錆喰いビスコ7 瞬火剣・猫の爪
2 ②
『閉門プログラム、閉じえもん・exeを展開!』
『『はッッ』』
『ファイアウォールによる妨害が予想される。チロルよ、突破は任せてよいな』
「本当はゲームパッドがいいんだけど。弘法筆を選ばずっ!」
チロルがすばやく画面を切り替えると、そこには何やら微細なドットで描かれたシューティング・ゲームの背景が映し出された。画面上部から降ってくる猫が吐き出すおびただしい弾幕を避けながら、クラゲ型の自機が
「おじいちゃん、侵入できたっ! 経文を流して!」
『『らんち・げーと・くろーざー。検索。更新。でりーと・ねこ・こんふゅーざー。構築。更新。検索。りらんち・ねこ・でりーたー……』』
「くそっ。思ったより弾幕が厳しい……!」
鮮やかに敵猫を撃破してゆくチロルの肌はしかし、髪の毛が張り付くほどにじっとりと汗をかいている。自身の中枢に侵入されびくびくと震える猫門の上で、ビスコは……
「おいミロ。なんか急に遊びだしたんだけど、こいつ」
「違うってば! これはハッキングプログラムをゲーム風に可視化したものだよ。
「俺にもやらせろ。死んだら交代だぞ」
「あ──うるさい! 気が散るっ! ……ようし、もうちょっと……!」
チロルの指がすさまじい早さでキーボードを
その直前に、
『マ、マ、マ……』
「!? 猫が起きた。こいつ、暴れるぞ」
「チロル、危ない! 一旦ここから逃げよう!」
「だめ、あとちょっとなの! このボムさえ……ああっ!?」
『マ────ックション!!』
猫門の盛大な『くしゃみ』が、リアクションの暇も与えず、三人と一匹を空中高く
「ビスコ!!」
「すげえ力だ。身動きが取れねえ!」
『んマ─────────────』
それまで眠たげだった猫門の
「まずい。アクタガワが食べられちゃう!」
「やらせるかッ!」
ビスコは腰のサックからかろうじてシメジ
ぼんっっ!! と
「ほっ。じゃねえだろおおお───っっ!! あたしはどうすんだよ!!
「ミロ、エリンギだ! そこにワイヤーでいくぞ!」
「わかった! 今……」
『んマ───────────────────!』
アクタガワを奪われて、猫門が怒りの声を上げる!
ごおっっ!! と、竜巻の威力が一層増して、
「「「おおおわ────っっ!!」」」
その
しゅぽん。
猫門はとうとう、その口の中に、少年たちをまるごと吸い込んでしまった。
『にゃ、にゃんたる!!』
地面に落ちたコンピュータから、大僧正の悲壮な声が響く。
『そんなばかな。猫門自らが動き出すとは!?』
『ンミャオ』
『あっ』
びたんっ!
『ごごごごごごご……』
と、
アクタガワは
…………。
アクタガワは……
ぶくぶくぶく、とその場で泡を吐いてしばし思案したあと、まあ