学園キノ
キノの旅第四部・学園編第一話 「キノ颯爽登場!」─Here Comes KINO─ ⑤のコピー
「…………」
静は見つめます。すぐに木乃は、あっ、とたじろいで、
「──って先輩に偉そうなこと言ってスミマセン……」
「いいよ。ためになった。自分のできることから、か。──そうするよ」
木乃に笑顔が戻ります。
「じゃあ、とりあえず先輩は」
「私は?」
「女の子の
「……! ──あははは!」
楽しそうに笑う静に、木乃が一言、
「できるじゃないですか!」
「…………」
それから二人は、
さて泣きながら階段を走り下りていった静にふられた女子生徒はどうなったかというと、泣きながら階段を走り下りたせいで前がよく見えておらず、手すりに
それに気づいた彼女は、
半地下の踊り場には暖房設備室入り口があるだけで、もちろんそこにはしっかり
そんなところで、彼女はさめざめと泣き続けます──今までひたすら
今彼女の頭の中は、色々なことが
「憎いか──?」
そんな彼女を、老人のような怪しい声が包みました。もちろん彼女以外誰もいません。
「……?」
彼女が涙と鼻水だらけの顔を上げたとき、
「あの男が憎いか──」
またも声がしました。混乱中の彼女もさすがに
「だ、誰?」
「そんなことはどうでもいい。今重要なのは、お前さんがあの男を憎んでいるということだ」
彼女はハッとして、そんなことはない! と言おうとして、
「見てみろ。──窓だ」
彼女が
「!」
その手すりに寄りかかる小さな
「いやあ!」
一つに重なるのでした。どう考えても、肩を寄せ合いお互いを見合い、そしてキスを交わしたようにしか見えません。
「どうだ。なぜお前が振られたか分かったか──?」
「あの
声が、
「彼と彼女は──、
謎の声は、彼女をじわじわむわむわと包みこむようでした。
ぽつん、と、彼女の頰に伝わった涙が床に落ちました。一つ、二つ、三つ──たくさん。
ひとしきり彼女が泣いた後、謎の声と、下を向いたままの彼女の会話が続きます。
「あの子が憎いか──?」
「な……、に……?」
「憧れの先輩を独り占めにする、あの女の子が憎いか──?」
「…………」
「それとも、自分をふってあの下級生に愛想を言うあのムッツリスケベ侍が憎いのか──?」
「……え?」
彼女が顔を上げました。
「ほう、そうか──。二人共憎いのだな──。いいや──もう何もかも、世界
「そんな……、決して……、そんなことは……」
彼女は顔を振って否定しますが、声はたたみかけるように、
「そう言いながらも──、先ほどから〝三点リーダー〟が多いぞ」
「え? 〝三点リーダー〟って……?」
「つまりは、──まあ要するに↑↑これのことだ。言いよどみとかだ。──すなわちお前は、さっきまで大好きだったあの
「そ、そんな……。そんなことはないです……」
「と言いつつも、本心では今すぐ二人とも屋上からえいやって突き落としたいと思っている。──分かるぞ」
そして彼女は恐怖を感じつつも、
「あ……、あなたは一体
聞かずにいられなかったことをズバリ聞きました。よくぞ聞いたとばかり、声は急にハイテンション。
「そんなお前に、ピッタリの商品があるんです!
「通販屋さん?」
違います。
五時間目の授業中でした。
高等部一年のとあるクラスでは、机に突っ伏して、
「まったくもう」
極々小さな声でぼやくストラップがぶら下がった、ポーチをいくつかとモデルガンを入れたホルスターを
どうにも幸せそうな顔です。
高等部二年のとあるクラスでは、一人の女子生徒の席が空いていました。午前中は
そしてその席の
「何もかも
思い詰めた顔でつぶやきながら、右手に持った小瓶を見つめていました。中にはどう見ても怪しい、緑の蛍光色の液体が入っています。
そして彼女は、それを飲み干しました。一気でした。
瓶が床に落ちて割れる音が踊り場に
高等部三年生のとあるクラスでは、白いガクラン姿で腰に日本刀を
しかし突然彼は、
「……!」
何かに気づいたかのように返答を途中で
十秒ほどが静かに過ぎて、教師が分からないのなら座っていいよと言おうとした
校舎が細かく揺れました。
教室中で悲鳴が上がる中、
「来たか」
「



