俺の幼馴染がデッッッッかくなりすぎた 1

2‐7.りりさ流トレーニング

 筋トレをするために、りりさの部屋に来た俺。

 なんとなく良い匂いのする女子の部屋。相手がりりさとはいえ、年頃の女子の部屋に入るのはちょっとだけ緊張する。


「へいらっしゃい! 準備デキてるよ!」

「なんでラーメン屋風なんだよ」


 出迎えたりりさは、いつもの制服姿ではなかった。


「それ、こないだ買ったヤツか?」

「そうそう、かわいいっしょ?」


 ピンク色のトレーニングウェアで出迎えるりりさ――であるが。

 当然ながら、体の線が出るウェアではりりさの巨乳もばっちり見えてしまう。

 というか胸の盛り上がりに引っ張られて、ウェアの丈が短くなり、りりさのへそまで露出している。本来はちゃんと隠れるはずなのだが。

 ウェアの肩ひもも、胸にひっぱられて大幅に伸びており、肩から胸にかけて、本来あるべきではない隙間が生まれている。その空間を埋めるように、りりさの胸がどん、と現れるのだから――。

 思春期男子には目の毒だ。これはたしかにジムには行けない。


「……カワイイデスね」

「なんでカタコトなの?」


 胸が横からよく見えそうだ、なんて口が裂けても言えない。


「――りりさの部屋、久しぶりだな」


 俺は露骨に話題をそらす。

 りりさの部屋は、意外とシンプルだった。

 花柄の壁紙。勉強のための机とか教科書。クローゼット。ベッドにはあったかそうなクマ色の毛布と、テディベアのぬいぐるみ。部屋の中央には、ピンクのテーブル。その向かいにはテレビとゲーム機。

 りりさはそれまであったのだろうテーブルとラグマットを隅に寄せて、代わりに二人分のヨガマットを敷いていた。

 りりさも筋トレはやる気満々のようだ。


「んしょっと……よし、こんなもんかな」

「なんか……意外と、ものがないな」

「そう? こんなもんじゃない?」

「いや、昔はもっとぬいぐるみとか、細々としたものがあったような……」


 りりさは、その辺でキレイな石とか拾ってきては、小瓶に詰めてコレクションしていた気がする。

 まあガキの頃の話だから、とっくに卒業したのかもしれないが。


「あー、あれね……実はいくつか残してたんだけど」

「けど?」

「落とすのよ、おっぱいで」

「は?」


 りりさは胸を張る。


「こう、その辺に置いとくとさ? ふとした時におっぱいをぶつけて、落としたり、瓶だったら割ったり、色々やらかすわけで」

「…………」

「振り向いたりすると、遠心力で結構勢いつくしさ、まーとにかく、この重りはなかなか制御できないのよ! だから机とかに落ちやすいものは置かないようにしたのよ」

「……そうか。大変だったな」


 こんなところでも、りりさは胸に振り回されている。


「なんでまあ、スッキリしてるけど……たまにテレビのリモコンとか、ジュースとかを倒すんだよねえ。気を付けないと」


 りりさは首を振って。


「とりあえず! 自分の身体を自由に使えるようになるために、筋トレしよっか! トウジ、よろしくね!」

「そうだな。振り回されないように」

「がんばるぞー! おー!」


 りりさは拳を突き上げて、ジャンプした。

 頼むから飛び上がるな。胸が揺れる。


「ほら、あと3回!」

「んんんん~~~っ、ふんぎぃぃぃ~~~~!」

「フォーム崩れてるぞ、がんばれ! 腰を落として!」

「んんんんぁぁぁぁ~~~~~~~っ!」



 俺はりりさを励ます。

 りりさは顔を真っ赤にして、歯を食いしばりながらスクワットのメニューをこなしていた。

 頭を手の後ろに置いて、腰を落とすポーズははっきり言って、尻と胸が強調されるのだが――これもりりさに必要なこと。

 邪念は捨てて、りりさのコーチに徹する。


「あと一回だ! ファイト! お前ならできる!」

「んんんっ! ふんんぬぬぬううううう~~~~ッ!」


 腰を思いっきり落とした状態から、ラスト1回の動作を終えて、りりさがヨガマットの上に倒れこんだ。


「ひいっ、はあっ……はあっ……あ、足が、足が死ぬ……」

「次は背中だぞ」

「鬼……鬼トウジ……」


 倒れこんだりりさが恨みがましい目を見つめてくる。


「太ももと内ももが痛い……ヤバい……明日もう立てない――」

「下半身を鍛えないと重量に耐えられないんだろ」

「くうう~~、言い返したいけど……」


 りりさは歯噛みした。

 ちなみに俺はりりさの分が終わっても、自分のスクワットを続けている。

 太腿筋、大殿筋、ハムストリングスへと、痛みと疲労が蓄積されていく。この『筋肉を使っている』感覚が、つらくも妙に心地よい。


「筋肉オバケめ……」

「お前がモチベのために呼んだんだろうが。なんで罵倒してんだ……よっと」


 1セットを終えて、俺も大きく全身を伸ばす。

 ただ、りりさは文句ばかり言っているが、スクワットのフォームはキレイなものだった。トレーニングとしては上々だ。

 俺の前では文句ばかりではあるが、それはそれとして、彼女なりに努力していることがうかがえる。

 どうしてもりりさのスタイルのせいで、大きな胸に目が行くが、下半身もそれなりにボリュームがある。こちらは脂肪ではなく、筋肉が大きい。

 彼女なりにスクワットで下半身を鍛えてきた証拠だろう。


「このままじゃお前、俺に水泳で勝てないぞ」

「はいはい。勝負する機会があったらね、まったくもー」


 汗を拭きながら、水筒に用意してきたスポドリを飲む。

 りりさもテーブルに置いてあったスポーツ用水筒を、ひょいと掴んで飲み始めるが――。


「おい」

「んんん~? ずずずっ……なぁに?」

「なにじゃねえよ」


 りりさは水筒を飲むだけでも、驚くようなことをするのだった。

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