30ページでループする。そして君を死の運命から救う。

序章 ⑧

 身を削る思いで〝あの子〟を捜して、ついに有力情報がつかめそうで、もうすぐ会えそうなところまで迫って、もし彼女が困っていることがあるなら今度は俺が助けようと思って、でも俺はいますくむだけでなにもできず、そもそもなにが起きたのかすら理解できず、たどり着いた頃にはすべてが遅きにしつして……。

 ──愛した〝あの子〟との再会が死体なんて、そんなふざけたことがあるかよ……!

 最悪な想定が現実の光景として着実にふちられていき、後は撃たれた被害者を視認すれば悲劇の画は完成する。

 震える。奥歯がわずカチカチ鳴る。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。見たくない。これ以上さんな現実を直視できない。目をつぶる。だがそれでは〝あの子〟が撃たれたかどうかわからない。歯を食いしばる。見ろ。まぶたをこじ開けろ。たとえ心が切りきざまれる光景がそこにあったとしても見ないとなにもはじまらない。見ろ見ろ見ろ見ろ見ろッ。

 撃たれたのは──


「えっ」


 撃たれた被害者を確認しようとして、俺は間抜けみたいな声をらした。

 突然だった。

 映画のカットが切り替わるような唐突さで。

 世界は照明が落ちた舞台空間のごとく暗転して。

 時が止まったみたく無音の静けさに包まれて。

 そして。

 ──眼前、〝謎の造形物〟が現れた。

 視界をおおうほどの巨大さ。見上げなければ全体を捉えられないほどのスケール感。ようだった。異様でもあった。謎の造形物のデザインはクラシカルな機械を複合的に組み合わせたアンティーク風の造形美術を思わせた。

 機械けの神、そんなこの世ならざる超然とした存在感。

 ──なんだ、これ……。

 あつに取られて絶句した。

 ただ、機械仕掛けの神と相対する構図は神聖な儀式の一場面のようで、まさにその一瞬で自分の人生が運命付けられるしんたくさずかった心地となった。


 ──戦ってみせよ。かつて救われた悲劇の遺児よ。