年下の女性教官に今日も叱っていただけた

第2話 勇者訓練校でも折檻していただけた⑤

「間抜け面ですね」

 リリアさんは冷たく言い捨てながらスカートのボタンに手を伸ばして外し――そのまま床に落下させてしまった。

「っ!?」

「これで、露出している面積は、さっきのモン娘より多くなりましたね」

 リリアさんは淡々と言い、俺の顔色を窺ってくる。


「わたしとモン娘、どちらに魅力を感じますか?」

「も、もちろんリリアさんです……!!」

 声を震わせながら、下着姿のリリアさんを食い入るように見つめる。彼女の気が変わる前に、網膜に焼きつけなければ。

「……たしかにちゃんと見ろと言いましたが、ここまで無遠慮に凝視してきますか……本当に変態ですね……」

 リリアさんが呆れているようだが、もう俺は目を逸らせなかった。


「わたしにここまでさせたんですから、当然あのスライムに勝てますよね?」

「も、もちろんです……!!」

 リリアさんの胸元から目を離さずに答えた。

 するとリリアさんは唐突に、怒気を含んだ声音でこう要求してくる。


「レオンさんも服を脱いでください」

「――えっ!? な、なんでですか……!?」

「わたしだけこんな格好をしているのは不公平だからです」

「そ、そんなことを言われても……リリアさんが勝手に脱いだだけですし――」

「うるさい。早く」

「は、はい……」

 仕方がないので、手早く制服を脱ぎ、上半身を露わにした。


「……いい筋肉してますね」

 リリアさんが俺の胸筋や腹筋を見て、含み笑いをした。

「あんまり見ないでください……」

「気色悪いことを言ってないで、下も脱ぎなさい」

「えぇ……」


 困惑しつつ長ズボンも下ろす。俺が身につけているものはパンツのみとなってしまった。

「なるほど……男性の体はこういう感じなんですね」

 リリアさんは興味深そうにつぶやいた。

 下腹部のふくらみを重点的に見られている気がして、両手で隠す。

「わたしに見られて、恥ずかしいんですか?」

「あ、当たり前じゃないですか」

「ふーん」

 リリアさんは意外そうに言った後、邪悪な笑みを浮かべた。


「それなら、最後の1枚も脱いでみましょうか」

「脱ぎませんよ!?」

「そうですか、残念です」

 リリアさんは淡々とした口調で言った後、服を着始めた。どうやら、サービスタイムは終了のようだ。


「では、今度こそスライムのモン娘を討伐してください。わたしがここまでしたんですから、魅了されたら承知しませんよ」

 発破をかけられた俺は、自信満々に答える。

「もちろんです」


         S         S         S


 俺たちは再び第1アリーナの中央に移動し、鉄柵を跳ね上げた。

 すぐにスライムさんが歩いて出てきたので、右手で柄を、左手で鞘を握り締める。

 リリアさんのおかげで、薄着の女性に対する耐性ができた。

 今となっては、なぜさっき惑わされたのか、理解できない。

 余裕の心持ちで、スライムさんと対峙する。


「怖いよぉ……。お兄ちゃん、アタシに何するつもり……?」

 怯えるスライムさんと目が合い、早くも自信が揺らいだ。

 たしかに下着姿のリリアさんは美しく刺激的だったが、スライムさんはスライムさんで可愛いのだ。

 思わず鼻の下を伸ばしていると、リリアさんに睨まれた。


「……すまないが、これで負けたらどうなるかわからないんだ。斬らせてもらう」

 迷いを振り払うように抜刀し、切っ先をスライムさんに向ける。だが――

「やめてよぉ……いいことしてあげるから……」

 スライムさんはそう言いつつ、ドレスの肩ヒモに手を伸ばした。

 そして――ゆっくり下ろし始める。

 ドレスが少しずつ下がるにつれ、真っ白な谷間が露出していく。そして――


 形のいい乳房の全貌が明らかになった。


 下着の類いは身につけていなかった。真っ白い球体は桃色の先端まで、完全に露わになっている。

 もちろん、目の前にいるのがモン娘であり、人外であり、駆除対象であることは重々承知している。

 だがそれでも、釘づけにならざるを得ない美しさだった。


「その刀を捨ててくれたら、もっとすごいところも見せてあげるよ……?」

 その声が鼓膜に届いた瞬間、命と同じくらい大事な刀を地面に投げ捨てた。

「――ふふっ、バカなお兄ちゃん♪」

 スライムさんは不敵な笑みを浮かべた直後、胸を丸出しにしたまま飛びかかってきた。


 若干の危険は感じたものの、男の本能のせいで回避行動は取れなかった。

 その結果、スライムさんと正面衝突。やわらかい感触を楽しみながら、後方に押し倒されていく。

「アタシを教材にしたことを後悔させてやる! 死ね! 死ね!」

 馬乗りになったスライムさんは絶叫し、俺のことをタコ殴りにする。

 スライムさんがどちらかの腕を打ち出す度、振動で胸が揺れる。これまでの人生で見たものの中で、間違いなく最上の光景だった。


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「わたしにあんな格好をさせておいて、この体たらく……! これはお仕置きが必要ですね……!」

 再び俺を助けてくれたリリアさんが腕組みし、パンツ1枚で正座している俺を睨みつけてきた。

 リリアさんは相当にお怒りのようで、控え室に戻ってくるなり「脱ぎなさい」と命じられたのだ。


「で、でも、1回目よりは長い時間耐えましたし――」

「最終的に魅了されたら意味ないです。そもそも、モン娘がドレスを下ろしていくのを黙って見ていましたよね?」

「それは……」

「最低のクズ」

「そう言われても、リリアさんに見せてもらったのは下着までだったので……」

「はぁ? わたしが悪いと言うんですか?」

 リリアさんは細い眉根を寄せ、俺を睨みつけてきた。


「滅相もございません。すべて俺の不徳の致すところです」

「当然です。二度と責任転嫁をしないように」

「はい……」

 項垂れる俺に、リリアさんは値踏みするような視線を向けてきた。


「まったく……いい技術と筋肉を持っているのに……。切り落としたら性欲がなくなったりしませんかね……」

 リリアさんの視線が下半身に向けられた瞬間、あまりの恐ろしさに総毛立った。

「それだけは許してください……」

 まだ使ったことがないのに……。いや、使用済みだったとしても絶対嫌だけど……。

「では、罰として腕立て伏せ100回」


 そう告げられた瞬間、俺は床に突っ伏し、高速で腕立て伏せを開始する。

 それを見下ろしているリリアさんは、表情を曇らせた。

「もしかして、腕立て伏せ100回って余裕だったりします?」

「そうですね。この程度のしごきは日常茶飯事だったので、特に何とも思わないです」

「なるほど……」


 リリアさんは不満そうに唇を尖らせた後、俺の背中に右足を乗せてきた。

「では、負荷をかけてあげますね」

 宣言直後、背中に体重がかけられた。

 その瞬間、俺の中に正体不明の感情が生まれた。

 うまく説明できないが、嬉しい感じがするような……?


 ひとまず、リリアさんに踏まれながら腕立て伏せを続ける。

「えっ……これでも続けられるんですか?」

「はい、よくあることだったので。それにリリアさんは、俺に嫌がらせしていたヤツらより、だいぶ踏む力が弱いですし」

「むぅ……!」

 リリアさんは不満げな声を出し、俺の顔をまじまじと見つめてくる。


「ていうか、足蹴にされているというのに、何で嬉しそうなんですか?」

「――えっ? 嬉しそう?」

「ニヤニヤ笑っているじゃないですか。もしかして、あなたはマゾヒストなんですか?」

 そう問われた瞬間、俺は胸中に渦巻く背徳的な感情の正体を知った。

 いや、でも……そんなはずは……。


 俺が生まれ育った組織では、粗暴な男たちからこれに似たしごきを何度も受けており、耐えられなくなって逃げ出したのだ。

 しかし今は苦痛ではなく、喜びを覚えてしまっている……? 相手がリリアさんだから……?


 などと困惑している最中、リリアさんが俺の背中の上に腰かけてきた。

 しかも両足を地面から離し、全体重を俺に委ねてきたのだ。

 スカートごしに、リリアさんのおしりの感触が……!!


「これでどうです? 苦痛に感じますか?」

 リリアさんが楽しげに聞いてきたが、動揺しすぎてすぐには返答できない。

 や、やわらかい……! 天国だ……!

 この感触を1秒でも長く味わうため、俺は演技を開始する。


「さ、さすがに乗られると……ぐぐぐ……!」

 苦しそうな声を出しつつ、腕立て伏せの速度を半分くらいにした。

「ふふふ、そうですか」

 リリアさんは背中の上で足を組み、笑い声を上げる。

 実際のところはまだ余裕があるのだが、見破られなかったようだ。

 俺はリリアさんのやわらかい肌の感触を楽しみつつ、腕立て伏せを続ける。

 永遠にこの時間が続けばいいのに……。