第二章 特別モニター ①
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室内では見覚えのある家具たちが、まるで何百年も前からそこにいたかのように座りこんでいた。
まだ子供の小さな夫婦なら十分問題なしに暮らせるスペースだろう。
それから
「特別モニター?」
「そうです。あなたはこの
タンポポはどこからかクラッカーを取り出すとパンパンとならした。
「おめでと~~~」
一人盛り上がるタンポポを前に、
はいそうですか。それはラッキー! なんて素直に喜べないのだ。
それはあまりにもタンポポの説明が常識を超えていたからである。
「つまり……」
鈴雄はこめかみをポリポリっと
「君はその宇宙………からやってきたって言うのか?」
「そうです」
タンポポはコクリと
「株式会社オタンコナスは小さいながらも良質の
「で、君が言うには、母さんや姉さんの記憶を
「はい。関係のない男女が共に生活するのは大変
タンポポは手元のランドセルから紙の
「それじゃあ、ここの所にサインをお願いします」
ちゃぶ台に分厚い紙の束が広げられる。今まで見たこともないような図形やら文字やらでびっしりと
「すいません、日本語訳を作っている
「ちょっと待ってくれよ」
鈴雄は
「僕はやるなんて言ってないぞ」
「え? だってあなたはこの間、モニターを引き受ける意志があると返事をなさったじゃないですか?」
「知らんぞ」
「一月ほど前、郵便が送られてきたはずですよ。あなたからの返事は」
鈴雄は
そういえば一月ほど前、何か妙な手紙が送られてきたような記憶がある。
金になるならと適当に丸を書いて返事をポストに投げ入れた覚えもある。
「もうあなたに決めちゃったんですよ。そのために記憶
「お願いしますって言われてもなぁ」
しかし記憶操作なんて普通の小学生に出来ることではないだろうから少女が何かしら特別な存在なのは
しかし
うんうんと
「もちろんモニター料はお支払いしますから」
鈴雄のこめかみがピクリと動いた。
「モニター料?」
ずいっとばかしに
「え、ええ」
少し引き気味ながらタンポポは頷いた。
「ただうちの会社そんなに大きくないし、本当を言うと
「ちなみにどれくらい」
「とりあえず引き受けてくだされば契約金1000クリリウム。それからは一月500クリリウム。特別手当もあります」
「クリリウム?」
「ちょっと待ってください。今、日本円に
タンポポは同じくランドセルから電卓を取り出すとピコピコ始める。
「1クリリウムの価値が今のレートだとこれくらいだから」
今までアルバイトをしていた喫茶店が休み明け帰ってきてみると見事に
今は新しいバイトを探している最中。
モニター料として月一万か二万
「え~~~と」
計算を終えたタンポポが口を開いた。
「不況不況とは言われても日本円は価値が高いですからね」
タンポポはもう一度計算をし直すと、
「契約成立金が千百八十六万円。月支給額が五百九十三万円ってところですか」
「せんひゃくはちじゅうろくまんえん?」
「そうです」
「せんひゃくはちじゅうろくえんじゃなくて」
「千百八十六万円です」
「ただこちらの
「ここの家賃も!」
「ただしこちらの
「やりましょう」
鈴雄は深く
「
言われるままに鈴雄は薄いプレートに親指を押しつけた。
エメラルドブルーの光がプレートを走り
「さてと、これで契約が成立しましたね」
タンポポは満足げに頷くとまた赤いランドセルに手を突っ込んだ。
そして細長い金属の箱を取り出す。
とてもそれまで小さなランドセルに入っていたとは思えない大きさだった。
もしかしたらランドセルの中身は
「どうぞ」
鈴雄は箱を受け取ると
ベルトだった。
しかも普通のベルトではなかった。
昔、テレビでこんなような物を見たことがある。
まもなく鈴雄は気がついた。
「そうか、変身ベルトなんだ」
「よく分かりましたね」
タンポポは
「そうです。これは変身ベルトです」
なるほど。
さすが銀河に名高い
鈴雄は玩具玩具した
「もしかしてこれを着けろと?」
「はい」
当然いやな気分もあったが少女の話が本当ならばこの玩具の性能を試すだけで大金を手にすることが出来るのだ。
立ち上がりズボンの上からベルトを
カチッ。
装着音とともにベルトは軽く空気を振動させるような音を立てた。
やっぱり玩具玩具している。
「私がデザインしました」
タンポポは
「へえ」
少女が
「で、僕は何をすればいいのかな」
鈴雄の問いにタンポポは即答した。
「戦っていただきます」
「どうかなさいましたか?」
何の前ぶれもなく襲ってきた沈黙にタンポポは小首を



