年下の女性教官に今日も叱っていただけた

第4話 勇者を目指すギャルと野宿させていただけた②

「てかさ、レオンっちは何の罰受けてんの?」

 忌まわしい写真をヒラヒラさせつつ、フィオナさんが質問してきた。

「あんな強くて、教官補佐になってたのに」

「……えっと、特別授業でちょっと」

「ちょっとって、何やったん? めっちゃ気になるんだけど」

「それは……その……」

「言いづらい系?」

「俺の名誉に関わる系です」

「これだけ恥ずかしい姿さらしてんのに?」

「今以上に俺の名誉が失墜して、回復不能になります」

「何それ絶対知りたいんだけど! 教えてくんないと、イタズラしちゃうぞ~!」


 言うが早いか、フィオナさんはさっき捨てた棒を拾い上げて、先端で俺の首をくすぐってきた。

「ほ~ら、こちょこちょ~」

「ちょっ! フィオナさん! やめてください!」

「やめてほしかったら、何の罰なのか言うのだ~」

「それはできな……あっ……ダメッ」

「うわ、キモッ」

 思わず漏れ出た声を聞いたフィオナさんはドン引きし、枝を引っ込めた。


「なに喘いでんの? 感じちゃったわけ?」

「いや、悪いのはくすぐってきたフィオナさんで……」

「はっ? レオンっちがキモいだけでしょ? 責任転嫁しないでくんない?」

 フィオナさんは眉間にしわを寄せ、こちらを睨んできた。

 その立ち姿には、思わず謝りたくなる凄みがある。

「す、すみませんでした……」

「うん、許してあげる。で、レオンっちは何の罰を受けてんの?」

 フィオナさんは木の枝を構え、改めて聞き直してきた。どうやら、口を割るまで許してもらえないようだ。

 こうなったら、覚悟を決めるしかない……。


「……実は、スライムのモン娘に魅了されて、惨敗しまして……」

「え、何それ、ウケんだけど」

 フィオナさんは目を丸くした後、嘲笑してきた。

「てか、わざわざ特別授業するほどじゃなくね? スライムのモン娘なんか誰でも倒せるっしょ」

「……俺は4連敗しているので……」

「は? なんで? 相手スライムでしょ?」

「それはわかってはいるんですが、どうしても目を奪われてしまって……」

「性癖特殊すぎっしょ」

「そ、そうですか?」

「当たり前じゃん。モン娘って魔物だし、エロい目で見るのはキショい。犬とかに興奮するのと同じっつーか」

「いや、でも、見た目は普通の女性とほぼ変わらないわけですし……」

「あー、レオンっちって、もしかして童貞? そういうことで頭の中いっぱいで、相手誰でもいい感じなん?」

「…………」


 思わず押し黙ると、フィオナさんはニヤニヤ笑いを浮かべた。

「え、マジ? そんなに強いのに、女子に言い寄られたことないの?」

「……女性と関わらない人生を送ってきたので……」

「ふ~ん。じゃあさ、女子に対して夢持ちまくってる感じ?」

「そうですね……」

「あんなことやこんなことで、頭がいっぱい的な?」

「そ、それは違いますけど」

「ほんとに? 正直に話したら、いいもの見せてあげるよ?」

「いいもの……?」

「おっぱい!」

 フィオナさんは満面の笑みで言い、大きな胸を得意げに張った。


「あんなことやこんなことで頭がいっぱいの童貞です! よろしくお願いします!」

 期待に胸を高鳴らせつつ告白すると、フィオナさんは嘲笑した。

「いやいや、必死すぎだから。てか、おっぱいなんか見せるわけないじゃん。バカなん? キモッ」

「…………」

 悪魔みたいな発想をする人だった。


 とはいえ、こんな綺麗な女性が「おっぱい」って単語を言っているの、メチャクチャ興奮するな……。

「え……なんか勃ってね?」

 フィオナさんは俺の下腹部を見て顔を顰めた。今の俺が身に着けているのは下着1枚なので、形状が丸わかりなのである。


「ウチのおっぱい想像しただけで興奮したってこと? ヤバすぎっしょ」

「す、すみません……」

 今にも消え入りそうな声量で謝罪した。恥ずかしすぎて今すぐ死にたいが、身動きが取れないので、それすら許されない。


「いや、まぁ、自分じゃ制御できないって聞いたことあるし、謝らなくていいけどさ……」

 フィオナさんは俺の下腹部に視線を送りながら、気まずそうにつぶやいた。

 かと思うと、いたずらっ子のような笑みを浮かべ、俺の目を見つめてくる。


「レオンっちって面白いね。ウチとダチになろーよ」

「よくこの状況でそんな提案ができますね。俺、パンツ一丁で縛られているんですよ?」

「だからじゃん。こんな変態見たことなくて面白いし」

 なぜかプラスに受け取られていた。普通だったら、絶対に関わりたくないと思うんだが。

「ダチにならないなら、この写真クラスのみんなに見せまくるね」

「ズッ友になりましょう!」

「うえ~い! あげ~!」

「う、うえ~い!」

 ヤケクソになってテンションを合わせる俺だった。