第一章 バクダンのバはバランスのバ②
できました!
すっごい
というか、ディラハンを種族に選んだら、馬車と
なので、そちらも思い切り格好良くしてみました!
ちょっとした宇宙船みたいな馬車に、どこの宝箱だよっていうぐらい
決定してから気付いたけど、私自身の容姿を
キャンセルしようと思ったら、『キャンセルした場合はアバタークリエイトを一からやり直すことになりますがよろしいですか?』という文字が出てきた。
「マジかぁ……」
三時間の努力の結晶を無に帰せと? いや、無理だって。
「まぁ、顔は
とにかくやり直しは嫌なので、そのまま進める。
で、アバターの後はユニークスキル決め。
ユニークスキルはランダムで決められるんだけど、気に入らなかったら何度でも引き直しできるらしい。事前に作られていた攻略サイトでは、アバターに凝るよりも、こちらのユニークスキルガチャに時間を突っ込むのが正解だとか書かれていたっけ。
なにせ、ユニークなスキルだ。つまり、LIAの世界にひとつだけのスキルとなる。
要するに、これも
というわけで、私よりも早くアバターを仕上げた人たちは、
うーん、ここは急いだ方が
私が悩む目の前で、スキルの名前が入れ替わり立ち替わり変化している。どうやらランダムで変わっているらしく、目押しはできなそうだ。
「まぁ、気に入るまで引き直しができるんだから、大して考えずにぽちっと」
止まれ、と意識した瞬間にランダムで移り変わっていたスキル表示が止まる。
そこに書かれていたのは……。
▼ユニークスキル:【バランス】
これに決定しますか? ▼はい / いいえ
バランス……?
「え、どういうスキル? 普通、スキルって剣術とか、魔法とか、そういうのじゃないの?」
疑問に思っていたら、答えが返ってきた。
【バランス】
全てにおいて、バランスがとられる。
全てって書いてあるってことは、行動の全てに補正がかかるってことかな? 攻撃動作とか回避動作に補正がかかって有利に動けるとか、バランス感覚が良くなるとか、そういうこと?
ディラハンなんて種族を選んじゃったものだから、近接戦闘がちょっと不安だったんだよね。
しかも、全てにおいてって書いてあるのは、どの場面でもスキルが発動するってことだ。
だから、適用範囲が広いとみた。
「まぁ、運動神経は
とりあえず、『はい』を押して決定。
ユニークじゃないコモンスキルっていうのもあるし、足りない分はそういうので補っていけば
とにかく、今はデザインに使った三時間をさっさと進めて巻き返したい気分。
というわけで、ゲームスタートだ。
◆◇◆
ゲーキョ! ゲーキョ!
はい、開始早々、森の中スタートなわけですが……。
「あれ? 人族じゃないと、始まりの町的な場所からスタートじゃないの?」
どうやら人外は始まりの町的な場所からスタートじゃなくて、どこぞの森の中からスタートするみたい。これは種族的差別なのでは?
とりあえず、チュートリアルとかないのかなーって考えていたら、視界の端にヒントマークが出てきた。えーと、『チュートリアルは街中で受けることができます。まずは、近くの魔物族の街を目指しましょう』かぁ……。
そして、視界に現れる白い矢印。これに向かって進めってことかな?
あ、またヒントが出てる。
えーと、何々? 『道中ではモンスターが出てくることもあります。ステータスが初期状態の方は、スペシャルポイントを割り振って、能力を強化しておきましょう』……?
いや、チュートリアル前に戦闘の可能性があるのはおかしくない? その戦闘のイロハを知るためにチュートリアルに向かうんだよね?
とりあえず、ヒントに従って、自分の能力を確認するためにステータス画面を開いてみよう。
なになに? ステータスと念じるだけで、簡単にステータスウインドウが開くと……おっ、開いた。
【名前】ヤマモト
【種族】ディラハン(妖精) 【性別】♀ 【年齢】0歳
【LV】1 【SP】30
【HP】170/170 【MP】120/120
【物攻】22(+12) 【魔攻】8
【物防】25(+15) 【魔防】25(+13)
【体力】17 【
【精神】12 【運命】7
【ユニークスキル】バランス
【種族スキル】馬車召喚
【コモンスキル】なし
「おぉ、硬い、強い! そして、ノロい!」
物理攻撃力や防御力なんかは立派な(デザイン頑張った)
その代わり、
HPもMPもそれなりにあるから、割と戦闘でもゴリ押しでどうにかなるかな?
しかし、種族スキルとかいう見たことも聞いたこともないものがあるんだけど?
何だろうね、コレ?
【種族スキル】
種族固有で使えるスキル。ドラゴンであればブレスなど。
その種族が保有している固有のスキル。
なるほど?
つまり、私の場合はディラハンだから、馬車が召喚できると。
ん? 馬車を召喚して、それに乗って移動すれば、速度遅い問題も全て解決するのでは?
いや、そんなに
とりあえず、【馬車召喚】のスキルの詳細が見たいと願うと、次の表示が出てきた。
【馬車召喚】
消費MP:100
馬車を召喚し、標的に死を宣告する。
※スキル実行後、二十四時間以内に標的を定めて、死を宣告してください。その標的を【馬車召喚】後、二十四時間以内に倒すことができれば、【馬車召喚】のスキルが終了し、馬車と 内部の
「何というピーキーなスキル……」
一度使ったが最後、誰かに死の宣告をして、相手を倒さないと私が死んじゃうらしい。
なんて使い勝手が悪いスキルだ……と思っていたけど、
「よく考えたら、死の宣告に制限はないわけだから、別にフィールドの
つまり、死の宣告をして相手を倒さない限り、二十四時間乗り回せる乗り物が手に入ったとも考えられるわけだ。
いやー、
しかも、馬車の中にある
いや、待てよ……。
「ちょっと試してみよう。【馬車召喚】!」
私が、そう叫ぶと同時にデンドロ○ウムみたいなデカい馬車が現れる。
うん。森の中を走ることとか全く想定していないデザインだ。
いいんだもん! デカくて格好いいデザインにしたかっただけなんだもん!
森の木々を
うん。モチーフとしては、近未来型の宇宙船内部をイメージしているから、滑らかな曲線と金属の融合が随所に見られるデザインになってるよ。
あと、馬車にはあるまじきコンソール画面のようなものも付けた。
ちなみに、このコンソール画面は元々馬車に付属していた首なし馬さんだ。
それを、姿形を散々改良して、コンソール画面に変更して、馬車を自走式にデザインし直したのが今の姿である。むしろ、
▼セーフティエリアに入りました。
「おぉう、予想通り。馬車の中はセーフティエリアかぁ」
セーフティエリアとは、その内部にいる限り、一切の攻撃行為が無効になる空間で、そこではモンスターも仕掛けてこないし、
「ここでなら、いきなり戦闘になることもないし、安全だし、今の内にスペシャルポイントでも割り振っちゃおうかな?」
スペシャルポイントとは、ステータス画面に表示されたSPという
しかし、このスペシャルポイント……略してSPは入手手段が限られているので、気軽に使えるものではないらしい。
基本は、レベルアップ時に
だから、ここはちょっと慎重に様子をみた方がいいかもね。