1:8.6周年記念SS
エイティシックス8.6周年記念SS 貴族if8.6
前回までのあらすじ:保護者の大貴族一同から仮装用ドレスを送られたエイティシックスが、素敵な衣装にテンションあがってギアーデ皇国ごっこをしているよ!
「ふふふふふ8で終わりと思ったかの? カウントは8.6じゃ、というわけでわらわこそが大トリ! リュストカマー学園城の迷宮庭園に住まう千年の魔女令嬢、その名もフレデリカである、のじゃ!」
「属性盛りすぎっすね」
「ここにきていきなり城と迷宮と魔女が生えたぞ」
「そしてこっちは使い魔のサキ!」
「にゃお~んっす」
「そしてマルセル!」
「みゃーお」
古代の女神を模した白く薄いプリーツドレスに精緻な紋様のストールを巻いた装いでフレデリカは元気に飛び跳ね、両側に控える紫紺のフロックコートのサキと浅緑のフロックコートのマルセルが淡々と追従する。使い魔の猫扱いなのはサキは雰囲気とパーソナルネーム、マルセルは猫目のせいだ。
生地が薄く体の線も出やすいため、一歩間違えばしどけなくなってしまうフレデリカの装いだが、彼女の場合はさすがはというべきか、狙いどおりの神聖性だけがばっちりと醸し出されている。
が、その聖なる印象をガン無視してマルセルが言う。
「どうでもいいけど千年の魔女令嬢って、つまりババァ、」
「マルセル、蛮勇すぎるっす!」
「あとつまり、千年迷路で迷ってるってことじゃ、」
「マルセル!」
必死に止めるサキを後目に、フレデリカはふふんと胸を反らす。
「無礼者め。したが今日のわらわはレディじゃからの。そのくらいの放言は見逃してやるわ」
「え、じゃあ普段のフレデリカはレディじゃないってことっすか?」
一番余計なことを、サキはついうっかり口にした。フレデリカがにっこりと微笑んだ。
次の瞬間、逃げだしたサキを追い、フレデリカはハイヒールを蹴り捨てて全速力で駆けだした。



