年下の女性教官に今日も叱っていただけた2
第4話 美少女のお風呂に潜入させていただけた②
真っ暗闇の中、エヴァンジェシカさんの背中やおしりがぼんやり見える。これは注視せざるを得ない。
直後、エヴァンジェシカさんは体を反転させ、右足を持ち上げた。
もし今、何かの奇跡で太陽が昇ったら――
などと現実離れしたことを考えた次の瞬間、ずっと月を隠していた群雲が、狙い澄ましたかのようなタイミングで晴れた。
一糸まとわぬエヴァンジェシカさんを、月光が照らす。
無防備な女体の全てが、俺の視界に飛び込んできた。
すべてを忘れて見入る俺。
一方のエヴァンジェシカさんも、地面に這い蹲って服を探っている俺の存在に気がついたようだ。
「――きゃああああっ!!」
甲高い悲鳴が響く中、俺は脱兎のごとく逃げ出し、大急ぎで岩山を登る。
「フィオナ! 石コロがここにいることを知っていたんですか!?」
「そ、そんなわけないっしょ! あのヤロー、覗きなんて許せない!」
「本当でしょうね!?」
「当たり前っしょ! レオンっちがいるってわかってたら、服脱いだりしないし!」
「……それもそうですね」
「てか、早く捕まえないと!」
フィオナさんはそう言いながら、大急ぎで服を着ていく。
「ウチ、追いかけるね!」
やがて着替え終えたフィオナさんは、呆然としているエヴァンジェシカさんを残し、岩山を登り始めた。
そしてエヴァンジェシカさんから見えない位置で合流し、小声で話す。
「鍵は手に入った?」
「一応……。でも1つだけですし、足枷の鍵じゃないみたいなんですよね」
そう言いつつ、自分の足枷の鍵穴に宛がって見せた。
「他に鍵なかったの?」
「それが、探し始めてすぐに見つかったので……」
「ならしゃーないか。てかさ、これって何の鍵?」
「わかりません。もしかして、牢屋ですかね?」
「あ、そうかも。じゃあリリアせんせーたちを助けに行こ」
「俺1人で行った方がいいですよね? もし捕まった時に、フィオナさんは無関係を装えますし」
「たしかに。じゃあレオンっち、行ってら」
「行ってきます」
俺はすぐさま、リリアさんたちがいる洞窟を目指して走り出した。
しかし、岩山を登っていくと、洞窟の入口にたいまつを持った男たちが待ち構えているのが見えた。
「石コロの野郎、エヴァンジェシカ様の湯浴みを覗いたらしいぞ!!」
「許せん!! 万死に値する!!」
「血祭りに上げてやる!!」
怒りのボルテージがマックスになっているようだ。
信仰する美少女の裸を見られたのだから、それはそうか。俺も逆の立場だったら怒りで我を忘れていただろう。
さて、どうしたものか。入口は1つしかないし、総勢8人の注意を逸らしてこっそり侵入するのは不可能だろう。
というわけで、強行突破することにした。
抜刀し、男たちの前に姿を現す。
「皆さん! そこをどいてください!」
しかし、いきり立っている男性たちは一歩も引かない。
「ふざけんな!! 誰がどくか!!」
「テメェ石コロ!! よくもエヴァンジェシカ様の湯浴みを覗いたな!!」
「どこまで見たんだ!!」
「どうだった!! 何色だったんだ!!」
皆様、だいぶ興味津々の様子だ。
とりあえず謝っておくか。
「上から下まで全部見えました!! 最高でした!!」
「「「「「「「「ぶち殺す!!」」」」」」」」
頭に血が上った男たちの叫び声が見事にシンクロ。直後、一斉に飛びかかってきた。
ひとまず先頭の男の首筋を狙い、刀を水平に薙いで、真横に吹っ飛ばした。
「ぐああああっ!!」
倒れ込んだ男は首を押さえ、絶叫した。
「――峰打ちです。死なないけど、死ぬほど痛いですよね」
一瞬でやられた仲間を見て怯んだらしく、他の男たちの足が止まる。
これで諦めてくれることを期待したが、男たちの闘志はそう簡単には消えない。
「気後れするな! エヴァンジェシカ様の仇を討つんだ!」
「1対1じゃ危険だ! 囲んで一斉に飛びかかるぞ!」
「人数の差を活かすんだ!」
男たちはお互いを鼓舞し合いながら、俺の周囲に散った。そして四方八方からジリジリと距離を詰めてくる。
煽るような発言をしてしまったことを、少しだけ後悔した。
――まぁ、素人が連携したくらいじゃ、脅威にはならないんだけどな。
俺は接近してくる男たちを片っ端から峰打ちで仕留めていった。全滅させるのに2分もかからなかった。
と、そこにたいまつを持った増援が駆けつけた。人影の数は3つだ。
この島の男はこの8人だけのはずだから不思議に思っていると、さっき俺をお風呂に誘ってくれた女性3人だった。
3人は俺の足下に転がる男たちを見て、驚きを隠せなかったようだ。
「嘘っ!? たった1人で全滅させたの……!?」
「こんな短時間で……!?」
「しかも石コロは足枷してるよ……!?」
どうやら、自分たちも同じ目に遭うのではないかと恐れられているようだ。
心外である。俺は女性に危害を加えるつもりはないのに。
俺は納刀し、両手を上げつつ呼びかける。
「俺に交戦の意思はありません。ただ仲間を救出させてほしいだけです」
これで牢屋に行かせてもらえるだろうと思ったのだが、予想に反し、3人は意を決したような表情になった。
「私たちね、石コロが牢屋に入ってる間に、フィオナと食事したの。それで、石コロの弱点を聞いたんだよ」
「――えっ」
嫌な予感がした直後、3人は一斉に上着を脱ぎ捨て、下着姿になった。
至高の光景だった。必要最低限の部分しか隠していない3人の女体を目に焼き付ける。
「突撃っ!」
茶髪の女性が叫んだのと同時に、3人は俺を目掛けて走り出した。
避けなければ――とは思ったのだが、このまま受け止めたいという本能が邪魔をして動けなかった。
結果、女性3人に飛びつかれ、俺の体は後方に押し倒された。
3人の髪の毛からいい匂いがするし、女性たちの体はあらゆるところがやわらかいしで、最高だった。
「やった! 捕まえた!」
視覚と嗅覚と触覚で女性たちを堪能していると、いつの間にか刀を奪われ、両手に手錠が着けられていることに気がついた。
ヤバい。これ、リリアさんにキレられるヤツだ。
S S S



