としれじぇ ジャンル《都市伝説》 ⑤
「ねえ、お願い。いつものムーに戻ってよ」
「いつもの俺って言われても……俺は、いつも通りだって」
その言葉には、やはりどこか不自然な含みがあった。
「それを証明したいなら──お願い、一緒に来て欲しいところがあるの」
言うが早いか、ルルは足早に玄関へと向かって歩み始めた。
だが、台所にいたムーがすばやく立ち
「もうすぐ飯作れるから、明日にしようぜ、な?」
顔には笑顔を浮かべているが、その
「あのね、ムー」
その
「どうして、私を外に出さないの?」
「……」
ギリギリの発言だった。もしもベッドの下にいるのが殺人
だが、ルルは言葉を止めようとしない。
「お願い、私と一緒に部屋の外に出て」
「お前こそ変だぞルル! どうしてそんな……さっきから部屋の外に出たがるんだよ!」
「平行線だね、ムー」
それでも、彼女は話し続けた。
まるで、言葉だけで自分自身の存在を埋め尽くすかのように。
「ルル……」
「だけどね、ムー。私はね、外に出るよ。あなたと一緒に。私にはそれができるんだよ?」
彼女は静かに足を踏み出すと、ムーの方に向かって一歩近づいた。
「あのね、ムー。私ね、ムーの部屋の事はなんでも
そう言いながら、彼女は洋間の入口にある棚の一つに手を伸ばす。
そこには携帯用のマッチとライターがいくつか置かれており、ルルは静かにマッチを一つ手に取った。
「おい、ルル、何を──」
言いかけて、ムーは部屋の中の
部屋の中が、
通常のアルコールの
見ると──ベッドの上と床の一部に
その手前のテーブルの上では、先刻
「ルル!」
彼が叫ぶのと同時に──
ルルは、火をつけたマッチをベッドの上へと投げ放った。
そして──ベッドを包み込むように、青白い
★
「ごめんね……ムー。もしもあなたが無実だったら、私が全部責任をとるから……」
ルルの目は完全に狂気に満ちており、ムーは自分の言葉が相手に届くかどうか心配だった。
「ルル……」
「これなら……これなら、絶対に外に逃げるよね?」
彼女の行いは、まさしく
言うが早いか、彼女は外へと逃げようとする。
「ムーも、早く逃げた方が──」
玄関の扉を開けようとした
「え……?」
抱きしめたのは、ムーだった。
彼女を力強く
「外は……外は駄目だ! 消火器があるから、それで火を消そう!」
まだ
「どうして、どうしてなの!?」
ルルの声に感情が戻り、ムーに対して疑問の叫びを投げつける。ムーも真剣な顔になって、片手で玄関にある消火器を取りながら、片手で必死にピンを抜こうと
「俺は、俺はルルを守りたいんだよぉっ!」
「えっ……?」
その言葉の意味が
ぐぉおぉあぁおおあぁおあゎあぁおあぁおあ
ウォッカびたしになったベッドと床の間に挟まれて、
「ひぃっ!?」
「おわぁぁっ!? なんだなんだ!?」
ルルとムーは同時に悲鳴を上げ──そして、ルルは驚いたような顔をしているムーを見た。
──殺人鬼は──やっぱり殺人鬼だった。じゃあ……ムーは、ムーはどうして私をこの部屋に……?
彼女がそう考えている間に、斧を持った男がこちらに迫る。
「うわあああああ!」
それと同時に、ムーの持っていた消火器が勢い良く泡を
ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁ
勢い良く
激しい音が
服のところどころに火を
後に残されたのは──その場にへたり込んで
「どうなってるの……」
放心した顔で、ルルはムーに
「何が、どうなってたの……?」
かろうじて火を消し止めたムーが、何かを言おうとして口を開いたその
ギャアァァアァァァァァアアァァァァァぁアアァァァァァアアアァああぁぁっぁぁぁあああぁぁぁぁっぁアァァアアアァァアぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁ
あまりに
それから何分が経過したであろうか。ムーはルルの手をとって立ち上がらせると、玄関からそっと外の
そして、彼らがそこで見た物は────
「なに……これ……」
彼らの部屋の扉から十数メートル先、アパートの敷地への入口で、
アパートに入る時には無かった、大きな大きな
周囲には何も存在せず、ただ、セミと
二人は周囲を
その水溜まりが、黒く
「ああ、ああ、本当だった、本当だったんだ」
その事実を確認すると同時に、ムーは独り言のように言葉を
「俺の見た物は本物だったんだ……。こ、こ、こんな事、君に言っても信じてもらえないって思ってたから言わなかったけど────言わなかったけど……ッ! 見た、俺、見たんだよ!」
ムーの
それを聞いて、ルルは全てを理解した。
「見たんだ……俺! 見たんだよ!」
「家の外に────日本刀を持った血塗れの男がいて──
Bサイド『



