錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ
1 ①
ビスコとミロ、そしてアクタガワの一行は、
旅の途中、兵庫は
「動くな──っ、武器を捨てて、こっちへ……。いや待てよ、誰かと思やあお前、ビスコじゃねえか! みんな、ジャビ
「あの悪たれが、立派になったねえ。見なよ、
「誰が嫁だ、バカ! こいつはミロ! 俺の、新しい相棒だよ!」
キャラバンは鳥取のキノコ守り達が中心であり、
二人と一匹はそこで上等な(キノコ守りにしては、だが)もてなしを受けた後、折角なので、今のビスコの特異体質について長老に尋ねてみることにしたのだった。
「不老不死の、人間ってな、おるよ」
「ええっっ!?」
「人を不死にできるとも、聞いたわいな」
「おい、ばばあ! 適当こいてんじゃねえだろうな!」
「ちょっとビスコ! 言い方っ!」
長老は長いパイプに
「うちは昔、クサビラ様っていう土地神を持ってたんだが。島根から来た『
「『
「お前さんみたいに、キノコの力を由来にしてるかどうかは知らんが。あたしゃ、そいつに二発、ベニテングをぶちこんで、それでも生きてやがったからね。こりゃ、ほんとに不死身だと思ってよ。とても
顔を見合わせる二人の少年を見ながら、老婆は傷痕だらけの顔に僅かに笑みを浮かべて、パイプを数回、吹かした。
「もう昔の話になっちまったんだねえ。島根の
「長老。まだ、その
「そりゃどおだろな。つい最近、その
長老はそこで
「まあなんにせよ、行くだけ行って、不死の秘密でも探してみちゃどうだい。人を不死にできるんだったら、不死を取っ払うこともできるかもしれん。いずれにせよ、何ぞ手がかりがあらあな」
歴戦の老婆はその太い指でビスコの顎を捕まえて、顔の真ん前でにやりと笑った。
「ま、あたしなら、そんな便利な身体を捨てようなんて、無粋なことはしないがね」
そして。
その半月後……大宗教国家・島根。
周囲の県とは距離を置き、独自の文化体系を持つ島根県は、中央政府に対してほぼ同等の発言権を持つと言われている。
その根拠となるのが、信仰の力、宗教の持つ強大な影響力である。島根を根城とする、
都合、島根は中央政府から干渉を受けない中立県となり、一部の者からは「国家」とすら呼ばれるほどになった。
とはいえ。
この現代日本に、争いや陰謀のない場所など、あるはずもない。
県には県同士のいざこざがあるように、島根の宗教もまた、宗教同士のいざこざ……はっきり言ってしまえば、絶えない戦争の火種を、今日もくすぶらせているのであった。
「いやさーっ、まさか妹が帰ってくるなんて、思ってもみなかったんだから! 父さん母さんにも死なれちゃって、一人っきりの妹までいなくなっちゃったんじゃ、店も畳んじまってあたしも尼になろっかなって、ちょうど考えてたところだったんだあ」
酒場にぶら下がるいくつもの電球に羽虫が群がり、その小さな身体をぶつけてはカツカツと音を立てて僅かに電球を揺らしている。その下のテーブルには、農民とおぼしき連中が杯を手に、土に汚れた顔でげらげらと笑っている。
「ほんと、感謝してもしきれないよ! 今日はさ、遠慮しないで何でも食べていきなよね! うちの飯はここいらでも、ちょっとした評判なんだよ」
「パレンちゃーん、こっち焼酎カラだわ。酌しておくれよお」
「やーだよ、自分でやんな! 今日は、こっちのお客さんが第一
年若い美人
「おい、何だこの豆腐? めちゃめちゃ
「リッツ、それ、そのまま食べるんじゃないよ。このお
「肝そば、知らないかい? 浮きアンコウの肝を使ってる、島根名物だよ」
「ずるるるるっるるるるる」
「うわあ! き、汚い! ちょ、ちょっとは女の子らしくしてよ!」
カウンターに座っているのは、
一人は、絹糸のような空色の髪を肩まで垂らした、線の細い少女であった。顔の左側を覆うように包帯を巻きつけ、やや妖しげな気配を持つものの、穏やかな顔つきは慈愛に満ちて涼やかに美しく、これほどの美人を見つけるのは難しいといえるだろう。
一方、その片割れというのが、これは……
化粧はとても似合うとは言いがたく、およそ女と言うには野性的に過ぎるようだが、顔立ち自体は整っているし、この時代、
二人とも、首や胸元に化粧で隠しきれない傷跡がいくつも刻まれていて、壁にかけてある
「おい。こんなに飯が
「誰のせいだと思ってるんだよっ! ビスコがあんな派手な
「おい、バカ! 本名で呼ぶなっつったのは、お前だぞ」
「う。ご、ごめん……」
無論のこと……
この不器用な変装で女を
助けた