年下の女性教官に今日も叱っていただけた2

第3話 ギャルと混浴させていただけた②

 こうして、フィオナさんが俺の今夜の予定を強引に押さえた結果、本当に一緒にお風呂に入ることになってしまった。

 俺たちは海岸沿いの岩場にある温泉にやって来た。この辺には高い岩山で区切られた大小様々な温泉があり、そのうちの1つを使う許可をもらったのだ。

 本来なら温泉を貸し切りにするのは事前予約が必要みたいだが、先ほどフェンリルを倒したご褒美ということで認められたらしい。


 俺とフィオナさんは温泉の周囲にある岩陰にそれぞれ身を隠し、緊張しながら服を脱いだ。

 全裸になった俺は、すぐさまお湯に身を沈める。温度はかなり熱めだったが、今の俺にとってそんなことはどうでも良かった。

 期待に胸を膨らませながら待っていると、フィオナさんが白いバスタオル1枚だけというあられもない姿で現れた。しかもタオルは丈が短く、膝上までしか隠せていない。ちょっと動いたら肝心な部分が見えそうで、ものすごくエロい。


「――あんまこっち見ないで」

 注意されてしまったが、目を離すことなどできるわけがない。

 するとフィオナさんは呆れたようにため息をついた後、ゆっくり温泉に足を踏み入れる。タオルの裾がお湯に入った瞬間に膨らんで、尋常じゃなくドキドキした。

 だがフィオナさんが胸元まで温泉に入ったところで、ふと疑問が湧く。


「……あの、バスタオルを外さないんですか?」

 思わず質問すると、フィオナさんは不審そうに聞き返してくる。

「はぁ? 外すわけないじゃん」

「でも、温泉にはタオル類を入れないのがマナーだと聞いたことが……」

「そういうマナーは、混浴の時は無視していいっしょ。てか、もしかしてレオンっち、タオル巻いてないの?」

 半笑いのフィオナさんに質問され、俺は素直に頷いた。


「へ~……」

 フィオナさんは怪しい笑みを浮かべ、温泉内で腰を浮かせた。

「とりあえず、ちょっとレオンっちの方に行くね」

「な、なんでですか!?」

「ん~? 特に意味はないよ~?」

 はぐらかしながら接近してくるフィオナさん。俺は咄嗟に、自分の大事な部分を両手で押さえた。


「あれれ? レオンっち、どこ触ってんの」

「どこも触ってないです」

「ウケる。何焦ってんの?」

「焦ってないです。あんまりこっちに来ないでください」

「え~? なんで~?」

 フィオナさんはとぼけながら、さらに距離を詰めてくる。


 ものすごく恥ずかしい……と思ってふと見ると、濡れたバスタオルがフィオナさんの肌に張り付いていることに気がついた。

 これは……エロい……!!

 しかしフィオナさんは気がついていないようなので、顔を背けたまま盗み見る。

「――あれれ? レオンっち、アレって何だと思う?」

 かなり至近距離までやって来たフィオナさんが突然、上空を指差した。

 人差し指の先に目を凝らしてみるが、何も見当たらない。


「アレって何ですか?」

「ほら、アレだよアレ。レオンっちの角度からだと見えづらいかな? ちょっと立ち上がって見てみてよ」

「いや、それだと見えちゃうじゃないですか」

「チッ、バレたか」

「さすがに俺はそこまでバカじゃないですよ。……ていうか、俺の裸が見たいんですか?」

「そ、そんなわけないじゃん! ただレオンっちを困らせたいだけ!」


 フィオナさんは焦ったように言い、俺から少し距離を取った。

 ホッとしつつも少し残念に思い、湯の中に沈むフィオナさんの体を凝視する。

 すると、さすがにこちらの下心に気付かれたようだ。


「レオンっちってさ、ホントに変態だよね。しかもぜんぜん遠慮しないし」

 フィオナさんは毒づきながらジト目を向けてきた。

「さっきの女の子たちとお風呂に入ったら、すぐに童貞を奪われそう」

「そっ……」

 そんなことはないと言っても、どうせ信じてもらえないだろう。そもそも俺も、求められたら喜んで童貞を差し出すだろうし……。


「やっぱり、早くこの島から脱出しなきゃ……。ちなみに、リリアせんせーといいんちょは今どうしてるの?」

「2人とも、明朝までは牢屋に入れられているみたいです。エヴァンジェシカさんは、十分に反省させるためって言ってました」

「じゃあ今夜逃げるのは無理か〜……」

「今夜というか、しばらくは無理だと思います。牢屋から出してもらっても、すぐに足枷を外してもらえるかはわからないですし」


「何とか壊せないの?」

「鉄製ですからね。無理はしないで、外してもらえるまで大人しくしていた方がいいと思います」

「とか言って、さっきの子たちと混浴したいだけなんじゃ?」

「…………」


 正直、俺としては、この島から急いで出ていく理由はない。

 というか今のところ楽園でしかなくて、永住したいとすら考えている。

 でもまた怒られそうなので、否定しておこう。


「そんなわけないじゃないですか。俺も早く学校に帰りたいですよ」

「絶対嘘じゃん。変な間があったし」

 一瞬で見抜かれた。

「――あっ! てかさ、よく考えたら鍵を手に入れればいいだけじゃね?」

 フィオナさんが唐突に、真実にたどり着いてしまった。


「牢屋と足枷の鍵を盗み出すの。そしたら今夜逃げられるっしょ」

「あ~、たしかにそうですね~。でも、鍵ってどこにあるんですかね~?」

「? なんで急に変な喋り方になったの?」

「い、いえ、深い意味はありません」

「とにかく、どこかに鍵はあるんだから、レオンっち探してみてよ」

「…………」


 俺は昼間の光景を思い出す。エヴァンジェシカさんは牢屋と足枷の鍵を、スカートのポケットに入れていた。

 ごまかしてもいいのだが、今後リリアさんと合流した時に、嘘がバレる危険がある。観念して話すことにした。


「確証はないですが、鍵はエヴァンジェシカさんが肌身離さず持っているかもしれません。昼にスカートのポケットに入れていたので」

「そっか。となると服を脱いだ時か、寝てる時に奪えるかもね。レオンっち、お風呂に忍び込むのと、寝込みを襲うの、どっちがいい?」

 何その最高の2択?


「どっちも捨てがたい……いや、まずはお風呂を覗きましょう。それで失敗して寝室に忍び込めばいいんです」

「なんで失敗する前提? ケンカ売ってる?」

「すみませんでした。成功するように善処します」

「ちゃんとやってよ? ……あー、アホみたいな話してたら熱くなってきた。そろそろ出ようかな」


 言うが早いか、フィオナさんはその場で立ち上がった。

 その体にはバスタオルが張り付いており、体の輪郭がモロにわかるようになっていた。

 しかもちょっと透けており、胸部のふくらみの2点に、何かが見えるような――

「ガン見すんな!」

 フィオナさんは絶叫しつつ、再びお湯に身を沈めた。


「レオンっち、先に出てよ」

「いや、俺、全裸なんですけど」

「だって、ウチが出ようとしたらジロジロ見てくるじゃん」

「それは見ますけども……」

「ちょっとは取り繕えよ」

「じゃあ見ないです」

「白々しい嘘をつくな」

 睨まれてしまった。どう答えても怒られるって、詰んでいるのでは……。


「レオンっち、早く出て」

「でも、俺には隠す方法が――」

「うるさい。ウチそろそろ限界なんだから、さっさとして」

 有無を言わせぬ口調で言われ、俺は従うことに決めた。

 両手で股間を押さえつつ、180度回転してフィオナさんに背を向ける。

 そして覚悟を決め、思い切って立ち上がった。


「――あはっ! レオンっちのおしり可愛い~」

 歓声が聞こえて振り返ると、フィオナさんが俺のことをガン見していた。

 すぐさまお湯の中に体を沈める。

「フィオナさん! ジロジロ見ないでくださいよ!」

「いいじゃん、減るもんじゃないんだし」

「その言葉、そっくりそのままお返しします」

「男は見られてもいいけど、女の子は見られると価値が減るの」

「そうなん……ですか?」

「まだ誰にも見せたことない裸、ってフレーズ良くない?」

「たしかに、グッと来ますね……!」

 まぁフィオナさんの下半身は、すでに俺が目撃してしまっているのだが……。


「とはいえ、男は見られてもいいという結論になるのはおかしいと思います」

「じゃあ見ないようにする」

「とか言って見る気でしょ?」

「あっち向いて目を瞑ってるから」

「本当ですか……?」

「ウチのこと疑うわけ? 別にレオンっちのケツなんか見たくないし」

「ついさっきガン見してましたよね?」

「もうしないから」

 フィオナさんは半笑いでそう言って、俺に背を向けた。

 どうやらおふざけは終わりみたいなので、背を向けて再び立ち上がる。


 だが、片脚を出したところで嫌な予感がして振り返ると、フィオナさんが思いっきりこっちを見ていた。

 すぐさま湯に体を沈める。

「ちょっとレオンっち! なんで振り返ったの! ウチを疑うってどういう了見!?」

「いや、今のフィオナさんは怒る権利ないですから」

「別に怒ってないよ。ただ、今のは言い訳のしようがないから、怒ることでごまかせないかなって思って叫んでみただけ」

「悪意しかなかった!」

 なんでこの人、そんなに俺の尻が見たいんだよ……。


「決めました。俺、フィオナさんが出るまで出ません」

「はぁっ!?」

「先に上がりたくなった方が、恥ずかしい姿を見られる。公平でしょう?」

「変態」

「お互い様です」


 こうして、俺とフィオナさんの我慢対決が始まった。

 とはいえ、現時点でけっこう長く入っているので、決着まではそんなにかからないと予想される。

「……ヤバい。頭がクラクラしてきた」

 2分ほどが経ったところで、フィオナさんが見るからに辛そうに言った。

「早く出た方がいいんじゃないですか?」

「でも……レオンっちに見られるし……」

「ちなみに、俺はまだまだ大丈夫です」

 弱々しくつぶやくフィオナさんに、俺はなるべく力強く言ってやった。

 実際は俺も限界が近いので、早く諦めてほしい。


「ていうか、冷静に考えたら、今から鍵を盗む作戦なんですよね? こんなことをしている場合じゃなくないですか? 早くしないと、エヴァンジェシカさんがお風呂から上がっちゃうかも」

「たしかに……」

「というわけで、負けを認めてください」

「レオンっちが負けを認めるって選択肢は……」

「ないです。俺は別に、島から脱出しなくてもいいんですし」

「卑怯……卑劣……」


 フィオナさんは耳まで真っ赤にしてつぶやいたかと思うと、観念したようにお湯の中で立ち上がった。

 水を吸ったバスタオルは透けている上にずり落ちそうになっており、胸がかなり際どいところまで見えている。最高の光景だった。


「……まぁ、見られてもいいや。後でリリアせんせーに記憶消してもらうから……」

「へっ? 記憶を消す?」

 などと小首をかしげた俺の前で、フィオナさんがバランスを崩し、倒れそうになった。

「あっ!」

 俺は思わず立ち上がって抱き留めた。


 この時の衝撃でバスタオルが落下し、フィオナさんの胸が露わになった。


 あまりの美しさに目を奪われつつも、ほんの少しだけ残っている理性を保って、フィオナさんを温泉から運び出す。

 岩場に座らせた時には、バスタオルは下腹部を申し訳程度に隠せているだけになっていた。

「きゃあっ!!」

 フィオナさんはすぐにそのことに気づき、悲鳴を上げた。そして朦朧としながらも、両腕で胸を隠す。


「――レオンっち! ガン見しすぎ!」

 全力で睨まれたので、俺はフィオナさんから手を離し、背を向けた。

「今のは不可抗力です」

「違う! 明らかに悪意があった!」

「……すみません。人命救助した直後なので、見てもいいかと思いまして」

「見ていいわけないでしょ!」

 フィオナさんは怒鳴りながら、手早くバスタオルを巻き直した。名残惜しすぎる。


「でも、助けた後で裸を見ても、好感度はプラスマイナス0ですよね?」

「なわけないでしょ!! マイナス1億だよ!!」

 バスタオルを直したフィオナさんが、絶叫しながらこっちに歩み寄ってきた。

 てっきり殴られると思って顔を逸らしたのだが、いつまで経っても何の衝撃も来なかった。

「……てかさ、レオンっち。それ、すごいことになってるね」


 フィオナさんはニヤニヤ笑いながら、俺の下腹部を指差した。

 視線を落とすと、俺の男性の象徴が丸出しになっていた。

 しかも、限界までそそり立っている。

「――っ!!」

 全裸だったことをすっかり忘れていた。今さらながら両手で隠す。


「これでおあいこだね。ま、ウチはリリアせんせーに頼んで記憶を消してもらうけど」

「いや、記憶を消すって何なんですか? そんな効果を持つ薬草があるんですか?」

「んふふ、内緒」

 フィオナさんは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、入浴前に服を脱いだところに歩いていったのだった。