織田ブリュンヒルド信長は天下のナナメ上を征く
第三章『女遊びと男の戦いは隠しようもないくらい派手にやれ』 ⑧
旧臣であるサラの機転により、ブリュンヒルドは拷問の
「クソ生意気な小娘が
緑髪の
「あ、
「人聞きが悪いってレベルじゃないわねえ……って、お前たちも変な目で見るんじゃない!」
慌てて部下たちを
「それよりも、こんなのが拷問になるわけないじゃない。
「はっ……! たしかに! おのれサラ!!」
自分たちが
「待ってください! 私が甘いものが怖いのは本当ですよ! だからサラに
「せめて流れるように砂糖入りの紅茶を飲むのは
ティーカップに口をつけるブリュンヒルドに思わず突っ込んでしまうが、ペースに巻き込まれると面倒になることは承知しているので早々に話を切り上げる。
「小娘の口を割らせるなんて簡単なこと。普通に殴って
ボキボキと指を鳴らすクララ。ブリュンヒルドは諦めたようにため息を
「わかりましたよ。何でも話しますから痛いのはやめてくださいな」
「フン……協力的であるなら
「それはありがたいですね。お茶飲みます? 砂糖入れると
「甘ったるいお茶だなんて南蛮かぶれもいいところよ。そのままでいいわ」
「ハイハイ、そうですか。では────どうぞっ!!」
ブリュンヒルドはティーポットの蓋を外し中身をクララにぶち
「あっ────っっっっつぅぅぅぅぅぃぃいいいいいいいいいいいいっ!!」
熱いお茶を掛けられたクララはのたうち回った。すかさずブリュンヒルドは立ち上がると周りの拷問官たちを突き飛ばし、脱出する。
「サラ! 一応感謝します! あなたも逃げてくださいね!」
「そんなぁ!? 逃げないって言ったから拷問を優しくしてあげたのに!」
「お菓子も紅茶も
脱皮するように打掛を脱ぎ捨て、城の外に向けて走り出したが、
『
サラは触れた人間の声を周囲の人々の脳内に届けることができる。効果範囲は直径一五〇メートルほど。夜の静寂が崩れ、ブリュンヒルドを捕まえるべく城内の人間が動き出した。
「サラめぇ! 本気で邪魔しにきているじゃないですか! 覚えておいてくださいよ!」
物陰に隠れたりして敵をやり過ごしながら、なんとか外に向かおうとするがなかなか進めない。そして、ついに廊下の曲がり角を曲がったところで誰かにぶつかった。尻餅をついて恨めしそうに相手を見上げると、
「ブリュンヒルド! 探したぞ!」
「先生!? どうしてここに?」
見間違えるわけもない
「そんなのお前を助けに来たに決まっているだろう! こっちに来るんだ!」
ブリュンヒルドの腰に手を回すと近くの部屋に忍び込み、息を殺す。追っ手の兵は部屋の中には目もくれずに前の廊下を走り抜けていった。
「た、助かりました。先生」
「ああ。知ってのとおり、この城の中は敵だらけだ。武士だけでなく
「そこは先生の力でなんとかなりませんか?」
「……俺のどんな力を使えばなんとかできるっていうんだ?」
「あの
ブリュンヒルドは茶化すような調子で言ったが、
「まさか……まさか、それは! 俺が魔法を使ったのを見たということか!?」
ガバッと
「わ……わぁ……先生ったら大胆ですね。他人のお城で壁ドンだなんて」
「うるさい! 俺の魔法のことで知っていることを答えろ!」
「あれ魔法だったんですかぁ。えっでも、男の人は魔法使えないって先生教えてくれましたよね? まさか……先生は女の子……」
「……俺のことは後回しだ。話を戻すが、脱出するためには
「情報、ですか?」
「そうだ。あの方は魔法に執着されている。その執着心を満たしてやることができればお前を解放してくれるかもしれない」
「へ───。じゃあ、先生。ちょちょいと情報あげちゃってくださいよ。先生ならそういうネタたくさん持ってるんでしょう?」
「まあ……無いわけじゃないんだが、
「私が? またまたご冗談を。私の髪は血によるもので、
「その血が重要なんだ。
「
息を荒らげて詰め寄ってくる
「……わかりましたよ。耳を貸してください。夜半様」
「ブリュンヒルド……よくぞ決断してくれた」
表情を和らげた
「いっ……たぁああああああああああ!!」
「
「す、すまない……はに〜?」
「プークスクス……なんですか、それ? 私たちそういう関係でしたっけ? 童貞にしても突っ走りすぎですよ」
あえて
「すごい魔法ですね。本当に先生と
ブリュンヒルドは目の前の
「……思ったよりも鼻が
「魔法指南役とはいえ、魔法を使える男など見たことも聞いたこともないねえ! つまり
「し、知りませんよ! てか力強っ!」
「私の魔法は変身した姿の体重や筋肉量まで再現するからねえ! 先生、先生と慕っている男に襲われる気分はどうだ!?」
「……正直なところ、ちょっとだけ興奮します」
「
クララは拳を大きく振りかぶった。さすがに身の危険を感じたブリュンヒルドは顔を腕で
「先生っ……!」
「呼んだか?」



