4:2024年 台湾サイン会のお礼SS
シェア・セオとアネット
「美味しいねこのソーセージ。癖になるや」
「甘さと香辛料と、それにお肉のうまみがいい調和よね。ニンニクと合わせるとそれがまた」
「ここのご飯って味もそうだしそれに食感も、さくさくでもちもちとか、カリッとしてとろっととか、複雑な組み合わせで良いよね。……あっ、でもこのニンニク辛い! うわ辛っ!」
「はいはいほらビール飲んで」
さしだされた特産のビールで不運な辛さを洗い流して。
真剣な顔でセオは言う。
「大変だアネット。……このソーセージ、このビールにすごい合う」
アネットは一つまばたく。
「ん、たしかにお酒ほしくなる味ねとは思ったけど」
「いやお酒全般もそうだろうけど、そうじゃなくてさ。この新しい麦の香りがする名産ビールのしっかりした風味が、ソーセージの甘さとうまみのパンチをきっちり受けとめててもうベストマッチっていうかさ」
珍しい早口でそこまで言われては、アネットも試さずにはいられない。
「うわほんとね。これはぴったりだわ。いくらでも飲めちゃう組み合わせだわ」
「でしょ」
いそいそと二人は瓶を追加する。
そして、もう今日は飲む! と決めてしまうと、……実はさっきからもう一つ気になっていた、それはそれは華やかで魅惑的な香りが、いよいよ強烈な誘惑となってきた。
この国で作られる、お高いウイスキーの。
仮にもオペレーターと佐官である。懐はそこまで痛まないのだが、あとの懸念は。
「……アネット、いける口?」
「ま、レーナよりはね」
とはいえ二人でウイスキー一瓶は、さすがに明日が怖いので。
「とりあえず、みんな呼びましょ。料理も追加して。……レーナは弱いし、フレデリカはまだ駄目だけど」
「フルーツのジュースもいろいろあるし、だからフレデリカも楽しめるでしょ。あとレーナは大丈夫だよ。シンが強いから」
「それもそーね。じゃあ、もし潰れたら全部シンに任せましょ」
恋人の介抱なんて時間はもちろん、シェアするものではないのだし。
……いつかの米の酒みたいなことになったら今度は放っておこう、と、セオはこっそり思って苦笑を零した。



