ラプンツェルの翼
1:少女育成計画《オペレーション》 ③
しかし、そんなニュースはテレビに流れていない。新聞にも目を通したが、そのような事件はどこにも載っていなかった。
そして、
必ず取りに行くと言ったが、本当に回収に来るのだろうか。
当然考えた。明らかに犯罪の
遼一自身、あの出来事は夢のように思えた。疑わしい現実。しかし、あの非日常の出来事が現実である確固たる証拠はこの部屋にある。
あの異様な出来事の
「おまえはなんなんだ?」
遼一は少女から
ニュースが終わりCMとなっても少女はじっとテレビ画面を見つめている。車の保険、牛丼の半額キャンペーン、紅茶のCMではアイドルタレントが画面越しに
画面を見ている少女が
*
トマトジュース? 共同募金の赤い羽根? 郵便ポスト? それとも
悲鳴が聞こえた。目の前の赤は血だった。トランクを渡されたときのあのシーンだ……と
……違う。あのシーンじゃない。もっと別の……気づくと全身が血に
悲鳴を上げて飛び起きると、そこは自分の部屋だった。全身がびっしょりと汗で濡れている。むわっと嫌な
服のままベッドで寝てしまっていたようだった。嫌な夢を見たような気がする。
顔を上げるとベッドに座っている少女の姿が見えた。相変わらずテレビに
「やっぱりな。こっちは夢じゃないんだよな」
遼一は肩を落としてベッドから立ちあがった。カーテンを開けて強烈な日ざしに目を細める。天気は晴れ。
時計を見るとすでに昼を過ぎている。
テレビはお昼の情報番組を流している。少女の手にテレビのリモコンが握られていることに気づいた。遼一がそれでチャンネルを変えているのを見て使い方を学んだのかもしれない。
冷蔵庫からミネラルウオーターを取りだして飲んだ。ベランダの窓を開けると、ケージの中の
キッチンでコーヒーを
遼一は少女に近づくとペットボトルを彼女の口に持っていき水を飲ませた。さらに冷蔵庫からコンビニで買ってきたプリンを取りだし、スプーンで一口ずつ食べさせた。少女は視線をテレビに向けたまま、おとなしくされるがままになっている。
遼一はさらに少女の観察とケアを続けた。世話をしていると、何かペットを飼っている気分になる。頭を
ただし、重要な問題は棚上げされたまま時間だけが経過した。
この少女は何者なのか、
遼一はぼんやりと出窓に座って外を眺めた。日が傾き、昼の強烈な日ざしは少しだけ和らぎ始めた。こんな状態がいつまで続くのだろうか……。
そのとき玄関のドアがノックされた。
遼一はどきりと立ちあがった。少女を回収に来たのでは?
恐る恐る玄関に近づいてみる。回収に来た相手に悪意がないとは限らない。いや、それは想定しなければならないことだった。特に
気配を殺してドアスコープから外を
「元気そうだね。顔色もよさそう」
立っていたのは
「美穂……学校は?」
「私は学校に行ったけど、君は来なかった。そして、今は夕方で私は授業を受けて部活動をしてへろへろに疲れてここに来たの。
「プリントは? これ? サンキュー助かった」
遼一は部屋を覗こうとする美穂を押し返す。
「ん? せっかくだからお茶くらい
「そんなこと言って絶対驚くから
遼一は美穂からプリントを
「まずいな、これは」
遼一は額の汗を
遼一は部屋の隅に置いてあるトランクを持って少女の様子を
そんな考えが伝わったのか、遼一が近づくと少女が不意に暴れだした。遼一の手を振り払うと足下のトランクを乱暴に投げ飛ばす。トランクが本棚に激突し、並べて飾ってあったアイスコーヒー用のグラスが床で
「てめえ、おとなしく……」
ドサッと背後で何かが落ちる音がして、遼一は硬直した。
恐る恐る振り返ってみると、床を
遼一は
「……もしかして渡し忘れたプリントがあるとか?」
美穂は手から落としたスーパーの袋も拾わず、ただ首を振った。
「第二の用件は病気の君を心配して買い物をしてきてあげたの。ひとり暮らしで病気だから少しだけ心配したの。……でも、でも、予想外のことが起こってる」
「最近の人形ってよくできてるだろ」
「……動いてるよね」
「違うんだ。違うんだよ美穂」
「そっか違うよね。私も違うと思う」
美穂がぎこちなく笑った。
「そうそう、違うんだ。変な話じゃないよ」
「そうだよね、そうだよね。…………で、



