エルフの渡辺
第六章 渡辺風花は見えていない ⑦
「食べずに魔力が尽きると、魔法が解けるんじゃなく魔法が体から力を奪い続けて死ぬわ」
「
とんでもない事実をあっさり明かす
「だって、重々しく扱ったからって軽くなるわけじゃないもの」
「そりゃそうですけど!」
「姿隠しの魔法はサン・アルフにかけられた呪いのようなもので、自分達で解くことはできないの。解く方法も伝わっていない。ただ時々あなたや
寂しげにそう言いながら、
「試してみて、もらえないかしら」
おずおずと差し出されるカメラを、まるで自分のものではないかのように丁重に受け取った
「撮っても、いい?」
「私はずっと前から
エルフの
その笑顔に、自分には見えておらず、彼女には見えている『
先ほどまで殺し合いでもしかねない勢いで言い合っていた
「本当にこのカメラにそんな力があるかどうか分かりませんけど」
ファインダーの中には、幻想的に光るテラスの地面と大樹と星一杯の夜空。
そして、恥ずかし気に寄り添う小さな影の
その全てが、光り輝いていた。
「二人とも、笑って」
それはカメラマンとしての要請ではなく、半ば祈りであった。
地球の人間には想像もつかない力を持つ種族の持つ、悲しすぎる呪いを少しでも和らげたい。
本当にこのカメラに魔法を打ち破る力があるのなら、この呪いを打ち消すことができるように。
写真に写った人々が、笑顔になるような、そんな写真を。
祈りの果てにかけられた声は、
「はい、チーズ」
日本ではあまりにも使い古された、そんな言葉だった。