年下の女性教官に今日も叱っていただけた
第5話 ギャルに冒険デートに誘っていただけた④
その後、シエラさんとフィオナさんの完全な和解を目指して、3人で買い物をすることになった。
「――あっ! ウチ服見たいかも!」
路地を歩いていると、大きな防具屋を見つけたフィオナさんが叫ぶように言った。
「それじゃあ私は、レオンちゃんにお洋服をプレゼントしましょう」
「え! それならウチもレオンっちをコーディネートしたい!」
「真似しないでください。フィオナさんは自分の服を買えばいいじゃないですか」
「自分の服を見た後、レオンっちの服を選ぼうと思ってたの!」
「レオンちゃんはついでということですか。自分本位でワガママですね」
「そこまで言うことなくない!?」
買い物開始30秒で2人は睨み合いを始めてしまった。
「2人とも、喧嘩しないでください……」
近くにいる人たちが俺たちを物珍しそうに見ている。こんな美少女2人に取り合われている状況は少し楽しいものの、女性がいがみ合う姿は見たくない。
「俺はどっちの服も着ますから」
「じゃあさ、どっちがレオンっちに似合う服を見つけられるか勝負しよっ!」
「望むところです!」
「ええっ……」
こうして、シエラさんとフィオナさんは防具屋に駆け込んでいった。
残された俺は、不安すぎて逃げ出したくなっている。このままここにいたら、2人が選んできた服のうち、どっちがいいかを選ばなければならないわけで……。
しかし、俺が店先でまごまごしている間に、2人が戻ってきてしまった。
「レオンちゃん! よだれかけとおしゃぶりが置いてあったよ!」
「レオンっち! 紐みたいな水着見つけたから着てみて! たぶん何も隠せないと思う!」
「2人とも勝つ気がないんですか?」
そもそも、この防具屋の品揃えはどうなっているんだ……!?
さすがにどちらもお断りさせてもらった。せめて首輪みたいに、普通の男が着けていてもおかしくないものにしてほしい。
「よく考えたらウチ、男の人の服って選んだことないから、あんまわかんないかも」
「私も赤ちゃんの服しかわからないです」
赤ちゃんの服には詳しいのか……。闇を感じる……。
「そうだ! レオンちゃん、ママの装備を一緒に選んでくれない?」
そう提案された瞬間、陰鬱な気分が吹き飛んだ。
シエラさんが着る服を、俺が選ぶ……!? そんな楽しいイベントがあっていいのか……!?
「ちょっ! レオンっちを誘惑すんなし! それならウチの服も選んで!」
「フィオナさんもですか……!?」
何その最高のシチュエーション……!!
こうして俺は天にも昇る心地で、女性用の装備品コーナーへ移動した。
そこには布や皮、銅や鉄などで作られた様々な防具が並んでいる。
素早さ重視の鎧は動きやすいよう、肌を覆う面積がなるべく少なく作られている。一方、防御力重視のものは肌全体を覆っているようだ。
「レオンちゃんはママにどんな服を着てほしい?」
シエラさんが純粋な瞳で質問してきた。
これはどう答えるべきか、悩みどころである。
着てほしいのはもちろん露出度の高いものだが、そのまま伝えたら下心が丸わかりだ。
「……えっと、シエラさんは筋肉がそこまですごくないですし、スピードタイプですよね?」
「うん、そうだね。少なくとも壁役はやらないと思う」
「それなら長所を活かすために、軽い防具の方がいいでしょうね」
「そっか。レオンちゃんはカッコ良く闘うママが見たいんだね?」
「はい! それで、この辺かなぁと思うんですが……」
「わかった!」
シエラさんは俺が指差した革の鎧を笑顔で手に取り、試着室に入っていった。それは胸と下腹部だけが覆われている、表面積だけ見れば下着とほぼ変わらない過激な鎧だった。
俺は誘導に成功したのである。
「……レオンっちって、やっぱエロいよね」
試着室のカーテンが揺れるのを食い入るように見つめる俺に、フィオナさんがジト目を向けてきた。
「ちょっと抵抗あるけど、レオンっちが望んでるわけだし……。特別に、ウチも同じものを着てあげる」
と、フィオナさんは文句を言いながらも革の鎧を手に取り、左隣の試着室に入っていった。
期待に胸を膨らませていると、ほぼ同時に試着室のカーテンが開いた。
そこには肌を申し訳程度に隠したシエラさんとフィオナさんが立っていた。
2人とも完璧なプロポーションで、俺は視線を高速で行き来させる。
「レオンちゃん、どう? ママ可愛い?」
「うん……信じられないくらい可愛い……」
夢見心地で答えると、シエラさんは満足げに微笑んだ。
それを見て、フィオナさんは唇を尖らせる。
「どうレオンっち。ウチ、キレイだよね?」
「当然です!」
即答すると、今度はシエラさんが不満げに頬を膨らませる。
「レオンちゃん、ママもキレイだよね?」
「うん、もちろんだよ」
「レオンっち? ウチはキレイなだけじゃなく、可愛いよね?」
「当たり前じゃないですか!」
「じゃあ、ウチといいんちょ、どっちの方が好き?」
「――えっ」
その瞬間、楽しい時間は終わりを告げた。
2人の鋭い視線が俺に突き刺さる。
「どしたの? ウチといいんちょ、どっちの方が好きか聞いているんだけど?」
「…………」
思わず言葉に詰まる。どちらも可愛すぎるし美しすぎるので、比べることができないのだ。
「……えっと……俺としては、ちょうど同点な雰囲気というか……」
曖昧な返答をすると、2人は揃って眉間にしわを寄せた。そして同時に距離を詰めてくる。
「レオンちゃん? ママはレオンちゃんのこと、大好きなんだよ?」
「レオンっちは昨日と今日、大罪を犯したことを忘れてないよね?」
左右からものすごい圧力をかけられている。どちらか一方を選ぼうものなら、どんな目に遭うかわからない。
「レオンちゃん! ママが一番可愛いって言いなさい!」
「ウチが最も美しいと思わなければ許さないから!」
こうして俺は、言論と思想の自由を奪われたのだった。
インターミッション フィオナの苦悩
レオンっちを秘密の迷宮に連れていった日の夜。ウチは部屋に帰って悶々と考えた。
昨日今日は色んなことがありすぎて、ヤバかった。
まず、パンツ1枚で木に縛られているレオンっちを見つけた。ケンタウルスを倒したスゲーヤツじゃんと思いながら話してみたら、超エッチなヤツだった。ウチのおっぱいを想像して勃ってたし。
その後、一緒にドラゴン退治に行って、お風呂を覗かれた。マジ最悪。ドラゴンに追われてたみたいだけど、そんなん関係ないし。
でもレオンっちは昨日も今日も、ウチが写真機を持ち歩いてることを批判しなかった。
だからちょっといいかもと思って、男になった時に襲いそうになっちゃったのかも。
男になってる間は性欲に支配されてるって感じで、マジでヤバかった。自分でもコントロールできない感あったし。
んで罰が当たったのか、レオンっちにアソコをモロに見られた。
あの時は、恥ずかしすぎて死んだと思った。
超気まずいのに、一緒に学校に帰らないといけなかったし……。
てかあの時、どさくさに紛れて、レオンっちのちんこをバッチリ見ちゃった。デカかったし、メッチャ勃ってた。あんなんぶら下げてるとか、男って怖すぎじゃね?
まぁ、ウチは男になってすぐ、女体化したレオンっちを襲おうとしたんだけどさ。
その後、ヤケクソになって、一緒にクレープ食いに行くことにした。
そしたら、偶然会ったいいんちょが「レオンちゃんは私の赤ちゃんだもん」って言い出して、マジで意味がわからなかった。
説明聞いても、何一つ理解できなかった。アレってウチの理解力が低いせいじゃないよね? いいんちょみたいに勉強しすぎると、ああなっちゃうの? 怖っ。
んで気がついたら、ウチはいいんちょと張り合ってた。
レオンっちはウチの彼ピ(仮)のくせに、いいんちょにデレデレしてた。許せん。今度説教してやんないとな。