年下の女性教官に今日も叱っていただけた
第6話 女性教官に芸を仕込んでいただけた③
指示通りに動くよう調教された日の夜。リリアさんが俺の部屋を訪ねてきて、「魔物討伐の依頼が入りました」と告げた。
当然、拒否権はない。俺は着の身着のまま馬車に乗せられた。
それから2時間ほどで被害報告があった村に着いたが、魔物はすでに去った後だった。探索は明日にすることにし、村に1軒だけある宿屋に泊まる。
調教によって疲れていた俺は、ふらふらになりながら自分の部屋に入った。ドアを開けてマッチを擦り、蝋燭に火を灯そうとしたところで――
「誰だ」
邪悪な気配を察知し、蝋燭に火を付けると同時に抜刀した。
「……隠密作戦だからドラゴンちゃんは置いてきたのに、よくわかったわね」
カーテンの陰に隠れていた人物が、こちらに歩み寄ってきた。
蝋燭の火と、室内に差し込む月明かりに照らされ、その全容が明らかになる。
隠れていたのは、ドラゴン使いだった。
「――うおおおおっ!」
彼女が身に着けているのは、際どい下着のみ。一瞬で目を奪われ、歓声を上げてしまう。
「ふふふっ。物欲しそうな顔をして、可愛い子」
ドラゴン使いは妖艶な笑みを浮かべながら、ブラジャーのフロントホックに指をかけた。
思わず生唾を飲み、相手の一挙手一投足を注視する。
「別の出会い方をしていたら、ペットにしてあげたのにねぇ」
ドラゴン使いはそう言いながらブラジャーを放り投げ、豊満な胸を露わにした。
ものすごくキレイだった。体中の血液が急速に一点に集中する。
しかし、ほんの少しだけ残っている理性がブレーキをかけた。もし魅了されたら、また催眠にかけられる、と。
だが、遅かった。警戒した時にはすでに、体が動かなくなっていたのだ。
「――あら、催眠状態になっても意識を保っていられているの? ちょっとは魅了耐性が付いたのかしら?」
「……訓練しましたから」
「ふーん。でも体は動かないみたいね。じゃあ……」
ドラゴン使いは舌舐めずりし、有刺鉄線のような鞭を取り出した。
「アタシの大事なドラゴンちゃんを殺した恨み、たっぷり返してあげるわ!」
ドラゴン使いが鞭を振り上げ、俺の右肩に勢いよく振り下ろした。
鞭に付いている無数の棘が俺の服と皮膚を抉り、血が噴き出した。
「アハハハハ! どう? 痛いでしょ? 苦しいでしょ? 怖いでしょ?」
ドラゴン使いが探るような視線を向けてきた。
「人間って、どんなことを考えながら苦しんでいるかわかるから、いたぶってて面白いわよね! さぁ、今どんな気持ちか、教えなさい!」
俺はドラゴン使いの目つきにゾクゾクしつつ、すぐさま命令に従う。
「気持ちいいですっ!!」
「――はっ?」
俺が正直に答えた瞬間、ドラゴン使いの笑みが歪んだ。
「おっぱいを見せてもらいながら痛めつけていただけて、最高ですっ!!」
「……な、何言ってんのアンタ? 催眠状態だから、嘘はつけないはずなのに……」
「俺の嘘偽らざる気持ちです!!」
「棘の鞭で叩かれてんのよ? アタシがその気になったら死ぬのよ? 怖くないわけ?」
「こんな美しい女性に殺されるかもしれないという状況に興奮しています……!!」
「何コイツ……気色悪っ……」
ドラゴン使いは俺に侮蔑の視線を向け、俺の額に唾を吐きかけてきた。
「ありがとうございます……!!」
「な、なんでお礼を言うわけ……?」
「もちろん、最高のご褒美だからですよ……!!」
「り、理解不能……! これがコイツの紛れもない本心なんて、信じたくない……!」
「もっと叩いてくださいっ!! もっと体液をかけてくださいっ!!」
「何なのよアンタ!? アタシはドラゴンちゃんの恨みを晴らすために、拷問して苦しめて命乞いさせる予定だったのに……!!」
ドラゴン使いは悔しそうに地団駄を踏み、俺の体を目掛けて何度も鞭を振り下ろした。
鞭を打ちつけられる度に猛烈な痛みを覚え、皮膚が裂けて鮮血が飛び出る。
しかし、俺の気持ちいいという感覚は変わらない。
むしろ快楽のレベルが上がっていく……!!
「はぁ……はぁ……!! こんな美女にいたぶっていただけるなんて……!!」
「――っ!?」
ドラゴン使いは顔を歪めた。その瞳の中には、怯えの感情があるように見えた。
圧倒的優位に立っているのに、いったいなぜ――
「もういい!! このままぶっ殺してやる!!」
ドラゴン使いは絶叫し、鞭を大きく振りかぶった。
しかし、次の衝撃が来ることはなかった。
「――すみません、遅くなりました」
俺とドラゴン使いの間に割って入り、盾で鞭を受け止めたリリアさんが、チラリとこちらを振り返った。
そして目が合った瞬間、リリアさんの感情が同情から軽蔑に変わったのがわかった。
「今はニヤニヤしている場合じゃないでしょうに……。あなたはこんな状況でも快楽を覚えてしまう変態なんですね……」
そう罵られた瞬間、俺は違和感を覚えた。なぜか、いつものような悦びが湧き上がってこないのだ。
相も変わらず、俺の頭の中はドラゴン使いのおっぱいのことでいっぱいだ。これが催眠の力か……!!
「出たわねクソ女!! アンタもぶち殺してあげるわ!! ドラゴンちゃん、おいで!!」
ドラゴン使いが絶叫した直後、宿屋の窓が割れ、体長3メートルほどのドラゴンが室内に飛び込んできた。
割れたガラスが飛び散る中、ドラゴンは突進を続け、リリアさんの体を突き飛ばす。
「リリアさんっ!!」
襲ってきたドラゴンは比較的小型だが、その突進攻撃は、普通の冒険者なら一溜まりもない威力だった。
リリアさんは受け身を取ったものの壁に打ちつけられ、大きなダメージを受けたようだ。
すぐに起き上がったが、両足がふらついている。
「……くそっ!! リリアさんを助けたいのに……!! 体が……動かない……っ!!」
奥歯を噛み締めた俺を見て、ドラゴン使いは嘲笑する。
「どうやらアンタは、自分よりあの女が傷付く方が苦しいみたいね。だったら……!」
そんなドラゴン使いのつぶやきに呼応するかのように、ドラゴンはリリアさんに向かって巨大な腕を振り下ろした。
リリアさんは盾を構えたものの、攻撃をいなすことができず、その場に突っ伏してしまう。
「ハハハハハ!! ざまぁみろ!! このまま死なない程度に弄んでやるよ!!」
ふらふらと立ち上がるリリアさんを見て、俺は申し訳なさでいっぱいになる。
「すみませんリリアさん……。俺、また魅了されたせいで、体が動かなくて……」
「――はぁ? 寝ぼけたこと言ってんじゃねぇよ」
ボロボロのリリアさんが、突然乱暴な口調で罵倒してきた。
そして鋭い目つきで俺を睨む。
「お前はわたしの犬なんだよ!! こんな女に見とれてないで、わたしのために刀を抜け!!」