扉の外
第1章 ③
しかし、生徒は和泉の行動に
「とりあえず、前に集まりましょう」
和泉がクラスメイトを呼び寄せる。生徒たちは素直に従い、画面の前の開いたスペースへと集合する。
紀之も集団の後ろに進み、そばのシートに腰をかけた。クッションが効いていて座り心地がよい。見ると、
「まずは、話の時系列を整えるわ。
生徒たちは
まず、本来はここに来るはずはなく、夏休みの修学旅行で北海道に行くはずだったこと。空港までのバスに乗り、その中で何故か健康診断をうけたこと。記憶はそこまでだったと整理された。
「そうね、きっとその健康診断で、薬とか打たれたのかもしれない。たかだか北海道なのに、他にもバスでの移動中にって変だったものね。みんな、まだふらふらするでしょ。だから、時間だってあれからそんなに
「どこなんだよ、ここは?」
男子生徒が声をあげた。
「それが問題ね。出口も開かなかったし、ここはほぼ密室。あの……ソフィアが言ったように、ここは宇宙船だと思う?」
和泉は、一瞬紀之を
「私の考えを言うと、可能性は低いと思うわ。あの戦争うんぬんも含めてね。世界的にテロ活動とかが活発化して不安定ではあるけど、現実的に核戦争はちょっと飛躍しすぎてる」
「そりゃそうだろ」
紀之は手前の男子生徒と視線を合わせて軽口を
「でも、この設備は大げさ過ぎる。ソフィアの話もうなずけるの。私たちの命を
和泉は紀之を無視して考えを述べる。
「宇宙船ってことか?」
「宇宙船でないにしても、シェルターのようなものではあるわ。ここは地下かもしれないし、
紀之はどきりとした。確かにここはシェルターだ。宇宙船は
「後ろの扉にはトイレもシャワー室もあったわ。シャワー室は水は出なかったけど。そして、この画面の横に自動販売機のような機器がついているでしょ。きっと食料はそこから配給されるのよ」
確かに画面の横にはそんな機械があった。薄暗くてよく見えないが、ずらりとボタンが並んでおり、取り出し口のようなものが下についている。
紀之はポケットを探ったが、当然のように財布はなかった。あってもコインは使えないのだろうが。
「配給のやり方はまだ分からない。ソフィアの言うとおりなら、十二時になったら動きがあるはず」
「そいつの言うとおりにしろって言うのか」
誰かが言い、場が少々混乱し始める。
「待てよ、とりあえず様子を見るべきだろ」
発言したのは
「あのソフィアっていうキャラクターだって、なかなかチャーミングじゃないか」
氷室は周りの生徒におどけて見せた。氷室のそんな表情に、生徒は少しだけ緊張を解いた。しかし、
「ソフィアは人工知能だって言っていたけど、その
「それより、あいつは、
生徒のひとりが発言した。
「分からないわ。本当に戦争が起きたか、これから起こす予定があって、このシェルターのような場所に入れられた可能性も否定できない」
「じゃあ、あのハゲは? 教師がいたほうがまとまるじゃん。それに、何で俺たちがシェルターに?」
「私たちがシェルターに入れられた真意は分からないけど、年齢的には
平等とは、ソフィアも言っていた。この世界も皆平等だと。
「密室の生活を考えてみて。限られた物資しかない
「じゃあ、ここは本当にシェルターなのか。しばらくここで過ごすことになるよな」
氷室の言葉に、周囲の生徒も緊張をする。
「それは、ソフィアの言葉を信じた場合だから。実は私たちを驚かせようとしているだけかもしれないわ」
「で、どうする? 何か意見はないのか」
氷室が周囲の生徒に意見を求めたが、
「じゃあ、とりあえず待機ということにしましょう。まあ、ちょっとしたイベントよね。気楽にいきましょう」
和泉は軽いトーンで言い笑ってみせた。
「
それにこれだけ話し合って出た結論が待機。現状維持。結論の先延ばしでしかないのだ。
しかし、クラスメイトの表情は先ほどより
生徒たちは再びいくつかの集団にわかれて室内に散った。それぞれ、リクライニングシートに座ったり、結論の出ることのないだろう話し合いをしたりと様々だ。
まずは画面横に設置してある機械に目をやる。そこには
次に紀之は画面を見た。ソフィアの姿はなく、中央にあのマップとトランプマークが表示されているだけだ。液晶画面の上には、アナログ掛け時計がある。その横には通気口のようなものがいくつも開いており、
再び画面を見る。五マス四方のマップがある。中央にはスペードマーク。



