2 Split Game ②
トランクの裏側には紙が
トランクの中のアイテムは、持ち主の物となります。
アイテムは自由に使ってください。
拳銃の弾丸は一発です。
拳銃には実弾か空砲のどちらかが込められています。
カードは左胸に装着してください。
福原は
そして拳銃。回転式のものだが、シリンダーが接着されているようで動かない。開くこともできなかった。しかし、確かに弾丸は一発入っているように見える。
自由に使ってくださいとあるが、これらをこの部屋でどう使えばいいというのだろうか。風船のように
しかし、これがこの部屋の空気の流れを
そんな金を手に、
「……こんなわけだよ」
今声を出していた大学生の田中は、パチンコ
「朝いちでパチ屋に並びに行こうとして、駅に向かうサラリーマンや学生とすれ違う時に、このままじゃあダメだなって思うんだけどな。でも、つい行っちまう」
田中は軽い口調で言った。
「わかるな。パチンコやってない時、すげえイライラするんだよな」
隣の男が同意した。
「そのうち、やってる時もイライラしだすから、そうしたら完全に
「
壁を背にして座る男が言った。
「何でこしらえたのよ?」
女が視線を向ける。ずっと取り乱していた彼女だが、現在は落ちついている。よく観察すると化粧が濃く、髪も毛先がぼさぼさと荒れていた。若く見積もっても二十代
「キャバクラ。最初は付き合いで行ったんだけど、その店の女の子と付き合うようになって……」
「お金をむしられたのね」
「彼女はそんな子じゃないさ」
「優良客ね。それで、彼女は店を
「…………」
「私もそんな店で働いていたもの。ちなみに、さっき名乗ったカオルって名前はお店の
カオルは少々疲れたような笑みを浮かべた。
「あんたも金に困ってたのか?」
「私は……
カオルは、もうひとりの女性と
少女はこくりとうなずいたが、一瞬だけ冷たく笑ったように見えた。
「あなたの名前は?」
「
少女はか細い声を
その少女を先ほどからケアしているのが、たぶん二十歳ほどだろう
確認できた範囲で、頭の中でメンバーを整理してみる。
カオル 推定二十七歳 女性 サービス業
舞 推定十二歳 女性 小学生
理沙 推定二十歳 女性 短大
田中 二十一歳 男性 大学生
滝川 二十歳 男性 フリーター
中西 十八歳 男性 高校生
その他に四人の男性。二人がフリーターで残りの二人が大学生だと話していた気がする。福原を含め合計十一人。
福原はそれらの会話を聞きながら思った。ほとんどの人間が金に困っているようだった。トランクの中の一千万で、この異常な状態にフィルターがかかってしまうほどに。しかし、それだけの理由でこの状態になったとは思えなかった。
「ねえ、君って何か知ってんじゃないの?」
考え込んでいた福原に、
「なんで?」
「
「どうしてここにこのメンバーが連れてこられたのかって考えていたんだよ」
「理由なんてわからないって結論が出たじゃない」
「理由はわからなくても、この十一人の理由はあるはずだ。何か共通することがあったりとかさ」
プロフィール以外にこのメンバーに共通することがあるのだろうか。住所も出身地もバラバラだった。全体的に若くはあるが、共通点はその程度だ。
「そっか、そうだよね」
「最近の行動で何かあった? 例えば何かを拾ったり、何かを見たり」
「……ないなあ。
「共通するのはそれくらいなんだよな」
福原の感じていた
「……あと、変な夢も」
「やっぱり見てるのか」
「うん。真っ黒な
福原の見る夢もそんな感じだった。なんらかのメッセージなのだろうか。
「小説だとさあ……」
「え?」
「ほら、共通の知人がいたりとかするじゃない」
「……ああ、そっか。それで、ここに集められたり」
「それで、どうしてここに集められたの?」
理沙に
「ストーリーで一番多いのは
「舞は何もしてないよ」
舞が目をぱちくりとさせた。
「そういうのは自分じゃ気づかないんだよ。理由は恨みじゃないかもしれない。とにかく
「それでどうなるの?」
「例えば、クリスティーの、そして
「やめなよ。こんなちっちゃな子に」
「悪かったよ」



