錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣
2 ②
聞きとるのも一苦労な老婆の涙声に、パウーが「ううん?」と
「どうにも要領を得ないな。無理もないか……ひどく混乱している」
「うん。でも、連れていかれたってことは、殺されなかったってことだよな。おい、
老婆はビスコの腕の中で言う通りに息をつき、ゆっくりと呼吸を落ち着けて……時折、恐ろしい記憶にびくりと
「り、
「おい! そりゃ結局、殺されたってことじゃ……」
「ビスコ」パウーがビスコの肩を
「監獄ぅ?」
「うむ。ならず者のキノコ守りをまとめて連れていくとすれば、
「……ふうん。なるほど?」
ビスコは少し考えて、パウーの言葉に
「だとすりゃあ、立て続けに別の集落が襲われる可能性があるな。アクタガワにひとっ走りしてきてもらおう。この
「我々は、
「同族を助けるのが先だ。ミロ! 行くぞ!」
二人からやや離れて、じっと桜の様子を見守っていたミロは、相棒の声に振り返って「いまいく──っ!」と返事を返す。
そしてその場に見切りをつけて
先ほど老婆が地面に咲かせたシメジ達に、次々と桜の花びらが群がっていくのを目撃した。ものの数十秒とたたずにシメジからは木の枝が生え、小さな桜の木へと形を変えてゆく。
「…………っ。」
眉をしかめるミロの背筋に、わずかに寒いものが走る。
『キノコを、食っちまうのよォォ』
老婆の