2 Split Game ④
「それでは、ゲームのスタートでーす。パンパカパーン」
同時に発砲音がして、再び悲鳴が起こった。人形が銃を撃ったのだ。福原は反射的に伏せたが空砲のようだった。
しばしの沈黙。待っても、もう人形が
「……動いてる」
指差し言ったのは
時計の針が少しだけ動いていた。通常の時計の長針でいうと、一分経過した程度の角度。あの時計は一周一時間だと言っていた。一時間がタイムリミット。
──ゲームのスタートです。
ゲーム? これはゲームなのか?
福原は頭を振り、部屋の中を見つめた。
まず思った。人形の言葉は真実なのか。そして、
しかし、そんな福原の
金を持ちだすことができる。そんな言葉。
もうひとつ。一時間後にここの場所に残っていたプレイヤーがいた場合、その中のプレイヤーの一人が首を吊られてしまう。
つまり、ここからの脱出を果たしたプレイヤーは金を手にすることができ、残されたプレイヤーは死の可能性がつきまとう。
そんな
すでに、ほとんどの人間が立ちあがり、再び
部屋の中央には、先ほどまで
「あなたは調べなくていいの?」
振り向くと、少女が
「
彼女と
「心配しなくても大丈夫だよ」
福原は彼女の前にしゃがみ込み、
「別に心配してないよ。ママかパパがきっと迎えに来てくれるもん」
舞は言った。
「そうだね」
福原はうなずきつつ
舞は指示どおりにカードを胸に
情報が少なすぎた。福原は、舞に声をかけてやってから、自分も
片方の扉に近寄り、調べていた
「出られそう?」
田中は首を振った。
「開かない。やっぱり電動だ、ほら」
田中が指を差したのは、扉の下の
「開く時どうなるのよ、これ」
カオルが
「回転するんだよ。この半円の床ごと回転する。ほら、
田中がそう説明した。もうひとつの扉も同じ感じだった。壁にターンテーブルが付いている。電動でテーブルが回転し、壁の一部が扉として回転するのだ。
「スイッチは、このカードというわけか」
「イエスボタンを押すって言ってたわね。押してみる?」
「待ったほうがいいだろ。取り消しはきかないって言ってた」
「押すんなら、
「条件を満たさないと金を持ちだせないって言ってた」
「出ることが最優先だろ」
「半円の上に全員は乗れないぞ。多くても六人ぐらいだ」
「言われたルールどおりにやるべきだよ」
「分配ってなんだかわからないだろ」
議論が交わされる中、福原は扉部分の壁を調べてみた。すでに他の連中が調べたとおり、動く気配はない。やはり電動ロックされているのだ。
「……ん?」
福原は扉を
「どうした?」
議論していた
「いや、
福原は扉をごしごしと
「やっぱり」
福原はうなずいた。扉と同じ色の紙が貼り付けられていたのだ。その紙の端をつかんで
「…………」
扉には文章が書かれていた。
扉A プレイヤー要素の1|4の人間が脱出できる
この扉から脱出したプレイヤーは全ての金を持ちだせる
「四分の一だよな。どういう意味だ?」
その文章をじっと眺めるプレイヤーたち。
「そっちの扉を調べてくれ」
田中が向こうの扉近くにいた数人に言った。すぐに同じように扉が調べられる。
「……剝がれる」
やはり、同じく紙が
扉B プレイヤー要素の1|2の人間が脱出できる
この扉から脱出したプレイヤーは金が半分減る
それらの文章を見つめて皆は沈黙した。
扉Aから脱出すれば一千万を
わからないのは、1|4だけ脱出できる、という言葉の要素。扉Bは1|2だけ脱出できる。
どういう意味だ?
そして十一人に何をやらせたいというのだ? 目的はなんなのだ?
「あれじゃねえか。プレイヤーを分配するとかなんとか……」
言ったのは
「そうだ、プレイヤーの二分の一が扉のBから脱出。四分の一がAから脱出。それでいいんだよ」
「ちょっと待ってよ。そんな分配はできないわ」
「なんでだい?」
「だって、私たちは十一人じゃない」
カオルはそう言った。
そのとおりだった。十一人の半分などはない。四分の一だってそうだ。再び室内は沈黙した。
福原は時計を見た。時計の針はさらに動いていた。十分ほど経過している。残り時間は五十分ほどだ。
人形の言葉を信じているわけではなかった。しかし、この状況が異質すぎるのだ。すでに十一人はこの状況をセッティングした者の
室内にぴりぴりとした空気が流れだした。
「落ちつこう。
「なんて言ってたかしら」
「正確に思いだそう」
「──十一人の人間がいます」
意外な声の方向に



