エルフの渡辺
第二章 渡辺風花はそわそわしている ⑤
だが
それだけに同じ一人部活の園芸部に新入部員が入ったのは、
「もちろんそういうことなら遠慮するよ。どう考えたって初日にカメラ構えた俺がいたら邪魔だもんな」
「べ、別に
「分かってる。ありがとう。でもやっぱり一年生には最初にその部が何をする部活なのか、きちんと丁寧に見せてあげないといけないしさ」
「うん。そうなんだけどね」
それでも少し申し訳なさそうにしているエルフの
「それは、俺が写真部で先輩にしてもらったことでもあるんだ。コンテストは写真部の事情で
「うん。ありがとう。もうその子にも、私が
少しだけ言いにくそうに、それでもエルフの
「
「……うん」
「スマホが魔法の対象ってことはコンパクトデジタルカメラとかデジタルミラーレスとかフィルムカメラでも、写真を撮ると今のエルフの姿じゃなく、日本人の姿で写るの?」
「うん。そうじゃないと、学校の卒業アルバムとかでも、エルフの姿になっちゃうでしょ?」
「まあ、それもそうか」
「日本人の姿で写るなら、コンテストも大丈夫?」
「それは大丈夫だけど、俺が今使ってるカメラは撮る瞬間までは俺自身の目で対象をファインダーから捉えてるから、目で見た印象と現像した写真のイメージをすり合わせる練習はしなきゃいけないと思う」
「やっぱり混乱しちゃう?」
「多分、する。撮影の瞬間目で見てる姿形と実際現像される写真の姿形が変わっちゃうわけだから、実際それがどれくらい結果に影響するかは、回数を重ねて試してみないと分からない。だから……多分、振り出しに戻ったくらいの気分でいないとダメなんだと思う」
「でも、そう言ってくれるってことは、私がモデルのままでいいの?」
「俺としてはお願いしたい。
「
その笑顔が、
エルフの顔を見慣れないものとは違う、泣きはらした目の影響でもない、何か不思議な感情の色のようなものがあった気がした。
父のフィルム一眼があれば、もしかしたら『輝く被写体』だったりしたのだろうか。
「私こそ、
だがエルフの
「でももし私をモデルにするのが難しいって感じたら、そのときは遠慮しないで言ってね。
「ああ。まぁそれは……でも、前にも言ったけど、
「隠れ
「うえっ!?」
突然急角度からブチこんできたエルフの
「き、き、聞こえてたの!?
「エルフなので、耳は
そう言うと、泣きはらした目の下の頰を少しだけ上気させる。
「ただ……ときどきクラスの男子から見られてることには気づいてたんだけど、
「だ、大丈夫だよ! エルフの姿を知ってるのは俺だけだし……!」
「そのせいで今、
「いや、まぁ、そりゃ困ってないとは言わないけど、でも……」
「ふふ。それはともかく、もし本当に私をモデルにし続けるのが難しいと思ったなら、私が新しいモデルを紹介できるかもしれないから、そのときはちゃんと言ってね」
「
「うん。さっき話した一年生の新入部員のこと」
「いいの? 勝手にそんな約束して」
「事情を話せば協力してくれると思う。礼儀正しい真面目な
「新入部員って女子なんだ。その言い方だと、もしかして元から知り合いな感じ?」
「同じ中学の後輩なの。また来てもらえるようになったらそのとき紹介するね」
ふと、