ブギーポップ・クルシファイ リミットグレイの妖精逆説
Color 6 錯誤の紫色 -false purple- ⑤
末真がどうしても雨宮美津子に確認したかったのは、あのディベートの後で雨宮が〝お守り〟を回収することに執着したのは、あれがなんなのか知っていたからなのか、それを確認したかったから、であった。
(あの〝お守り〟──もしかして、わたしと藤花以外の、あの場にいた全員が持っていたんじゃないか。だからそれを取り落としたことに、みんなが過剰に反応したんじゃないのか。あれは一種の〝身分証明〟みたいなもので、同じグループであることを保証していて──だから持っていなかった藤花だけが、あの場で攻撃されたのかも知れない。そう、身内の結束を高めるための〝生け贄〟として〝
末真は、ちら、と横たわっている焼津芽依に視線を落とした。
(この娘は……この娘はあの〝お守り〟を持っていないと断言した……でも)
末真は、ほんのちょっと良心の
はたして……あの小さな包みはすぐに見つかった。
中を開いて、紙切れを取り出してみる。そこには『美しいだけの世界は、君には向いていない』という一文が書かれていた。
(文章が違うけど──でも、同じものと見て問題なさそう……)
末真の疑念は正しかった。この予備校には宮下藤花を不当に敵視する者がいて、そいつは〝お守り〟を使って皆を束ねている。そして、それは──
(さっきの異様な会話──雨宮美津子が命令していたみたいに見えたけど、でも、実際は逆──先生の方が生徒にすがって、助けを求めていた──ということは、黒幕は)
末真の知る範囲内では、それは府名井柚純であるということに、ここで確定する。
「…………」
末真は気絶している焼津芽依の状態を改めて確認する。
呼吸も正常であり、脈拍も乱れていない。放置していても大丈夫そうだ。
末真は、芽依の懐に〝お守り〟を戻した。するとそのとき、どこからともなく、
〝そんなものはもう、いらない……〟
という声が聞こえた気がした。はっとなって周囲を見回すが、なにもいない。そして顔を戻したとき……末真はぎょっとした。
焼津芽依の口元が、かすかに吊り上がっていた。笑っている……ように見えた。
しかし、意識は戻っておらず、気を失ったままだ。口元もすぐにまた緩んで、無表情に戻る。
「…………」
末真はしばし
妖精たちの笑い声が、遠くから響いてくるが、それを聴き取れる者はこの場には誰もいない──。



