年下の女性教官に今日も叱っていただけた

第5話 ギャルに冒険デートに誘っていただけた②

 階段を下りてみると、迷宮の内部は明るかった。壁の所々に、光を発する不思議な石が埋め込まれているのだ。

「実はこれまで、何度か1人で潜ったことあるんだよね。でも魔物がいっぱいいて、途中までしか進めなくてさー」

「それで俺に目をつけたわけですか」

「そういうこと。ドラゴンを倒せるなら、余裕っしょ」

「どうですかね……」


 迷宮の通路は薄暗いし、死角も多いので敵を発見しづらそうだ。不意打ちをする知能を持った魔物がいた場合、一気に全滅させられる危険がある。

 しかしフィオナさんは、鼻歌まじりに洞窟の奥に歩を進めていく。

 俺は刀を構え、フィオナさんと並んで探索する。


 ――刹那、風切り音が聞こえ、フィオナさんを目掛けて何かが飛来するのが見えた。

 反射的に居合い斬りで打ち落とす。

 それは木でできた矢だった。


「おー! さすがだねレオンっち!」

「笑っている場合ですか!? 今、命の危険があったんですよ!?」

「だってウチ、この場所で矢が飛んでくるのは知ってたし」

「だったら事前に教えてくださいよ!」

「レオンっちが反応できるか見ておきたくてさ。今のに対処できなかったら、迷宮探索は諦めるつもりだったの」


 フィオナさんは事もなげに言った。もし俺が打ち落とさなかったら、避ける自信があったらしい。

「俺を試したんですか」

「そ。ウチの目に狂いはなかった」

 フィオナさんは得意げに笑う。


「ちなみにもうすぐ、大岩が転がってくるから注意ね」

「どうやって躱すんですか?」

「オススメは天井に張り付くことかな」

 フィオナさんはそう言いながら、臆せずガンガン進んでいく。

 そして予告通り前方から大岩が転がってきたので、俺たちは壁を伝って天井に逃れた。


「フィオナさん、死ぬのが怖くないんですか?」

 警戒しながら迷宮を進みつつ、そう質問してみた。

「もちろん怖いけど、お宝ほしいじゃん。それに、地下1階はだいぶ歩き回って、大体の罠を把握してるし。てか、何かあってもレオンっちが絶対守ってくれるって、信じてるし」

「俺に対する信頼が厚すぎる」

 知り合ってまだ24時間も経っていないのに……。


 フィオナさんの度胸に敬服しそうになっていると、迷宮で初めての魔物と遭遇した。アンデッドと呼ばれる、黒い衣をまとった動く人骨だった。

「レオンっち、討伐よろしく」

 任せられた瞬間、俺は駆け出した。刀を振るい、骨を粉砕する。


 アンデッドたちを蹴散らしつつ進むと、地下2階に続く階段が見つかった。

「ここから先は、ウチも知らない領域だよ。アンデッドが邪魔で進めなかったからさ」

「一応聞きますけど、引き返すという選択肢は?」

「あるわけないっしょ!」

「でも、身の安全は保障できないですよ」

「レオンっちは彼ピ(仮)なんだから、ウチの盾になって死んでよ」

「酷い話だ」

「てわけで、行くよ! うぇーい!」

 フィオナさんは奇声を上げつつ、スキップで階段を下り始めた。


 ――直後、フィオナさんの足下が崩れた。落とし穴だ。

 咄嗟に右腕を伸ばし、フィオナさんの制服を掴む。

 そのまま引き寄せ、何とか落とし穴の壁に掴まらせることに成功した。


 崩れた足場の下には、無数の鋭い針が設置されていた。もし落下したら、大変なことになるだろう。

 しかも、フィオナさんが掴まっている地面がさらに崩れかけているのを察知した。早く引き上げなければ。

 俺は必死にフィオナさんの体を引っ張り上げる。


「――ちょっ!? どこ触ってんの!!」

 突然、フィオナさんが悲鳴を上げた。

 一瞬遅れて、自分がおしりを鷲掴みにしていたことに気がついた。

 手に伝わってきたやわらかい感触を、急に意識してしまう。

「この変態!」

「後でいくらでも罵倒されますから、まずは上に――」


 しかし、なだめている最中、俺たちを目掛けて壁からガスが噴出された。

 両手が塞がっているせいで、避けることができなかった。2人揃ってモロに吸ってしまう。

 もし毒ガスだったらマズい。症状が出る前に解毒草を飲まなければ。

 焦燥感に駆られつつ、フィオナさんを引っ張り上げた。最後の方、やけに彼女の体が重くなったので、毒のせいで力が出なくなったのかもしれない。


「フィオナさん、今すぐ……解毒を……」

 呼びかけている最中、俺は驚きすぎて思考が数秒停止した。

 自分の口から、若い女性の声が発せられたのだ。


 さらに、目の前にいるフィオナさんが、どう見ても男性になっていることに気がついた。

「まさか――」

 自分の股間をまさぐると、大事なものがなくなっていた。

 加えて胸が明らかに膨らんでおり、制服を押し広げていた。


「……フィオナさん、落ち着いて聞いてください。俺たちは性転換ガスを吸ってしまったみたいです」

「えっ、マジ?」

 フィオナさんが野太い声を出した。俺とは逆に、声が低くなったようだ。


「アハハ! 何この声! ウケんだけど!」

「ウケている場合じゃないです。今すぐ町に戻りましょう。そして俺は女湯に入ります」

「いや、レオンっちの発想もおかしくね?」

 フィオナさんは自分の股間をまさぐりながら言った。感触を確かめているようだ。


「てかさ、裸が見たいなら、自分のを見れば良くない?」

「――たしかに。ちょっと脱いでみていいですか?」

「好きにしなよ」

「じゃあ、失礼して……」


 俺は崩れ落ちた階段の真横で、服を脱ぎ始めた。もし今魔物に襲われたら終わりだが、好奇心には勝てなかった。

 ブレザーとワイシャツを脱ぎ捨てると、薄いTシャツの生地越しに、豊満な胸が見えた。すごい迫力だ。

 すぐさまTシャツも脱ぎ、胸を完全に露出した。かなり大きい。


 だが、自分の裸の胸を見ても、なぜかぜんぜん興奮できなかった。

 不思議に思いながら長ズボンを脱ぎ、最後の1枚も下ろした。

 そこには、紛れもなく女性の秘所があった。

 しかし、やっぱり興奮できない。

 自分の体だからか? それとも、アレがなくなってしまったからか?


「――レオンっち、いい体してるね……!!」

 そう言われて前を向くと、フィオナさんが俺の裸体を食い入るように見つめていた。

「何なの、この感じ……!! 胸の奥がモヤモヤして、下半身がすごく苦しくて……」

 フィオナさんは戸惑いつつ、パンツをふとももの辺りまで下ろした。


 その瞬間、解放された男の象徴がスカートを押し上げ、天高く聳え立った。

 俺とは逆に、興奮しまくっているようだ。

「……レオンっち、一生のお願いがあるんだけど」

「絶対ダメです!!」

「でもさ、レオンっちってウチの彼ピなわけじゃん?」

「絶対イヤです!!」

「ウチら、そろそろ次のステップに進む頃だと思うんだよね」

「無理無理無理!! そんなの入るわけないから!!」

「お願い! 先っちょだけでいいから!」

「それならいいかとはなりませんよ!!」


 俺は絶叫しつつ逃げようとしたが、フィオナさんに捕まり、仰向けに押し倒された。

 女性になったことで筋力が落ちており、抵抗できない。さっきフィオナさんを引き上げている時、急に重くなったと感じた理由はこれだったのだ。


 馬乗りになったフィオナさんが、エロい表情で俺を見下ろす。

「大丈夫、レオンっちが嫌がることはしないから」

「もうこの状況が嫌なんですが!?」

「痛かったら、すぐにやめるし」

「やっぱり痛いんですか!?」

「んー、初めての時は痛いって聞くけど、実際はどうなのか知らない。だからさ、確かめてみよ?」