藍坂素敵な症候群
第一診「初期症状」-the president of medical club, her name is...- ②
おかしい。さっきまでは「どうやら希望に満ちた学校生活が送れそうだぞ」なんてことを
それからすぐに担任がやってきた。白衣の彼女もさっさと自分の席に座ってしまったので、それ以上どうすることもできなくなる。視線で疑問
ホームルームは今後のスケジュール説明と自己
次の時間は体育館での始業式。おかしな生徒達の姿がそこかしこに見られることを除けば、式はただの式だった。始業式が終わると、学校は午後を待たずして放課後を迎え、そして──
「どこ行くんだよ」
「落ち着いて話せるところよ。いいからついてきなさい」
浩介は白衣の背中を追って廊下を歩いていた。これから楽しいイベントが待っているとは思えなかったが、一応ながら彼女はクラスメイトなのだ。話があるというなら無視するわけにもいかない。それに、その話が昨日の不可解な出来事についてのものなら多少は興味がないでもなかった。あの変な見間違いはともかくとして、どうしてあんなところから降ってきたのかというのはやはりそれなりに気にはなっている。
ぼんやりと昨日のことを思い出しつつ、浩介は横の教室のプレートを確認する。天文部。次の教室には、プロレス同好会。さらに、
そのとき白衣の少女がちらりと肩越しに視線を向けてきて、
「きょろきょろしないっ。はぐれたら校内放送で呼び出すわよ」
「
「呑気すぎる
そんなよくわからないことをしかめっ
ふと、彼女が何かに気付いた様子で視線を前方に戻す。行く手から誰かが歩いてきたのだ。
「あらあら〜。その後ろの子は、確か……今日から転校してきた子よね?」
そこにいたのは年若い女性だった。女子大生だと言われれば普通に信じられそうだ。
「あ……はい。俺は転校生です、けど」
「うんうん、そうよね〜。今朝保健室に新しく保健カードが届いたばっかりだから覚えてたのよ〜。まあ先生、学校にいる生徒ちゃん達の顔は全員覚えるようにしてるんだけどね〜」
にこー。と、やたら
「あ、先生は
「ど、ども。
「そう? んふふ、まあ先生、みんなのこと愛しちゃってますから〜。お安い
長閑は冗談めかした仕草で自分の胸を
「で、
さすがに教師にまでは尊大な態度は取れないのか、白衣女は微妙に首を縮めるようにしつつ、
「いえ……とりあえずは、見学、みたいな感じです。えと、必要なら取りに行きます……」
「はいは〜い、よろしくね。それじゃ先生、そろそろ保健室に戻ります〜。らびゅー」
おかしな別れの
「えっと……勧誘? 何の話だ?」
再び歩を進めながら、振り返りもせずに少女が答えてくる。
「あの人、部活の
「部活……?」
「そう、部活」
当たり前のように言い、彼女の足が止まる。だが、ん、と親指で軽く指し示されたその部室のプレートにある名前は全く当たり前なものではなかった。単語自体は一般的にしても、それが《部》と組み合わされていることなど普通ありえない。だから浩介はぽかんと口を開けてそれを見つめる──《医術部》と書かれているそのプレートを。
そんな
「そして私はこの部の部長。
さっきの自己
「……変な名前だな」
「うっ。いきなり、しちゅ、失礼な男ね! ちょっと病的なくらいの無礼さだと思うわ!」
「こんな変な部にいきなり連れてくるお前も
「か、噛んでないっ」
顔を真っ赤にした素敵が
その声はひどくうっとりしたもので、熱が
「うふふ……大きくて、硬くて。ああ、
なんだかとても、聞いてはいけない声のような気がした。
+
「
「あ。
「いやいやいや!? なに冷静に言ってるんだよ、もうちょっと
「なんで慌てなくちゃなんないのよ。いつものことだし」
「いつものこと!?」
この学校はどうなっているのか。フリーダムにも程がある。浩介が戦々
「まぁいいわ。とにかく入って。中で話をするわよ」
「入るのかよ!? ちょ、おい、マジで!?」
止める間もなく、素敵は無造作に部室のドアを開ける。なので浩介は見てしまった。部室の中にいたのは、ああ、部室の中にいたのは──
「……あら、素敵さん」
「それ、新しく買ったの? なんというか……その、素敵ね」
「そうでしょう? 特注品で、先程やっと届いたんですのよ!」
「か……傘……!?」
「おや、よく見れば見知らぬ男がいますわね。誰でしょう?」
どこか
「昨日話した
「ほぉう。



