わたしで童貞捨てたくせに

第五話 変わりゆく関係 ③

「あぁ、揉んでいいって言ったし、いいよな?」


 驚く咲良をよそに、今度は直接咲良の胸を揉みしだく。

 制服越しと違い、指先には吸い付くような肌の感覚。明らかに幼馴染ではしない行為。

 ふつふつと腹の奥底に情欲の火が灯る。それは咲良も同じようで、吐き出す息も熱い。

 咲良はとろんとした瞳をこちらに見据え、息も絶え絶えに囁く。


「あのあのあの、これ以上はちょっとやばいといいますか……そろそろ満足しない?」

「そうだな、胸は満足した」

「え……きゃっ!」


 まだまだ確認しないと。

 胸から手を離した宏太は咲良の手首を掴み、そのまま床に押し倒す。

 突然のことに驚く咲良を無視して、彼女の股の間に自分の足を差し込み、そして肩や首筋、背中に腰、太ももへと手を這わせていく。


「宏太っ、ちょっ、こういうのはちゃんと好きな人と、って……っ」

「…………」


 宏太は咲良の抗議を無視して、咲良の身体を弄っていく。付き合っている間に、何度も身体を重ねたのだ。どこをどうすれば、どんな反応をするのか、把握している。

 咲良の弱点を的確に攻め立てれば、たちまち彼女の身体はどんどん熱くなっていく。

 咲良は快感から逃れようと身を捩らせて抵抗するものの、その力は弱々しく、宏太に与えられる刺激に翻弄されるがまま。


「宏、太……っ」


 咲良が瞳を潤ませ咎めるように名前を呼ぶ。

 しかし身体は完全に火照っており、性欲に翻弄されている。宏太のよく見知った姿でもあった。そしてここからさらにどうすれば乱せるかというのも、よくわかっている。

 自らの手で面白いように反応する咲良を見ているうちに、安心感を覚えていく。

 しかし、渇きは未だ収まらず、欲望に従いスカートの中へと手を入れる。

 自分と咲良しか触れたことのないそこは、すっかり準備が出来ていた。宏太はあえて粘り気を帯びた水音を響かせた。


「咲良もその気じゃないか」

「こんなことされたら、こうなっちゃうって……っ」


 咲良は涙目で抗議するも、下着に手をかけると反射的なのか、脱がしやすいように腰を浮かす。まるで宏太を受け入れるような所作。ごくりと喉を鳴らす。互いの身体は完全に火が付いている。

 しかしその時、咲良は目尻を光らせ懇願するように呟いた。


「ホントにダメ。今日はその、危ない日だから……アレ、、、もうないでしょ?」

「……ぁ」


 わずかに残っていた理性が刺激され、手を止める。

 一体自分は何をするところだったのか。

 そして宏太は身体を離し、やけにふざけたような笑みを浮かべ、軽い調子で言った。


「なんてな」

「…………へ?」


 いきなりの宏太の変化に呆気に取られ、咲良は目をぱちくりさせる。


「ほら、咲良がいつも際どい感じで煽ってくるから、たまにはこっちもな?」

「~~~~っ! 私、ホントにヤラれちゃうかと思ったんだからね!」

「これ懲りたら、少しは自嘲してくれ」

「うぅ~~」

「それにほら、襲われかけた時のいい経験、、になったんじゃね?」


 それは少し、嫌味交じりに言ったつもりだった。

 しかし咲良は神妙な表情になったかと思うと、乱れた制服はそのままに口元に手を当て考え込む。そして自分の中でどう処理をしたのかわからないが、にししと笑った。


「あ~うん、そうかも。ありがとね、宏太」

「……っ、どういたしまして」


 まさかお礼の言葉が返ってくるとは思わず、宏太は咄嗟に乾いた笑みを張り付けた。

 落ち着いたはずの心臓がまたも騒めき始め、それを悟られぬよう立ち上がる。


「ちょっとコンビニ行ってくるわ」

「うん? 何か買うの?」

「あー……悪ふざけが過ぎてその、熱くなった身体を冷やしてくるんだよ」

「あはっ、そっか」

「…………っ」


 なんとも照れた顔をする咲良から逃げるように外へ。

 宏太は家を出た瞬間、玄関に背を預け、空に向かって呟いた。


「何やってんだ、俺……」


 


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