こちら、終末停滞委員会。3
第3話『永田町』 ①
羽田空港のエントランスに降りた時、
……俺は少し、泣きそうになった。
「──ここが日本!
「
俺達は
「へえ、これがお煎餅って
「って、Lunaさんもう買い食いしてるし!」
「……ご主人ちゃんも一口食べる?」
「私、日系だけど日本来るのは初めてなのだわ。アキバ絶対行きたい。ね、エリちゃん」
「くす。全部が終わったらね」
終末寸前であるというのに、
「しかし君が来る必要があったのかい、テル」
「フハハ。日本はあの『百鬼夜行』の国だぜ。研究者として見逃す機会は無い。違うか?」
今回は
「え? お煎餅? わー、アニメで見たことある! 食べたい食べたいっ」
──
「ひゃっ……ま、マジで居る。本物のmALEEa様が……っ。五体投地しなきゃ……」
mALEEaの大ファンの
「ウーちゃんも来れたら良かったのに」
「絶対嫌がるだろ。それに彼女には、ボクたちの留守を
(こんな形で日本に帰って来るとは)
メキシカンマフィアに人身売買されてから、3年ぶりに立つ故郷の大地だ。あの薄暗い地下室で、どれだけこの日を待ち望んだことだろう?
もう二度と帰れないから諦めろと、何度自分に言い聞かせ続けたことだろう?
「……ご主人ちゃん」
「えっ? なんすか」
「おかえり♪」
いつもダウナーなLunaさんが、本当に
「指定された出口は、こちらですね」
しっかりしているメフがスマホ(この日のために買ったらしい)で地図を見て、若干浮かれ気味な面々を誘導する。
「「──お待ちしておりました、
指定された要人用出入り口の先に居たのは、双子の少女だった。彼女達は一見すると
「ええと、君たちは……一体……?」
エリフ会長が尋ねると、
「「私達は日本政府に開発された人工精霊。『ロクヨン─a』と『ロクヨン─b』。
彼女達は非人間じみた美しい表情で笑みを浮かべると、俺達を誘導する。
外の道路にあったのは、黒塗りのリムジンだった。
「「さあ──行きましょうか、皆様方。お館様がお待ちです」」
「……メイド」
「Lunaさん?」
「……双子
「Lunaさん」
うちのメイドさんが
日本国民の多くが知らない事ではあるが、永田町の地下300mには巨大な空洞がある。そこにあるのは戦後GHQによって設立された組織──『
「す、すげえ……! こんなとこ、あったのか!?」
永田町の立体駐車場でリムジンで入ると、巨大なエレベーターが動き出す。ごうん、とエレベーターが作動して、地下300mの地下空洞に降り立った。
「「ようこそ。
「……怪異?」
俺が尋ねると、答えてくれるのはメフだった。
「終末の事を、日本では伝統的に『怪異』と呼ぶのです。アメリカの人たちが『アノマリー』と呼ぶのと同じですね」
「「お館様が会議室でお待ちです。会議へ行く方は『ロクヨン─a』へ。待機される方は『ロクヨン─b』に続いてください」」
エントランスではパタパタと白衣を着た人々が駆け回っており、なんとも忙しそうにしている。俺達は人工精霊に促されて、二手に分かれることにした。
「じゃあ会議組は、ボクと、
エリフ会長の提案に
「俺様は研究所を見ていくぞ。村田博士にアポは取っているからな」
「「はい。ではテルミッド様はこちらでお待ちください」」
「……兄さんだけでは心配すぎるので、私もそっちについていきます」
妹からのじっとりとした視線に、テル先輩は、ガーンとしていた。
「そんじゃ
「了解です!」
■
──会議室の物々しい扉の奥に座っていたのは、白髪の老人を筆頭にした、険しい表情を浮かべたスーツの人々だった。俺達を見た彼らは、一層緊張を強くさせる。
《来たか。あれが、例の──宇宙人》
《
そこに居る人々は、恐らくは誰もが何かしらの組織の要職に就く人材だ。国防に関する彼らは、恐ろしい程にピリピリとしながら、警戒していた。
(ひええ〜〜! ここまで歓迎されていないムードだとは)
俺もよくは知らないのだけれど、きっと
「お招き頂きありがとうございます。
「こちらこそ、ご足労頂き感謝します。私が
エリフ会長が一礼して、俺達もそれに
「率直に申します。
その声色に、彼女が少女だからと
「ではボクも率直に。最悪で宇宙崩壊。最高で東京崩壊。そのレベルで考えて下さい」
「な……っ」
会議室の男の1人が、立ち上がる。
「東京崩壊……ですって!? それはどういう事ですか」
「日本近郊にある巨大ポータルは3つ。東京上空に1つ。北海道の上空2000mに1つ。そして、