『
「……上野? そんなところに、何があるって言うんだ?」
『──
俺は思わず、あっ。と
「前にその報告書、テル先輩の研究室で見たことがあります」
エリフ会長はリンフォンを操作して、その報告書のダウンロードを始める。
「でも会長。確か『鉄の心臓』って、
「……いや。そんな事は無いよ」
エリフ会長は、妙に納得したように
「一五枚羽以下の学生には、虚偽の報告書しか閲覧出来ないように設定されている。それだけ
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【No,1000『鉄の心臓』】──Stage 1:『
○性質──旧神
○詳細──東京都台東区上野の
◯来歴──旧人類の
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俺は、首をひねった。
「……よくわかんないんですけど。『基礎次元』っていうのは、俺達の居るこの次元のことですよね? それが放つ……波……? これつまり、どういう事なんです?」
「端的に言うと──鉄の心臓は『他次元の脅威から、我々の次元を隠す』のさ」
「隠す? でも他次元の人たちも、普通にその辺に居ますよね?」
境界領域商会とか、探偵協会とか、他次元に存在する組織のはずだ。彼らは普通に、地球上でも迷惑千万に活動していると聞く。
「隠れ家系バーを想像して。地図に載ってなくても、客は来るだろ?」
鉄の心臓は、俺達の店(次元)を地図から隠す機能があるわけだ。なるほど、
「ボクたちの次元は、他次元に比べてずっと長命だからね。その理由は、この『鉄の心臓』が大きな部分を
そう言えば、なんか前に言ってたな。この次元は、寿命だって。他次元に比べるとヤバイ客が来づらいから、均衡を保ちやすかったのかもしれない。
エリフ会長は険しい表情で、マイクのボタンを押した。
「教えてくれ。
『「
「……なに?」
『ここから先は、少し早口で
その発言は、
『あなた達は、
「……いや、知らない」
『「星のくじら」は光速の1298乗の速度で走る生命体です』
いやいや待てよ。確か物体は光速よりも速く走れない
『「星のくじら」は、1秒に数万の次元を滅ぼしながら、外次元を回遊しています。そして、その本能はただ一つ──知的生命体の居る次元を目指すこと』
「い、1秒で数万の次元を滅ぼす……だって……?」
俺は思わず、
『「星のくじら」の針路に「
「……なるほどね」
『「
「つまり、ボクたちの次元を餌にして?」
『はい。「星のくじら」がゴール地点を桜次元に変えれば、
なるほど──話は
「そのために『鉄の心臓」が邪魔なのか」
『「鉄の心臓」の効果が無ければ「星のくじら」は近くの桜次元を目指す
1.『
2.それは『鉄の心臓』を
3.『鉄の心臓』を
4.その場合『星のくじら』は俺達の次元を標的に定め、跡形もなく破壊する。
(なんてこった。ガチでヤバいじゃないか)
正に終末の危機だった。この事件で下手を打てば、必ず宇宙は崩壊する。俺は背中に冷たいものが流れるのに気がついた。それは死の恐怖にも似ていた。
「それは……なるほど……えげつないな。だが1つ分からない。もう1つ、聞かせてくれ」
エリフ会長は声を震わせながら、