第2話 絶対に炎上します ②
「今のが
「マジか……!」
「こんなのにひっかかるお兄が、難しい『
食器を片付け終え、
「まあがんばってー」
「が、がんばります……」
うなずきながらも、俺は自分のマヌケさに。身をもって知らされた
──そして後に。
その不安は、残念ながら見事的中することになる。
*
「──で、今日は、仕事の
図書室内、カウンターにて。
荷物を置いて一息置いたところで、俺は
「どっちが貸し出しやる!?」
「声大っき……」
やべ、声量調整ミスってたらしい。ボリューム
「……えっと今日は、
「ああ、そうなんだ……」
──ブックカバー。
これはつまり、図書室にかけられていがちな、ビニール製のカバーのことだ。
本屋の紙のカバーじゃなく。もう
これまでも何度もやってきた、図書委員お決まりの仕事の一つだ。
「でも、その間カウンターは?」
「
……ふん、そうなると、作業中がチャンスになりそうだな。
先週の配信。あれが
「おう!」
勢いよくうなずくと、相変わらずちょっと
──本のサイズに合わせて、ビニールカバーを切る。
切ったカバーの真ん中に折り目をつけ、
その上に
そこを基点に、少しずつ表紙全面にビニールを
そんな作業を
……気まずい!
これまでだって、何度もこういうシチュエーションはあったんだ。それでも、あんな配信を
……いや、そんなこと言ってる場合じゃない!
俺は、サキが
なんでもいい、話しかけよう……!
とにかく、会話の糸口を見つけるんだ!
「……あ、あのー」
勢いで、まずはそう口に出してから、
「
そう、めちゃくちゃ早い。手慣れているし精度も高い。
作業後にチェックしてくれる先生からの評価も上々だ。
まずはこういう、
けれど、彼女はこちらに視線も向けず、
「だから、
「……そうだよな。勉強になるわ……」
「……」「……」
──
ダメだ! なんもわかんねえ! 次の話題!
俺はムムム……と一人
「……
今度はそんな風に切り出した。
「和食と洋食だったら、どっち派!?」
よし! かなり広がる話題を思い付けたぞ!
これならきっと盛り上がって、いい感じに話を配信に
「……どっちかっていうと、和食派ですけど。でも、アボカドはすごく好きです」
「ああ! アボカド! うちの妹も好きだわ、あれ!」
「へえ、妹さん、いるんですね」
「うん、一人、いる……」
「そうですか」「……」「……」
──
またもや
ダメだ……
なんか、
でも、これで引き下がれねえぞ! こうなったら回数で勝負するしかない!
なのに、
「……その、
「──なんなんですか? さっきから」
顔を上げた。
作業に集中していた
「不自然に話しかけてきて。雑談してる
や、やべ!
さすがに不自然だったか!
「あ、いや……じゃあ、あと一個! あと一個だけ、聞かせてほしいんだけど……」
「なんですか?」
「えっとー、その……」
けれど、全身から発せられている「これが最後だぞ」オーラ……。
ぐう……こうなったら、もう遠回りはできない。
これまでよりも直球で、質問をするしかない……!
俺は小さく深呼吸してから、
「
「そりゃ、人並みには」
「じゃあ、SNSとかも結構やったり?」
「その辺は苦手ですね。アカウントこそ作りましたけど、放置してます」
「へえ……。なら、その……」
そう前置きし。
俺は心臓がバクバクいい始めるのを自覚しながら、
「……配信とかは、興味ある?」
そんな風に、大きく
ここまでやれば……
表情や
けれど──、
「時々見ます」
返事は、思いのほかあっさりしていた。
「読書してるときに、チル系のインストの生配信をかけたり。あとは、夜の高速道路の景色とか、夜行列車の車窓を流しているような配信も好きです」
「あー、そういうの……」
見てそう。確かに
それに……思いのほか冷静だな。サキが本当に
……もっと
これまでより直接的に。相手に
「ちなみに……」
言って、俺はごくりと
「……自分で、配信、やったりとかは……」
──
ここまで来たら、成果なしのままでなんて終われない。
こんなに
「……わたしが?」
彼女、こちらを見て首をかしげる。
「しそうに見えますか?」
「まあ、見えないけど」
……いつも通りだった。
本当に、まったくもっていつも通りの
あれ……マジで? マジで全然、
あの配信……本当に
そして……俺は気付く。
むしろ、こっちが変なことを言ったみたいな



