年下の女性教官に今日も叱っていただけた2
第4話 美少女のお風呂に潜入させていただけた③
その後、俺は後ろ手に縛られ、洞窟の入口付近に転がされた。もちろん、エヴァンジェシカさんの入浴中にお邪魔して手に入れた鍵は没収された。
それからしばらくすると、足枷を着けられたフィオナさんが連行されてきた。
エヴァンジェシカさんも一緒に姿を現したのだが、俺と目が合うと気まずそうに視線を逸らした。
女性たちは牢屋の鍵を開け、フィオナさんに入るよう促した。
「ちょっと! なんでウチが牢屋に入れられなきゃいけないの!?」
「石コロがワタシの服から鍵を盗んだ時、アナタが手引きしたとしか考えられないからよ」
「誤解だって! ウチ何もしてないもん!」
「疑わしきは罰する。それがこの島のしきたりにしようと、今決めましたわ」
「横暴じゃない!?」
フィオナさんは大声で反論するが、聞く耳を持ってもらえない。結局、為す術なく牢屋に入れられてしまった。
「――さて、石コロ。アナタには、ワタシの裸を見た罰を与えなければなりませんわね」
顔を赤らめたエヴァンジェシカさんが、鬼の形相で俺を見下ろしてきた。
思わず生唾を飲み込む。いったいどんな罰が与えられるっていうんだ……!!
「どこかに閉じ込めて餓死させるわ」
「……あ、ガチのヤツなんですね」
何百回もムチで叩かれるみたいなのを期待していたんだが……。
「ワタシの裸を見た男がこの世に存在し続けるという事実が許せないわ。とはいえあっさり殺すのも癪に障るから、これから何日も飢餓感に苦しみながら反省して、やがて力尽きて死んでちょうだい」
エヴァンジェシカさんの口調から、その本気さが伝わってきた。俺のことを憎みまくっているらしい。
「――恐れながら、島主。お言葉ですが……」
後ろに控えている茶髪の女性が、控えめに話し出した。
「たしかに石コロは極悪人ですが、その戦闘力は群を抜いています。少なくとも、この島の男8人は瞬殺でした。いつまたフェンリルみたいな魔物が現れるかわかりませんし、生かしておいた方がいいんじゃないでしょうか?」
「……エルミノーラ。ワタシに口答えするというの?」
「これは進言です。少なくともアタシたち3人は、石コロを奴隷にしたいと考えています」
「ワタシにこの上ない恥辱を与えた石コロには、生かしておく価値があると?」
「石コロを完全に支配し、反逆の意思を摘めば、有能な駒になると思います」
「……わかったわ。アナタがそこまで言うなら、明日の朝まで考えることにしましょう」
エヴァンジェシカさんはそう言って、洞窟から出ていった。エルミノーラさんたち側近もそれに続いていき、残されたのは俺たち4人だけになった。
「……えっ、もしかして、ウチらって朝までこの状態なん?」
フィオナさんが疑問を発し、リリアさんが肩をすくめた。
「そうなるでしょうね。石コロがまた女性に負けたせいで」
リリアさんが鉄格子ごしに睨んできた。
「いや、違うんです。俺がさっき捕まったのは、フィオナさんがみんなに俺の弱点を話したからで――」
「そんなことより、リリアせんせーが普通に『石コロ』って呼んでんのウケる」
「フィオナさん、ごまかさないでください」
俺が追及すると、フィオナさんは頭をかいた。
「ごめん、ごめん。まさかこんなことになるとは思わなくてさ」
「というわけで、捕まったのは俺だけのせいじゃないです」
「でもそれは、石コロが女性に魅了されなければ良かっただけですよね?」
「そうそう! 責任転嫁すんなし!」
「だって、いきなり下着姿になられたんですよ? ギョッとして動けなくなっても仕方ないじゃないですか」
「石コロはいつまでそのレベルで止まっているんですか? そもそも、わたしとシエラさんを見てください。下着と大差ない布面積でずっと過ごしているんですよ?」
そう言われ、あらためて2人の姿を見る。
「ジロジロ見ないでください」
「リリアさんが見ろって言ったんですよ!?」
理不尽だと思いつつ、俺は2人を凝視するのをやめられなかった。



