テスターですけど、このネトゲ学園が難しすぎるとか言うのやめれる? 「これ絶対クリアできないんですけど、責任とれそ?」
四章 ⑦
「それがネタバレになっても、いいのかな?」
「最悪のボスを叩き込んできた学園にも、私達は負けない──こういうネタバレならアリだと思いませんか?」
「確かに。それはネタバレの嫌いな俺でも、ちょっとアリだ」
リアの声が、気持ちが頭に入り込んでくる。
可愛くて面白い女の子はこれだから困る。
楽しそうな方向に誘導されてるってわかっていても、反抗しようって気持ちがわいてこない。
「……やってみたい」
俺はぽつりと言った。
「そうだな。やりたい。やろう! やっちゃえ! こうして悩んでるなんて俺らしくないし!」
うじうじしてるのは俺の主義じゃない。
リアが一緒に背負ってくれるっていうんだ。これで引いたら情けないじゃないか!
「俺はネタバレテスターになる! その汚名を背負ってでも、学生をナメた運営に一発かましてやるんだ!」
「それでこそ私の相方ですよ!」
リアは胸を張って、むふーと鼻息も荒く言った。
「ラグ君は世界一の美少女の相方なんです! 我こそがオーバーカムで最強なんだと証明してもらわなきゃいけませんね!」
「なんだそりゃ、酷い理屈だな!」
自分が世界一なんだから、俺も世界で最強になってみせろっていうのか。
「ほほう、ダメだと言いますか??」
「いいや、最高だよ。そうだな、リアの相方である限りは、この世界で最強じゃないとな」
未来永劫ずっと、とは絶対に言えない。
遠からず追いつかれ、追い抜かれるのだろう。
それでも今この瞬間ぐらいは、きっと俺が最強だと思いたい。
と、そういう意味で言えば──ちょっとだけ、思っていたことがある。
「……実を言うと、少しだけ納得してないことがあるんだ」
「なんですか?」
俺はリアの頰に手を当て、バイザーのマイクがオフになっていることを確認して──彼女の耳元で呟いた。
「オーバーカムのテスターが、あの程度の敵に勝てないと思われてるなんて──こいつはちょっと、納得できないんだよ」
あなた達が育て上げたベータテスターがどんなものか、わかってないのか。
そんなもんだと思われていたのは、ちょっと不愉快だよ。
「ふふ……ふふふっ!」
「……? あの、リア? 俺そんな変なこと言った?」
「いーえー? 大好きですよ、ラグ君」
「は? へっ? 何だよ、急に!」
「いえいえ、ちょっと言っておきたいなと思いまして」
その幸せそうな笑顔に思わず目をそらす。
本気で言ってるわけがない。それでも嬉しくなってしまう自分を抑えることができなかった。



